テラーノベル
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巨大な白い建物。
ガラス張りの外観に、無機質な空気。
「……でか」
思わずつぶやく陽葵。
ここは、国直属の能力測定機関。
本来は中学三年で受けるはずの実技テストを、陽葵は特例で受けることになった。
「緊張しているか?」
隣に立つ、あの男。
「してません!」
「声が上ずっている」
「してます!」
正直に言い直す。
案内されたのは、広い実験室のような空間。
分厚いガラス壁。
白線が引かれた床。
「ここで、各属性の出力と持続時間、制御精度を測定する」
「さらっと言いましたけど、私まだ初心者ですよ!?」
「承知している」
淡々。
「だからこそ測る」
「感情を高めろ」
「え、急に!?」
「怒りでも焦りでもいい」
「いやそんな都合よく怒れないですけど!?」
困っていると、男が静かに言う。
「もし、目の前で誰かが傷ついていたら?」
その瞬間。
胸が、ぐっと熱くなる。
「……っ!」
空気が揺れた。
ボンッ、と炎が弾ける。
ガラス越しの計測器が一斉に反応。
赤い数値が跳ね上がる。
「出力、異常値」
係員の声。
陽葵は慌てて手を引っ込める。
「すみませんすみません!」
「連続使用」
「え!?」
「もう一度だ」
再び炎。
今度は少し制御を意識する。
だが二回目で、膝がぐらつく。
「……っ」
「停止」
男の声で中断。
「連続耐性は低いな」
「だと思います……」
息が荒い。
「今度は冷静に」
「冷静にってどうやるんですか!?」
「深呼吸」
言われた通りにする。
落ち着く。
静かな湖を思い浮かべる。
指先から、ゆっくりと霜が広がる。
床に薄い氷の膜。
「持続」
数分。
じわじわと、指の感覚が消える。
「……あ、やば」
「停止」
解除。
指先がじんじんする。
「体温低下、確認」
「寒い……」
最後に運ばれてきたのは、人工的に作られた損傷モデル。
「これを修復しろ」
「本物じゃないですよね!?」
「本物ではない」
ほっとして、手をかざす。
淡い光。
傷がゆっくりと塞がっていく。
計測器の数字が静かに上がる。
「他者治癒適性、高」
「へえ……」
少し誇らしい。
「では自己再生を想定した出力を」
「え?」
「限界まで」
言われた瞬間、躊躇する。
でも。
やると決めた。
光が強まる。
視界が揺れる。
「……っ、は」
足が震える。
立っていられない。
「停止」
床に崩れ落ちる。
「陽葵!」
支えられる。
息が荒い。
でも、どこか達成感があった。
ガラスの向こうで、係員たちがざわついている。
「三属性、すべて基準値超え」
「出力だけなら上位クラスだ」
「だが制御と持久が不安定」
男が陽葵を見る。
「自覚はあるか?」
陽葵は苦笑する。
「めちゃくちゃあります」
男はわずかに頷く。
「正式認定だ」
一拍。
「朝比奈陽葵。君は三属性保持者として登録される」
心臓が大きく鳴る。
「そして――」
静かに告げる。
「我が学園への入学資格を得た」
陽葵は、ゆっくり息を吐く。
怖い。
でも。
逃げない。
「……行きます」
小さく、でもはっきりと。
「ちゃんと強くなりたいから」
男の目が、初めて柔らかくなる。
「良い返事だ」
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麗太
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