テラーノベル
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⚠️🍵👑(左右はどっちとも取れるかもしれません。)
🍵→モブ表現あり
好きなボカロの曲を聞いて書きました。(タイトルで察せるかも…?)
死ネタがあります。地雷の方はバックしてくださいませ。
俺の初恋はその日、儚く潰えた。
隣の席のすちくん。転校生の俺にも優しくしてくれて、クラスに馴染めるよう、たくさん話しかけてくれた。
彼は俺のことを友達と呼んでくれた。隣で笑い合ったり、一緒にご飯を食べたりしてくれた。
……だけど、いつからだろう。「友達」じゃ足りないと思った。
すちくんに見つめられると心臓がばくばくしちゃう。
すちくんが誰かと話していると嫉妬しちゃう。
すちくんが触ってくれたところが熱くなっちゃう。
すちくんが俺のことを好きになってくれたら…って妄想しちゃう。
「すちくんが俺のことを好きになってくれたら」、?
…何考えてんの、俺。すちくんの恋愛対象は男じゃない。女の子だ。
きっとこの感情は彼のためにも、俺のためにも。……しまい込んでしまった方が良いものなんだということは痛いくらい分かっていた。
「みこちゃん。相談があるんだけど」
いつもは余裕があって、隙のないように見えるすちくんが珍しく頬を赤くさせていた。
「どしたの?俺でよければ何でも聞くで!」
ついつい嬉しくなって口元が綻んだ。だって、完璧なすちくんに頼られたんだもん。
……でも、相談ってなんやろ?
「…じ、実はさ。好きな子ができたんだよね」
照れくさそうに視線を彷徨わせながらすちくんの口は最悪の言葉を紡いだ。
「ありがとね、みこちゃん。ちょっと心が軽くなったかも」
「…よかった!全然ええよ。俺なんていっつも助けてもらってばっかやし」
にこ、と貼り付けたような笑みを浮かべる。
すちくんの話はなんにも頭に入ってこなかった。自分が彼になんて助言をしたのかも全く覚えていない。
隣のクラスの〇〇ちゃんのことを話すすちくんは嬉しそうで、生き生きしていた。普段なら愛おしく感じるはずのその表情が、とっても憎たらしく思えた。
なんでこんなこと思っちゃうの?気持ち悪い。気持ち悪い。
「あ、俺そろそろ用事あって帰らないとなんだよね。それじゃね、すちくん」
「え、ごめんね。時間もらっちゃって…」
「俺が聞きたかったからええの!すちくんに相談してもらえて、すっごい嬉しかった」
有無.(Umu.)
7
こあたん
2,274
111
俺がそう言えば申し訳なさそうにハの字に下がっていた眉がパッと緩くカーブを描いた。
その表情すら俺の心を深く抉った。
…今すぐ離れないと、
「また明日!」
すちくんの方は振り返らずに、ひたすら走った。
俺は逃げるようにトイレに駆け込んだ。
鏡に映る自分の顔。瞼は腫れ、瞳は潤んでいる。
到底誰にも見せられそうにない醜い顔。
「あ〜、つら…」
止めようと食いしばっても、とめどなく透明なものが溢れて落ちていく。
分かってたよ。すちくんは俺のことを「友達」としか思っていないって。
…だけど、すちくんが他に好きな人ができていただなんて。
「俺、想い伝えられてたらよかったなぁっ…」
全部全部後の祭り。すちくんが今こんなことを言われたら尚更困るのはわかりきっている。
彼と友達ですらいられなくなるのは嫌だから。
「ぐす…っ、ひぐっ、…」
誰もいない静かな空間で、俺は1人泣き続けた。
「あ、みこちゃん。おはよ〜」
「すちくん!おはよっ!」
席に鞄を下ろすと、すちくんがにこにこと手を振った。
……どこか、嬉しそう。
「なんかええことあった?」
「え、そんなわかりやすかった!?」
そう言えば顔を赤くして手で口を覆った。いちいち仕草がかわいいんよ…。
