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おっふ好き。

イギリス貴族のジョージアナ・キャヴェンディッシュという女性は実際に実在した人物ですが、ピアスの話は、私の作ったただの設定です。ご了承ください
Titanic Submersible Log #16
Monday, August 14, 1995
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Back down to the Titanic again today. Damn little brother stayed home puking his guts out. Gotta write this in English just ’cause it’s above me and I’m American—what a joke! Last time, found a crab in the safe, so I turned it into guanseora and ate it. Today, though, I’m gonna find something worth some real money. I’m not giving up.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Rovino Vargas
タイタニック潜水記録 16回目
1995年8月14日 月曜日
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今日もタイタニックへ潜る。バカ弟は、船酔いで休みやがった。この記録も上がアメリカ人だからって英語で書かなきゃなんねえ。ふざけんな!この前は、金庫からカニが出てきたからグアンセオーラにして食ってやった。今日こそ金になるもんを探してやる。俺は諦めない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ロヴィーノ・ヴァルガス
暗い海の中を
潜水艦の光が差し込む
「海の闇の中に忽然と浮かび上がる幽霊船ータイタニック。 残骸と化したこの悲劇の豪華客船は、
1912年4月15日午前2時20分深海の底へと沈み、 今もここで眠ってる」
ロヴィーノの動画を回しながら真剣な口調で言うと
後ろから場に合わない笑いをふくんだ声が聞こえてくる
「何真剣にやってんだよロマーノ」
「うっせーなギルベルト。上からの指示なんだよ」
「なんだそれ。めんどくせーな」
「ギルベルト。ロマの邪魔したらあかんやろ。ちょっと黙っとき」
「へいへい。分かったよアントーニョ」
まだ少し笑っているギルベルトを無視して窓の外を見る
83年前のものということもあり、船は苔などに侵食されている
二つに割れた船体の間から海藻が揺れ、
割れた窓の中には昔ながらの装飾品の朽ちた優雅さが見える
それをすべてカメラに収める
「16度目の潜水。現在、船のデッキの上。
水深2.5マイル、3821mの海底、外の水圧は1cm²あたり約500kgf」
「暑さ23cmのこの窓が割れたら俺たち全員死ぬで」
「冗談じゃねぇ。俺はまだ死ぬ気はねぇ」
ギルベルトが補足かのように動画を回すカメラに向かって喋り
アントーニョが冗談っぽく話す
ロマーノが少し笑いながら軽口を挟みカメラをきる
「なんやロマ。それもうやらなくてええの?」
「ああ、ここからは俺たちだけが見れれば良い」
「潜ってもないやつに見せるもんはねえってな」
「なんやそういうこと?ロマええこと思いつくやん」
「だろ?まぁ、とりあえず降下するぞ」
「ギルベルト準備ええかー?」
「おー。バッチリ大丈夫だぜ」
機械が潜水艦から気に放され、
タイタニック号の中へと入っていく
「とりあえず、一等先客用の船室に入ってDデッキを探索」
「了解」
ギルベルトはそう言うと、
指先で機械のコントローラーを動かす
機械は、ギルベルトが操作した通りに船内に入っていく
「ここの入口狭いな。ギルベルト気をつけてな」
「分かってる」
真剣な顔で、コントローラーを動かすギルベルト
少しドアの淵にぶつかりはしたが そのまま探索を進める
しばらく進むとピアノが姿を現す
近くには魚が数匹泳いでいる
一等客用の寝室が見えてくる
「そこだ。そこに入れ」
「わーってるよ。ちょっと待て」
ロヴィーノは、待てないとでも言うかのように急かす
ギルベルトは、それを軽く流しながらコントローラーを動かす
機械が寝室に入り、機械の光が無惨にも壊れているベッドを灯す
「ほら、入ったぜ」
「ここがあのカークランド財閥のアーサーが眠ってたベッドか」
「アイツ生き残ったんやったっけ」
「ああ、運いいよな。女と子供優先の救出ボートに乗れたんだし」
「金の力やろ。アイツは、金に物言わせてるだけのお坊ちゃんや」
「アーサー・カークランドの部屋ってことは、金になるもんあんじゃねーの?」
ギルベルトがそう言うと
ロヴィーノは、それを狙ってたんだよと笑みを浮かべ
もっと奥に進むようにギルベルトに言う
ふと、 ベッドの横を通り過ぎると木の残骸が積もっていた
「止めろ」
ロヴィーノがそれを見てギルベルトに声をかける
「なんや、なんか見つけたん?」
アントーニョが聞くと
ロヴィーノは、いや、なんとなくだと言い
ギルベルトに木を退かすように言う
「了解。ロマーノ隊長」
とギルベルトが面白そうに言いながら機械を動かして 木を退ける
そこには金庫が一つ置いてあった
「ビンゴ」
「ロマ、やったやん!!」
「回収するぜ」
アントーニョとロヴィーノは、喜び
ギルベルトは、一声かけながら金庫を回収する
海上シェルター
ーーーーーーー
金庫の中身を確認した。
金になるものだった?
