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ソルトちゃんの作る話だいふきすぎる!!!!これからも頑張ってっっっっっっっっっ
ある日の今日、突然雨が降ってきました。
私は本田菊、大学生です。ただいま雨に打たれながら何処か雨宿りできる場所を探しております。
「もう、天気予報の嘘つき!今日は一日中晴れだって言ってたじゃないですか!」
言っても仕方のない天気予報への文句をもらしている間に少し雨が強くなってきたのを感じました。
「わわっ、、、強くなってきました。どうしま、、、しょ」
そんな私に幸運の女神が味方してくれたのか、丁度良さげな喫茶店が目に入り私は思い切って店のドアを開き、カランコロンとベルの音を鳴らしました。店員さんが「いらっしゃいませ」、と優しくご挨拶をして、タオルまで持ってきてくださいました。心なしか、さっきまで雨のせいで寒かったはず体があったまってきたような、、、。私はせっかくなのでカプチーノを一つ注文することにしました。熱々のいい香りをしたカプチーノをフゥフゥと冷ましていると、カップにこのお店のマークがに描かれている事に気がつきました。
天使のマークです。
わぁ可愛いとつい呟くと、先程の店員さんが声をかけてくださいました。
「このマーク、昔よくきてくれた子が描いてくれたんですよ。」
「そうなんですか!」
「はい、10年前でしたかね。丁度お店を開いたばかりで、、、絵を描いたり歌うのが好きみたいでして。店を開くためにこの街に移って、不安ばっかりだったんですけど、その子のおかげで不安なんて飛んでってしまったんです。本当に天使みたいな子でしたよ。」
「それはそれは、、、その天使さんには感謝ですねぇ。」
「はい、!とっても、、、」
このお店の素敵な話を聞けて何故か得した気分になりました。そして一瞬忘れかけていたカプチーノを一口。
「いい香り〜とても美味しいです。
あっそういえばカプチーノってどこの国が発祥でしたっけ?」
「発祥ですか?たしか、、、
イタリアですよ。」
「、、、イタリアですか。」
「そういえばさっき言っていたその子もイタリア人だったんですよ。」
「へぇ。」
店員さんと他愛のない話をして和んでる間にカップはからに。外も小雨になってきた事だし、私は改めてお礼を言って支払いを済まし、店を後にしました。素敵なお店にも出会えて、美味しいカプチーノも飲み気分は晴れ晴れとしているはずなのに、、、私の中で何かがつっかえる。しかし、しばらくしてそのつっかえは解消された。
「そうだ、フェリシアーノちゃん!」
私は10年前、親御さんの都合で一時期日本に来ていたイタリアの少女の事を思い出した。
〜10年前〜
「Piacere di conoscerti! 今日からしばらく隣のアパートに住まわせてもらいます。ヴァルガスです。イタリアからやってきました。」
「よっ、ようこそ日本へ、、、!」
これは雨がしとしとと降っていた日曜日。両親は遠出をしていて家には私1人であったあの日。イタリアからやってきた親子が訪ねてきた。初めての外国の方とのお話にドギマギあたふたとしてどう考えても挙動不審な私をみて素敵なマダムはニコりと微笑んだ。どうやら母親は日本語が出来るらしく、戸惑う私にそれはもう流暢な日本語でご挨拶してくれた。当時中学生だった私は英語のえの字もできないし、イタリア語なんてもってのほか。相手が日本語を喋れるとわかってホッと息を吐く。すると1人の女の子がひょっこりと母親の背中から顔を出す。もじもじとしながら私の方を上目遣いでチラッと見つめる姿は本当に可愛らしくて、思わず微笑んだ。すると照れるように顔を母親の背中にぴったり隠れてしまった。その様子を見ていた母親がまたニコりと笑い、その子を前に出して
