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07 勘違い
私・べるは昔から霊感が良かった。
未練が強ければ強いほどその霊がはっきり見えて、会話ができたり、この世の物に接触できる。
だからこそ、私は昔から幽霊と人間の見分けがつかない時があった。
生きている人が実は幽霊だったり__なんてことは日常茶飯事だった。
両親に厄払いに連れていかれそうになったことが何度あったか。
最近はもう見分けがつくようになってきていて、見間違いなんてしなくなった。
なのにあの日、あの時、私は忘れていた。
ななっしーが‘生きていない者’なんじゃないかって。
その結果がこれだ。
「気まずいなぁ___」
今日の部活が終わった放課後。
人通りのない非常階段に座って、水筒の水を一気に飲み干した。
私の両親は共働きで、帰ってきていないと思うし、つまんないな__。
残念ながら友達はうたいさんもあふぇさんも用事があるみたいで本当に暇になってしまった。
いつもならこう言う時ななっしーを探すのに、今日はそう言うわけにもいかない。
「___帰るか___。」
うだうだしてても仕方ないと思い立ち上がった時、下の段から駆け上がる音が聞こえた。
「あれ?べるさん?」
「さもくん?」
下の階から上がってきたのはさもくんで、多分先生から預かったであろうプリントの束を持っていた。
「べるさんここで何してたの?」
疑問そうなさもくんに首を振って、「特に何も。」と返した。
さもくんはすぐに先生に雑用を押し付けられてるなぁ___。
「職員室に持って行く感じ?半分持つよ。」
私に言われて、「大丈夫だよ」と言われたものの、ちょっと強引に持つとそれ以上は何も言わなかった。
さもくんにはまだななっしーの事、言わないほうがいいよね___。
「あ、べるさん今日暇?よかったら俺の家来ない?」
「え、いいの!?」
あれ、でも___
「さもくんのご両親は?」
私がきくとさもくんは「今日は帰ってこないよ。」と言われた。
何気にさもくんのご両親は見たことないな__と思ったけど、物事に突っ込みすぎるのは良くないか___。
「お邪魔しま〜す!」
何気にさもくんの家は初めてだ!
家に上がるとさもくんに案内されて、右手にある階段を登る。
「わぁ___」
き、綺麗!
部屋が、メチャクチャ、綺麗!!
「?」
不意に机の上に乗っていた写真に目が入った。
あれ?この写真近くにある私立の中学校の制服?
私も行ってた学校だから間違いはない。
さもくんも同じ中学校だったんだ__。
それよりも気になったのは、隣に映っていた女の子だった。
桃色の髪、ビイドロのような瞳、印象的な飴のピン。
「____ななっしー?」
私がポツリと呟くと、さもくんがこっちに振り返った。
「ああ、その写真気になる?」
その時のさもくんは、ちょっと悲しいような顔をしていた気がする。