ー否、ただの泥まみれの紙数枚だけだった。
先ほどまで活気があったシェルターは、
すっかり静まり返っていた
「ったく。金庫に紙なんか入れてんじゃねーよ」
「まあ、落ち着こうやロマ」
「落ち着けるかってんだ」
1人、形のない何かにキレるロヴィーノ
そんなロヴィーノのところにギルベルトは、 上から電話だぜと携帯を渡す
嫌な顔をしながらもロヴィーノは携帯を受け取る
携帯を耳に当てると最初に聞こえてくるのは上の少し期待した声
ー「やあ、金庫が見つかったそうじゃないか」
「え、ええ、まあ」
ー「ご苦労じゃないか。で、何が入っていたんだ?」
「…紙です」
ー「……今なんて?」
「紙、です」
ー「はぁ。君には困ったものだよ」
「…」
ー「一体いつになったら金になるものを見つけてくれるんだい?」
「…」
ー「私だって君に嫌がらせしたいわけではないんだよ。 職につけない孫達を助けてくれと
アイツが言うから君たちを雇ったというのに…」
「でも、今、紙を鑑定してるんです!もしかしたら、有名な画家の絵画かもしれねぇ!!」
ー「…分かった。そうだと期待しているよ」
電話が一方的に切られる
ロヴィーノは、俺だってこの仕事が良かったわけじゃねえよと
少し怒りながらギルベルトに携帯を投げる
ギルベルトは、俺様の携帯投げんなよ!と怒りながらもキャッチする
そんなところに
「なぁロマ。これ見てや」
突然言うアントーニョ
いつもと違ってその口調は静かで真剣だ
紙の鑑定様子を写している画面に目を移す
そこには、女性か男性かわからないほど美しいショートヘアの人物が描かれていた
その人物は、着物を着ていて手には赤いバラを一輪持っていた
しかし、派手とはまた違うおくゆかしい美しさがあった
紙の端には、April, 14, 1912 AFJ と書かれていた
「AFJ?知ってるか?」
「聞いたことないなぁ」
「ていうか誰だ。このベッラは」
「さあ知らねえ」
「俺も知らへん」
「どっかのモデルか?」
「だったら俺らが知らんのはおかしいやろ」
「おい、ロマーノ」
「あ?んだよ」
「このピアス…」
ギルベルトが指差したピアスは、
1900年代に史上に姿を現した世界に一つしかない
かつてあのイギリス貴族のジョージアナ・キャヴェンディッシュが 身に着けていた という伝説の赤いピアス
*ーScarlet Montrose, The Royal Solitaire*
スカーレット・モントローズ、ザ・ロイヤル・ソリテール
それを見ていると笑みが浮かび上がってくる
「ロマ?」
アントーニョが不安そうに聞く
ロヴィーノは、口を片手で押さえる
「…お宝じゃねぇか」
ーApril, 14, 1912 AFJ
タイタニック号沈没の前日だ
Canada Kelowna
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カナダ ケロウナ
静かな住宅地、レトロな家が立っている
屋根は、暖かい赤色
壁は、レッドメープルでできていてペンキで薄く赤茶色に塗られている
庭には、りんごの木が一本
窓から見える木々の間からは青い海が見える
その海が見えるバルコニーで1人、囲碁を楽しむ男がいる
パチッ
碁石と碁盤のぶつかる音が静かな自然に響く
風が吹き、男の短い黒髪を揺らす
それと同時にガラスのドアが開き、
金髪でメガネのおっとりとした男が上半身だけを外に出す
「菊。ご飯できたよ」
「おや、ありがとうございますマシューさん」
「大丈夫?それ、中に運ぼうか?」
「いえ、このままで大丈夫です」
「分かった。その服暑くないの?」
「ええ、かなり涼しいですよ」
「へぇ」
「今度また、マシューさんの着物作りましょうか」
「いいの?」
「はい」
「ありがとう」
席につき、マシューの作った昼食を食べていると
