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【 神様なんていないって 】
main.煽り手、天の声
アテンション
・本人様の名前を借りた二次創作です。本人様に一切関係ありません。
・nmmnです。
・腐向けではありません。
・コメント欄でのcp表現などはお控えください。
・他者が不快に感じることはしないでください。
・人体実験、暴力等が出てきます。
・軍パロ
上記がよろしい方は行ってらっしゃい!!
何も無い殺風景な部屋。
年は分からない、子ども達がたくさん。
ああ、また、始まるのか。
記憶にこびりつく最低最悪な思い出。否、思い出ではないかもしれない。
時たま、フラッシュバックする。
朝6時。天の声と呼ばれる彼の声で目を覚ます。
あの声で起きれば、毎日目覚めが良く感じる。
伊達に天の声をやっていないな。
…とは言ったものの、天の声を聞いても、目覚めが悪い時もあるのだ。
ペリドットの彼も、食堂へ向かい歩いていた。
「ゾムおは」
「あ、おはよ」
眠たげに答える彼は、まだ目覚めきっていないようだ。
顔洗えば?なんて提案をしても彼は真っ直ぐに食堂へ行くだろう。
ならば、隣で適当に話しかけよう。
いつも通りに。
変わりなく。
「「おっはよーございまーす!」」
声を合わせて食堂のドアを開ける。
そこには幹部の数人が集まっていた。
話していくうちに、隣にいる彼も完全に目を覚まし、
いつもの彼になっていた。
食堂の中から、他幹部の返事が返ってきた。
「朝から元気ですねぇ」なんて言うじじ臭ぇ感想と共に挨拶を寄越す奴もいたが。
各々、もう朝食を取り始めていた。
…あ、今日の朝ごはん、これか。
あまり好きではないそれ。
自ら、好ましくは思えない。
そもそも、飯を食うのが好きじゃない。
……薬が入っているかもしれない。
何年も居るはずなのに、そんな恐怖がある。
「どうしたシャオロン」
一緒に来たペリドットの彼が言う。
「いや、実は今日あんま腹減ってへんねん」
その言葉に付け加え、「無理やり食わしてくんなよ」と。
そう言うと、彼はあからさまに子どもみたく口を尖らせた。
命の危機を感じたかもしれない。
そんな話を交わしていると、先の放送で聞いた声が聞こえた。
振り向き扉を見ると、小さい彼が。
相変わらず小さいな。
そう考えていると、彼がこっちを見た。
「お前今失礼なこと考えたやろ」
な、何故バレた。
バレたものは仕方ない。煽り散らかしてやろうか。
琥珀の彼は、三日月のようになった口を手で隠し、馬鹿にするように、
「相変わらず小さいなぁロボロ」
そう言うと、「なんやと!?」と声を張り上げた。
その声は天の声と呼ばれるにふさわしいが、とてもうるさい。
ほんとにまじでとてもうるさい。
そんな恒例行事のような挨拶を交わし、琥珀は適当にフルーツだけを取り、
席に着いた。
このフルーツは、ひとらんの母国でよく育てられているらしい。
彼はこのフルーツを良く気に入っているらしい。
「え、シャオちゃんそんだけでええの!?」
「だってあんま気分やないし」
そう言うと、サファイアの彼は察したのか、
ああ、そうなんや。とだけ零した。
昼間のテラス。そこには琥珀の彼と、アメジストの瞳を持つ彼がいた。
紫煙が空に昇っていた。
ふと、琥珀色が声を零した。
「神様って、ほんまにおると思う?」
唐突な質問に、アメジストの彼…ショッピが、
柄にもなく、少し驚いた顔を見せた。
…それほど、唐突だった。
「俺は信じてませんけど、信じる人がいるならおるんとちゃいます?」
神様なんて、いるわけが無いだろう。
ショッピは、そう考えていた。
だが、こう言った。
声が、勝手に喉から出ていた。
「……ショッピ君はそう思うか」
テラスの手すりにもたれ掛かり、琥珀の彼、シャオロンは言った。
そんな彼は、儚いような、今にも消えそうな、そんな雰囲気を纏っている。
じっと、シャオロンを見つめていると、先程同様、突然声を出した。
「あ、俺書類終わってへん!!」
彼は慌てて、タバコを灰皿に押し付け火を消し、部屋に戻った。
そんな彼の背中を見えなくなっても呆然と見続けた。
神について聞く彼は、どこか寂しそうに感じたのだ。
書類が終わっていない、とは言ったものの、
机に向かいたい気分では無い。
かと言って、暴れ回る気分でもない。
琥珀の彼は、今日は非番の日であった。
何しよっかな〜と、小さく声を漏らした。
すると唐突に、ドゴン、という音が聞こえた。
侵入者かと身構えたものの、すぐ警戒を解いた。
アクアマリンの彼奴と、ペリドットの彼奴。
手合わせしようぜ、なんて朝食堂で話していたな、と思い出したからである。
というか、爆発音が聞こえたと言うことは、どこかが壊れた…?