「この子はフェリシアーノ、7歳よ。」
と軽く紹介してくれた。
先程イタリア語はわからないと言ったが簡単な挨拶ならわかる。私はフェリシアーノちゃんの身長に合わすようにしゃがみこみ
「ちゃっ、ちゃお。」
と挨拶をした。すると大きな目を少し見開きまるで天使かと錯覚するくらいの笑顔で微笑み、元気よく「Ciao‼︎‼︎」
と言ってくれた。それはもう可愛かった。会って数分ですが一瞬にしてフェリシアーノちゃんの事を愛おしく感じでしまった。ちなみに私は断じてロリコンではない。断じて。そんな事を思ってる間に雨は止んでいて、晴れた日差しが鼠色の雲の間から差し込んだ。もしかして本当に天使なのではなかろうか、なんて思ってしまう。
この日をきっかけにそれからというもの私たちは仲良くなったのです。中学校と小学校の道へのルートは同じなので一緒に行くようになりました。休日もたまに何処かへ遊びに行く日がありました。まるで妹ができたような気持ちでした。言葉はお互い通じませんでしたけど、とても充実した梅雨の時期でした。
ですがそんな日も長くは続かないのです。
「キク、、、お世話になったわ。ほんとにありがとう。私たち、貴方のお陰でこの国がもっと好きになったわ。また会いたい。」
どんな出会いにもお別れは付きもの。ついにフェリシアーノちゃん達はイタリアへ帰ることになったのです。
「フェリシアーノちゃん。今まで、ありがとうございました。あまり長い間は一緒にいられなかったけれど、フェリシアーノちゃんと過ごせた日々は本当にかけがえのないものなんですよ。」
お母様に私の言ってる事を伊訳してもらう。するとフェリシアーノちゃんは今さっきまで堪えていたものが全部溢れ出すように顔をぐしゃぐしゃにしながら泣き出してしまった。
「、、、フェリシアーノちゃん。可愛い顔が台無しですよ。ほら、泣かないでください。きっとまた会えますか、、、」
最後の言葉を言い終わらせようとした時、フェリシアーノちゃんは私に飛びつき、小さな手でぎゅぅっと抱きしめた。その瞬間、私まで涙がポロリも落ちた。お別れで泣いてしまうなんて幼稚園以来だった。私もフェリシアーノちゃんの小さな体を優しく抱きしめ返し、頭をサラリと撫でてやった。本当に長い期間一緒にいたわけではないのに、ずっと昔から知ってる気がしたあたたかみが心地よくて。離してほしくなかった。けれどそういうわけにもいかない。私は体をそっと離す。そして小指と小指を結んでまた絶対会いましょうね、と指切りげんまんをした。すると、フェリシアーノちゃんはカタコトな日本語でゆっくり言った。
「もっ、と、、大きく、なったら、結婚して、ください、!!!」
鼻水をズズっとすすりながら勇気を出して言ってくれた可愛らしい告白に私は思わずコクリと頷いた。それに安心したのかフェリシアーノちゃんは私の元へと少しずつ離れ、空港へと向かうタクシーに足を運ばせた。悲しさを紛らわすため上を見上げ空を見ると、雨が私の気持ちとリンクしたように降ってきて、涙を目立たなせぬようビッショリの私を濡らしてくれた。
と、いう素敵な思い出がわたしにもあるではないですか。本当に大切で大切で仕方ない思い出に少し浸っていた時間は思ったより長かったようで小雨とはいえまぁまぁ私の体は濡れていた。帰ったらお風呂ですねぇなんて思っているとドスッと曲がり角で人とぶつかってしまった。私は慌てて謝る。
「す、すみませんっ!」
「、、、菊?」
「へ?」
突然呼ばれた名前につい間抜けな返しをした。私は恐る恐るぶつかった方の顔を見る。
「、、、っ!!」
いや、誰だかわからない。わかったことはぶつかった相手が溜息が溢れるほどのイケメン外国人というだけだ。しかし、何処かで見たことがあるような気もしなくもない。私は彼に話しかけようと口を開けた瞬間
