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⚠︎︎gktu 事後
『 無理させてごめんな、刀也さん』
ぎゅ、って、後ろから抱きしめられて。
声は掠れて、もう何も出来ないくらいくたくたなのに、ガクくんの手はまだ僕の背中をお節介に撫でて、髪を梳かして、長い指の先で首筋の汗を拭ってくる。
「…手、止まんないじゃん」
『 止めらんないっす…とやさん、めちゃくちゃかわいかったんで 』
声が優しい。
少しムカつくぐらい慣れた手つきで腰に回された腕が暖かくて、体温が心臓の奥の方までじんわり染みるみたいだった。
『 ほら、水ちゃんと飲んで、刀也さん』
「口移しは?」
『 っ…はいはい、黙って水飲んで』
『 後でオレが体洗っといてあげますから』
…全部完璧、どこも難をつけるところがないくらい。されたい事も全部言う前にしてれる。
自分でもやりすぎだってわかってるのか、いっつもしたあとはこんな感じだ。タオルも、お水も、着替えも、いつの間にか用意してあって。
どれだけ激しくされても、どんだけ冷たくされても最後はこうだ。しつこいくらい、入念に。
「…おせっかい」
『 エッ!?…ダメっすか?このやり方…』
「…全然ダメじゃないけど…ガクくんが僕のことぜーんぶわかってるみたいで」
『 …..全部知りたいっすけどね、刀也さんのことなら。もっと知りたい。…全部把握していたい』
いつもと変わらない笑顔。
でも僕の目をしっかりと見つめてる目だけが、
本当に全部愛すつもりなんだって。
もう包み込んでくれる優しさ、なんかじゃなくて、ガクくんの優しさに溺れさせられるんだって。それが怖いくらいに嬉しかった。
「ばーか、もう教えられるようなことないですよ」