「耐え難いから」
これはもうずっと昔の話になる。
俺の父さんの話だ。
俺の父さんは世界で1位2位を争うほどの強者だった
(しかし実際は過大評価されてただけらしい)
父さんは悪の独裁者を打ち倒し、他の者から賞賛を受けた
父さんはいつも口癖の様に言っていた言葉がある
「みんな自分の事を過大評価しているだけ。これは俺だけの力なんかじゃない」ってな
そんな父さんに生まれてきたのはこの俺。
父さんの息子である俺が期待されないはずがなく、父さんが亡くなったあとから俺も期待されるようになりはじめた
しかし俺は皆が思うよりかもずっと強くない。
明日もきっと「期待」され続けるのだろう。
あぁ父さんはなんてものを遺していったんだ。
もう耐え難いから……
[ガタンッッ!!!!!!]
「なぁ聞いたか?──が自宅で意識を失った状態で見つかったそうだ!」
いつか来るとは思っていたがここまで早いとは予測していなかった。
倒れた彼の父親とは宿敵であり良い友でもあった。
が、倒れてしまいそのまま亡くなってしまった
みんなは知らないと思うが彼は自殺したのだ。
その息子である──もきっと父親のように自殺をしようとしたのだろう
俺はとりあえずコンビニでゼリーを買って倒れた彼の元へと向かった
「はぁ、今年に入ってこれで16回目だぞ?」
「ははは、毎回すまないな…」
「…お前もお前の父さんに似てきたんだな」
「…え?」
「お前の父さんもよく……っていけない。あまりこの事を言わないでくれと言われていたのだった」
「そ…そうか。ありがとう」
俺は早足で彼の元を離れていく。
あまり俺たちが一緒にいると評判が良くないから
でも、それでも彼を放っておくことは出来ない。
過去の自分を見ているような気になるから
そんなことは耐え難いから
「ロシア、君はもう少し休んだがいいよ…」