「あの、実は…昨日、〇〇ちゃんとお話しできて!」
その子の名前が出てきた瞬間、表情が強張るのを感じた。
「っ、へぇ〜…。よかったやん!何話したの?」
聞きたくない。聞きたくないと言うのに舌がくるくる空回りする。
「えっとね、_____」
すちくんが嬉しそうに瞳を輝かせて口を開く。
彼が幸せそうに笑うたびに、俺の心は黒くぐりぐりと塗りつぶされていった。
「みこちゃん!お昼食べよ」
「え、…っと。ええよ!」
正直今はすちくんと顔を合わせたくなかった。どんどん惨めになる気がして。
だけどもしすちくんが彼女に告白をして。…付き合ってしまうなんてことになったらお昼を一緒にすることもできなくなるかもしれない。
「そしたら、屋上行こ!」
「う、うん…!」
咄嗟につけた笑顔は綻んでいなかっただろうか。
重い扉を押して、屋上に出た。風がそよそよと気持ちいい。
いつもは誰かしらがすでにいて談笑しているのだが今日は誰もいないらしい。
静かで風の吹き抜けるここは、どこか心地よかった。
「今日誰もいないね。ラッキーかも」
「そやな〜」
誰もいないので、一番見晴らしの良い場所に腰を下ろす。
お弁当箱を袋から取り出し、手を合わせる。
ビュウッ…!
「あ、!」
その瞬間、すちくんのお弁当を包んでいた風呂敷が風に攫われた。
確か、すちくんのおばあちゃんの形見だったはずだ。
「みこちゃんっ!?」
無我夢中で風呂敷に手を伸ばす。もはや周りの景色は見えなくなっていた。
あとちょっと…!
パシ!
「っ、とれたぁ…」
「みこちゃん!」
「え、」
聞いたことのないぐらい焦ったすちくんの声。
ぐらりと体が傾いた。
がしっ…!
「す、ちくんっ…!?」
手首にぎゅうっとものすごい力がかかる。
見上げればすちくんが真っ赤な顔で俺の腕を必死に掴んでいた。
「危ないこと、しないでよっ…!」
綺麗な赤い瞳には焦りが滲んでいて、その視線は一心に俺に注がれていた。
……すちくんが、俺のことを見てくれてる…?
醜い幸福感が心を満たす。
優等生で、クラスの中心にいて、優しくて、綺麗で、完璧な彼が俺なんかのために必死になっている。
…このまま、俺が落ちちゃえば、その瞳に俺を映してくれる、?
「あは、」
「みこちゃん…?何してんの、早く登ってきてっ…」
すちくんの腕がぷるぷると震える。そりゃあそうだ。こんな体制で成長期の男子の体重を長時間支えられるわけがない。
「…すちくん、もう限界でしょ。…離して」
「っ!?何、言って…!」
宙に浮いた左手をポケットに入れて、ハサミを取り出す。
それを思いっきりすちくんの右腕に刺した。
「い゛っ……!?」
すちくんが痛みに思わず手を離す。俺の思い通り。
すぐに、ふわりと宙に浮く感覚がした。
「……一生、好きでした」
ポツリと呟く。すちくんが聞こえるか聞こえないかわからないくらいの大きさで。
赤い瞳が見開かれる。そこに映るのは地面へと墜ちてゆく、俺。
そう。しっかり見といてね。ぐちゃぐちゃに潰れる俺を。
もう、終わりにしよう。
……死ぬまでずーっと、焼き付けてね。
___ぐしゃっ。
血溜まりの中の俺、君の瞳の中の俺。
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参考:花めかない
コメント
3件
読ませていただきました……つらすぎます。みこちゃんの「友達じゃ足りない」という気付きから、すちくんの恋愛相談でゆっくりと胸が削られていく描写が本当に丁寧で、読んでいて息ができなくなりました。特に「俺が落ちちゃえば、その瞳に俺を映してくれる?」という思考の歪み方が痛くて、最後の選択まで一気に持っていかれる構成が巧みです。るまさんの繊細な心理描写、心に残りました。