「ぁ、」
ぎゅぅっ!!と、思いっきり抱きしめられました。えっ、、、と戸惑う時間もくれず彼はそれはもう流暢な日本語で話し出します。
「菊だよね?やっぱり菊だ!うわぁ、ぜんっぜん変わってないんだね、、、本当に俺の大好きな菊のまんまだ、、、。」
私、こんなイケメンさんと知り合いでしたっけ。いや、そんなことよりだ。早く人目が少ないうちに離してほしい。恥ずかしすぎて爆発しそうになり、言葉がち◯かわレベルの語彙にながらも必死にグイグイと自分よりももう二回りくらい大きい体を押して抵抗する。その様子に気付いたのかイケメンさんはパッと離してくれた。
「ねぇ、、、もしかして、俺のこと覚えてない?」
「えっ、、、あっ、、、まぁ、、、。」
途切れ途切れになる返事にイケメンさんは今にも泣きそうな顔をしながら私の服の裾を掴む。
「本当に、覚えてないの?俺は覚えてるよ。忘れた日なんて一度もない。」
お願いですからそんな悲しい顔をしないでください。
なぜか浮かんだ言葉だった。なぜそう思ったのかはわからないがなんとなく彼には悲しい顔はさせたくなかった。私の名前を知っているということは人違いということはなさそうだ。恐らく本当に知り合いなのだろう。しかし、やはり私の記憶の中にイケメン外国人の姿は出てこない。キラキラ光る橙色の目から溢れそうにはみ出す涙をソッと拭う。
「すみません。なんとか思い出そうとしているのですが、、、」
「、、、!い、いよ。気にしないで。でもそっか。てことはあの約束も忘れちゃったんだね。」
「やくそく?」
彼は私の手を優しく握った。頭にはてなを浮かべているとチュッと手の甲にいわゆるキスをされ、、、え?キス?頭にはてながふえる。
「大きくなったら結婚してください。」
、、、え?
その言葉には聞き覚えがある。というか聞き覚えしかない。だってそれを言ってくれたのは先程の思い出に登場した
「フェリシアーノちゃん、、、?」
私の蚊の声かっというほどの声を彼は拾い、パァっと顔を明るくさせた。眩しいほどの笑顔に圧倒されながらも私の頭は大量の情報で埋もれていた。
「〜〜っ!!!思い出してくれたんだねっ!菊!!!」
「ぎゃっ、、、って貴方、フェリ、、、いやでも、え?」
再び抱きしめられるが今の私に照れる余裕はなかった。この目の前の好青年が、あのフェリシアーノちゃん?確かにまじまじと見てみれば特徴がおんなじである。いや待てそんな訳がない。だってフェリシアーノちゃんは
「女の子ですよね?」
そういうとブハッと声を出して笑った。
「ふふ、違うよぉ、、菊ったら俺のこと女の子だと思ってたの?あーなんだ、そういう事だったんだぁ、んふふ、、、」
ふわふわとお花が飛ばして納得する彼についていけない私。どうしても信じられないので私は彼に証拠を要求した。
「証拠?証拠ならあるよ!ほら、これ、、、」
得意げに見せてきたのは一枚の猫が描かれた本のしおり。私は口をあんぐり開けた。これは私がフェリシアーノちゃんが猫が好きだというからそこら辺にあった無地のしおりに描いて渡したものだった。つまり売られているものではないし、この世界にこのしおりを持っているのはフェリシアーノちゃんだけとなる。
「俺、ずぅっと大切にしてたんだぁ。どこへ行くときも離さずにね。他にも菊も一緒に描いた絵とか、一緒に撮った写真とかぜぇ〜んぶ!とってあるんだから!!」
彼はそうやってふふんっと笑ってみせた。完敗だ、いや何に?私は目の前にいる青年が間違いなくフェリシアーノちゃんであることを確信する。それにしても、昔はあんなに可愛かったのに、いや今でも可愛いのだがなんかこう、、、男前になりすぎでは、、、。私は無意識に目を少しそらした。
「菊?どうかした?」
「い、っえ、なんというかその、、、」