書記長の粛清が入るかもしれないな、と思いながら、
音の元へ走っていった。
「あ、シャオちゃん」
ゾム、コネシマの元へ行くと、サファイアの彼、大先生が居た。
「お前またサボってんの?」
「トンちには言わんといてな」
「さっきの音聞こえとったら来るんちゃう」
「はっ……たしかに」
大先生は大先生だな、とつくづく思った。
彼は思い出したかのように、「てかサボりじゃねぇし」といった。
まぁ、分かっている。
ここでタバコを吸っているのだ。休憩なのだろう。
ロボロのいる情報管理室でタバコでも吸ったら…たまったもんじゃない。
ましてやあそこは窓がない。換気ができないとなれば尚更。
「てかシャオちゃん、今日非番やろ?」
「まあな」
「久々なんやのに、街にでも行けばええやん、楽しいで」
「それもええねんけどな、今日はここにおりたい」
「あ、そうなんや」
夢を見たのだ。
あの日の夢を、あの日までの夢を。
「また、夢?」
「…うん」
俺より先に、拾われた奴なら知っている者が多いだろう。
「あんま無理せんといてな」
分かってるよ。そう返した。
手合わせをしているアクアマリンとペリドットの彼に目を移した。
どこか見とれてしまう手合わせ。乱暴なはずなのに、
2人は生き生きとしている。
そろそろ、書記長の彼が来そうだ。早々に退散せねば。
「そろそろトントン来るで」
そう言うと、サファイアの彼は慌てて隣に並んだ。
後ろから、コネシマの声が聞こえる。
コネシマの叫び声が。
そんな声を聞きながら、琥珀とサファイアは笑って歩いていた。
「トンち来たなこれ」
「ここまで聞こえるんヤバ」
他人事のように話しているのである。
まああれだ。彼ら二人には関係ないことなのだ。
自室が近づいてきたところで、じゃな。と言って、サファイアの彼と別れた。
空気が出る音と、台が軋む音が小さく響いた。
枕に頭を預けて、天井を虚ろな目で見上げた。
今日の目覚めは、良くなかったな。
思い出したくない。最悪な記憶。
とある孤児院を名乗る、実験施設に、
琥珀の瞳の彼、シャオロンと、マラヤガーネットの瞳の彼、ロボロはいた。
彼ら二人の瞳の色は、研究員には恐れられた。
裸眼でこの色なのだ。恐れられない、はずがない。
ここの孤児院に居るのも、この瞳のせいで捨てられたから。
毎日のように実験体に。
何も無い殺風景な部屋に研究員数人と、閉じ込められる。
真っ白な台に固定されて、何か分からない注射を刺され。
一人で苦しみ、悶えた。
それはそれは、最悪なものだった。
おそらく、マラヤガーネットの瞳を持つ彼も、同じだったろう。
孤児院に閉じ込められたのはほぼ同じ頃。
入れられてすぐの頃はもちろん、暴れて逃げて、抵抗をした。
そんなの、研究員がよく思うはずもなく、罰を与えられた。
死なない程度、与えられる飯に、毒を盛られた。
それでも懲りずに、何度も何度も、何度も。
逃げ出そうと考えた。せめて薬が入れられないように抵抗した。
何っ回も、脱走しようとした。
捨てられたとも知らずに、親の元へ帰るために。
その抵抗すら、虚しいものだった。
ふと、気がついてしまったのだ。
抵抗して、より多く実験されるより、大人しくした方が良いのでは、と。
その方が、自分も苦しまなくてすむのでは、と。
それに気付いてすぐの頃、マラヤガーネットの彼がここに来た。
瞳の色に目を惹かれ、つい、話しかけた。
「名前、なんて言うの?」
そう問いた。
ぶっきらぼうに、「ロボロ」と答えてくれた。
そんな、最悪な境遇の中の出会い。
シャオロンは、ロボロにずっと着いて行った。
もちろん、嫌そうな顔をされていたが、次第に彼も慣れたのだろう。
少しずつ、彼にも笑顔が増えた。
こんな中でも、笑えるんだと、琥珀の彼が無意識のうちに気づかせてくれたから。
前を向けたのだ。
薬を入れられ苦しんでも、互いに支えた。
二人で約束したのだ。
「 ふたりで半分こしよう 」
何を、と言わなくても、互いにわかっていた。
周りの子ども達は薬に耐えきれず死んでいくことすらあった。
眠る前はいつも通りでも、目が覚めたら、冷えきっていたことなんてざらにあるのだ。
なんなら、2人が耐えられているというのは、奇跡に近い。
一生このままなのだと、諦めていたから、早く死んでしまった方が、
良かったのかもしれない。
あの日まで、そう 思っていた。
焦げ臭い匂いで琥珀は目を覚ました。
薬のせいで胃の中から湧き上がってくる吐き気を抑えながら。
隣で丸まっていた彼を起こした。
__周りが燃えていたからだ。
立ち込める酸素ではないものと、込み上げてくる吐き気に耐えながら、
二人で一緒に出口を探した。
後ろに、瓦礫が落ちてくる。
轟々と燃え盛る炎。
今こそ、死ぬ時じゃないのだろうか。
そう考えているのに、必死に逃げている。