テレビの中に若い男が映る
テレビの見出し端には、
ーSeveral paintings discovered on board the tragic luxury liner Titanic show the legendary red earrings
(悲劇の豪華客船タイタニック号の中から発見された数枚の絵には、幻の赤いピアスが)
と書かれ、若い男は例の絵を見せながら言う。
「俺たちが今日見つけたこの絵は、約80年間海の底に沈んでいた。でも、重要なのはそこじゃない。 この絵の中のベッラがつけているピアスは、1900年代史上に一度出たきり姿を消した幻のピアス。
スカーレット・モントローズ、ザ・ロイヤル・ソリテール。一部のコレクターからは、ザ・モントローズと呼ばれている代物だ。当時の推定価格は、数十億ドル」
画面に映るその絵を見て菊は、食べる手を止める
「…これ……」
「?…」
菊の言葉にマシューは、視線をテレビへと向ける
そこには、今の菊より少し若くみえる菊が描かれていた
それを見てマシューは、一瞬目を見開いてから
すぐに穏やかな顔に戻して優しい口調で言う
「これ…アルが描いたやつだよね」
「はい…」
「懐かしい」
「ええ」
「…」
「マシューさん。私、この絵の本物をもう一度見たいです」
「…分かった。電話してみよっか」
マシューは、どこか寂しいような優しい顔で言う
菊は、それに気づいている
だから、席を立ち上がった彼の後を追い、抱きつく
彼もそれを返すために菊を抱きしめる
マシューの腕の中で菊は、彼の服に顔を埋めながら感謝をする
「ありがとうございます」
「平気だよ」
マシューは、へっちゃらかのように返す
菊は、そんなマシューの声を聞いて顔をあげマシューの顔を見る
マシューの顔は、穏やかで優しく今にも涙が出てきそうだった
菊は、マシューの顔に手を伸ばし、頬に手を添える
「ごめんなさい」
「大丈夫だよ」
「でも、マシューさん」
「なに?」
「今私が見ているのは彼でも他の誰でもなく、貴方だけです」
その言葉にマシューは、少し目を見開く
菊の肩に顔を埋める
菊の肩が少し濡れる
「そっか…嬉しいな」
菊は、何も言わずにマシューの背中を撫でる
Newfoundland, Canada
ーNorth Atlantic Ocean
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ニューファンド島,カナダ
ー北アトランティックオーシャン
ロヴィーノが潜水艦を海に降ろすように指示していると
アントーニョに声をかけられる
「ロマ!」
「んだよ。見たらわかんだろ今潜水艦降ろしてんだよ。後にしろ」
「せやけどロマ絶対これは出たほうがええで!」
「そんな重要なことか?」
ロヴィーノが聞くとアントーニョは、
首がもげそうなくらい頷く
ロヴィーノは、それを見てため息を一度吐いてから
分かったと言いアントーニョについて行く
電話機をとるとアントーニョがあ、と思い出したように
なんや年寄りらしいから大きい声で喋ったってやと言う
めんどくせぇと思いながら電話に出る
「もしもし、ロヴィーノ・ヴァルガスです。用件は?誰?」
「ウィリアムズ。キク・ウィリアムズ言うんやって」
「ウィリアムズさん」
ー「少しお聞きしたいのですが、ザ・モントローズは、まだ見つかってないのでしょう?」
その言葉に目を見開き、アントーニョの方を見る
アントーニョは、笑みを浮かべながら言った
「やから、出たほうがええ言うたやろ?」
電話越しに聞こえるその声に問いかける
「ウィリアムズさん。俺も、お聞きしたいことがある。あの絵のモデルを知っているんですか?」
後から聞こえてきたその言葉にロヴィーノは、人生で最大級に驚くこととなった
ー「ええ、もちろん。その絵のモデルは、私ですから」