「?」
「女の子と勘違いしていましたし、尚更なんですが、、、」
「んー?なぁに??」
「カッコ良くなりすぎです、、。」
今度こそ聞こえないくらいの声で言った。しかし聞こえてしまったらしい。フェリシアーノちゃん、、、いやフェリシアーノくんの抱き締める力が強くなった気がする。
「菊はっ、、、可愛くなりすぎ!!!!」
「え、私が?それはないですよ。」
「もぉー!!相変わらず自己肯定感低いんだから!」
「す、すみません。」
「すぐ謝る癖も未だにあるんだね。」
「、、そ、そうですか?」
自分の事を改めて人に指摘されるのはなんとなくむず痒くて、でも嫌な気分ではなかった。私は10年前とは随分と違う背中に手を回しを抱きしめ返す。
「っ、!きっ」
「フェリシアーノくん、、、」
「お帰りなさい。」
遅れてきたフェリシアーノくんとの再会への嬉しさや今まで会えなかった分の寂しさが一気に込み上げてきた。正直まだ信じられないのだ。目の前にあの子がいることが。
「、、、うん、ただいま。菊。」
彼の返事で確かに彼はいるんだなぁと実感する。
先程まで雨がシトシト降っていたのに気づけば空は晴天。服が濡れて肌寒かった体もフェリシアーノくんの体温が暖めてくれた。そんな私たちを優しい日差しが照らしてくれている。そんな気がした。
「菊、改めて俺と結婚してください。」
「ぃ、、、えっ」
「えっ!これってそういう流れじゃないの?!」
「そっそれは、、、ぜっ善処します、、、。」
「えぇえ〜〜!!」
なんて言いながらも、一瞬いいですよ、と返答しそうになってしまった事は今はまだ言わないでおこう。その告白の返事はもう少し君が大人になってから。
おまけ。
数年後、、、
「フェリシアーノくんと再開してもう数年経ちますねぇ。」
「えへへ、そうだねー。」
「あの日、あの時出会わなかったらどうなっていたんでしょう。私、実家からは少し離れてましたし。」
「どうもなってないよ!!だって俺と菊は運命の赤い糸で結ばれているからね!どこかで必ずまた出会ってたはずだよ!」
「ふふ、そうですねぇ。あ、そういえば何故あの通りに行ったんです?」
「あー、俺昔さここら辺にあったお店によくお世話になっててね。だからご挨拶に、、、まぁ菊と会ったからまた後日に行ったんだけどね。」
「それはすみません。、、、あのもしかしてその店ってsoleggiatoって店じゃないですか?」
「え?うん、そうだったと思う。」
「やっぱり!私その日その店で雨宿りさせてもらったんです!」
「えぇー!そうなの!?俺、引っ越してきたばっかのころあそこの店主さんに良くしてもらってたんだ!女神みたいに優しい人だったなぁ。天使の絵も懐かしかったよ。まだ残してくれてたんだって嬉しかった。」
「そうだったんですねぇ。店主さんもフェリシアーノくんの事天使みたいだって言ってました。」
「えへ、なんか照れるな。店主さん、イタリア語喋れるから日本に来たばっかで不安な俺にとっては凄く頼りな人だったんだ。もちろん!菊だってそうだったけどね!!」
「そう言ってもらえて嬉しいです。でもそう、イタリア語喋ることができるんですね。羨ましいです。私もイタリア語習いましょまうかね。フェリシアーノくんはどうやって日本語覚えたんです?」
「それは勿論菊への愛の力だよ!」
「なっ、貴方またそんな恥ずかしい事を、、、」
「ふふ、でも俺今本当に本当に幸せー。」
「菊は?」
「、、、私も、ものすごーく幸せですよ。」
「菊にそう言われてもっともっと幸せになった〜。、、、あっ!!!見て見て虹だぁ!」
「本当ですね!」
「きっとこの空も俺たちの幸せを祝福してくれてるんだよ。」
「そうですね。きっと、きっとそうですよ。」
「これからも雨あり晴れありの幸せな俺たちを見守ってください。」