生きたいのだろう。知らないうちに生に縋っている。
なんとも醜いのだろうか。
否、生に縋る姿は、美しいのかもしれない。
孤児院で、ロボロに1つ、問いたことがあった。
「 神様って、いると思う? 」
周りの奴らはみんな、いないと言う。
ロボロはなんと言うのだろうか。
「いるよ」とでも、言ってくれるのだろうか。
「 神様なんておるわけないやん 」
そんな淡い希望は、一言で打ち砕かれた。
シャオロンは、いると信じていたのだ。
ずっとずっと、ずっと、ずぅーっと。
でも、ロボロには何も言わなかった。
彼に心はなかったから。
否、心を捨てた、の方が正しいのだろうか。
そう返されるのも、分かりきっていたのだ。
聞く方が、悪いか。
そんな話をした、次の日に、瞳に炎が写った。
轟々と燃える、クソみたいな場所だったところから抜け出した。
外の世界なんて何も知らない、彼らには、これからどうしたらいいのか分からなかった。
すっかりと空は藍色に染って、今の彼らには似合わないほど、
たくさんの星々が煌びやかに、うざったく感じるほど輝いていたのだ。
何も知らない彼らは、どこを歩いていけばどこに出るかも、何も分からなかった。
2人で、彷徨った。
「 何をしている 」
後ろから聞こえた。
高すぎず、低すぎない、心地よく感じる声。
振り向けば、そこには黒いコートを羽織る人物と、赤のマフラーを巻く人物がいた。
シャオロンは、声を出そうにも出せなかった。
先の火事から逃げる時煙を吸ったため、喉が焼けていたのだ。
ロボロを見ると、口を開けていた。
「 助けてください、お願いします 」
2人の人物に、懇願していた。
助けてくれるかも分からないのに、
頭を下げて。
シャオロンはロボロと同じように、頭を下げた。
何を思ったか、黒いコートを羽織った1人が、
「 生に縋るのは良いことだ、良いだろう 」
と。
そこからは何も覚えていない。
知らない無機質な空間で目を覚ました時、
マフラーをした男、トントンに「 疲れて気絶した 」と聞かされた。
ロボロも安心したのか、気絶してしまったらしい。
そしたら、トントンに「仲ええんやな」と言われた。
少し、嬉しかった。
まだトントンの事は何も知らないが、1つ問うた。
「 神様って、いると思う? 」
そしたら、こう返された。
「 いたら、そんななってへんと思うけど、 俺らと会えたんやから、いるんちゃう 」
あぁ、そっか。 そうだ。
ロボロとあんな場所でだけど、出会えたのは、
神様がいたからなのかな。
暗い部屋で目を覚ます。
無機質な部屋じゃない、自分の部屋。
いつの間にか眠ってしまっていたのだ。
時刻を見れば、午後の4時。
目覚めは悪くない。
だが、ぽっかりと心に穴が空いている気がした。
欠伸を1つして、目的の場所に行こうと、足を進めた。
情報管理室。
大量のモニターがある横に、鍵のかかった金庫のようなもの。
ロボロの所へ来たのだ。
漠然と、ロボロの顔を見たくなった。
「どうしたん」
情報管理室には、ロボロと大先生。
近くのソファに腰を下ろした。
クッションを抱えて、シャオロンは蹲った。
「なあ、ロボロ」
今なら、なんて答えてくれるだろうか。
「神様って、いると思う?」
いても、いなくてもいいの。
どちらでも良いから、聞きたかった。
唐突なシャオロンの質問に、ロボロは、はぁ?と声を上げたが、
初めてあって、名前を言った時のようにぶっきらぼうに、
「神様なんていーひんよ」
良かった、ロボロはずっと変わらない。
もちろん良い意味で、だ。
良い意味で、変わらないマラヤガーネットの瞳を持つ彼に、
琥珀の瞳の彼は、酷く安堵した。
「でも、もしかしたらどっかにおるんかもな」
その言葉に、琥珀は、
「どこかは分からへんけど、神様はおるんやで 」
ソースはない。 どこに根拠があるかも分からない。
はずなのに、琥珀はそう確信したように言った。
どうしてなのかは、琥珀の瞳の彼以外、知る由もないだろう。
__ロボロとみんながいる軍いる理由が、神がいると信じる理由なのだろう。
あとがき
軍パロ単発ですね。
最近ハマったpixivを参考に書きました。
好きだと思っていただけたら嬉しいです。
琥珀が神を信じる理由は一体なんなのでしょうか。
閲覧ありがとうございました!
コメント
4件
え、うま...!?!?語彙力が無限の彼方へ吹っ飛んだわ。🫠() サファイアの彼とか、直接的には言わない表現の仕方めっっっちゃ好きだわ、!!! 時系列とかがさ、いい感じに混ざってるし読んでて違和感無くてほんっっと凄いわ...✨💞😇
表現の仕方が上手くて泣けた。 特に軍で何かあったんじゃなくて過去で物語を完成させるって言うの控えめに言ってすき………💖💖(語彙力皆無) 神様っていいナァァァアーーー!!(
単発でここまで泣けるストーリーを書ける貴方は天才ですか???