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病院の屋上。
春の心地よい風が吹く、屋上って言うのは案外高いもんで、学校とは高さが全く違う。
病院だから当たり前なんだけど、病院の隣は桜並木。学校に向かう高校生。
みんな笑っている。
「眩しいな」 思わず声が漏れる。
今更後悔はしてない。あーいや、一つだけあるな。あの兄のことなんだけどさw
僕が【飛び降りる】ことによって、責任を感じてしまわないだろうか。
遺書は書いた。 書いたが、あの親が兄にあれを見せるだろうか?答えはNOだ。
見せるわけがない。中身も見ることなくビリビリに破られる自信がある。
あれはただの自己満足に過ぎない。
だが、ちょっとだけ、ほんの少しだけ、兄に届けばいいなという願いを込めたただの紙切れだ。
なーんて、心配してくれるとか、責任を感じてくれるなんて思ってるとか自意識過剰だけどな。
「人生の走馬灯を豊かにしたい」僕が大好きな言葉。
この言葉のおかげで頑張ってこれたけど、限界みたいだから、これ以上周りに迷惑をかける前に。
僕自身で、この最悪で、不恰好な現状(イマ)を「終わらせる」。
屋上の鉄柵に手をかけた雪の背後から、突然「やめろ」と低い声が響いた。
振り返ると、ナツメが息を切らして立っていた。
「…どうしてここに」
「お前が病院を抜け出したと看護師に聞いた。まさか…」
ナツメは言葉を詰まらせた 。
正直兄がこんなところまで来るとは思わなかった。
春の風が二人の間を吹き抜ける。ナツメはゆっくりと雪に近づき、その肩を掴んだ。
「お前の人生は、まだ終わってない。俺だって…」彼は一瞬目を伏せた。
「あんな家族の中で、お前だけが唯一まともな奴だと思ってる」
雪の瞳に揺れる涙を見て、ナツメはさらに強く言った。「俺がいる。だから…死ぬなんて許さない」
ちな、「人生の走馬灯を豊かにしたい」
は、にじさんじ所属バーチャルライバーの剣持刀也さんの言葉っス。