テラーノベル
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「入学まで、まだ三週間ある」
測定室を出たあと、男はそう言った。
「その間、簡単な訓練を行う」
「え」
陽葵が固まる。
「え、簡単ってどのくらいですか?」
「基本操作だ」
嫌な予感しかしない。
案内された場所は、巨大なドーム型施設だった。
床は特殊素材。
壁には計測機器。
「ここ、学校じゃないですよね……?」
「訓練用施設だ」
「なんかアニメで見たことあるやつ!」
陽葵はきょろきょろする。
すると男が言う。
「まずは制御」
「はい!」
「火を出せ」
「急だなあ!?」
陽葵は手を前に出す。
「えーっと……怒る……怒る……」
「演技が下手だな」
「ほっといてください!」
でも少し集中する。
胸の奥にある“熱”を思い出す。
ポッ。
小さな炎が灯る。
「おお!」
「そのまま維持」
十秒。
二十秒。
三十秒。
「……あれ、意外といける」
次の瞬間。
ボンッ!!
「わあああ!!」
炎が大きく爆発する。
「だから感情に引っ張られるな」
「びっくりしたんです!」
「今度は氷」
「はい!」
陽葵は深呼吸する。
さっきより落ち着いている。
床に霜が広がる。
「いい」
氷がゆっくり伸びていく。
柱のように固まる。
「……できた」
少し嬉しい。
でも三分ほど経つと。
「……あ、手が」
感覚が薄れる。
「停止」
「はい……」
指がじんじんする。
最後に、訓練用の損傷モデル。
「修復」
陽葵は手をかざす。
光が広がる。
傷が塞がる。
「安定している」
「これ、得意かも」
「ただし」
男が言う。
「自己再生を使えば、今の体力ではすぐ倒れる」
「それはもう体験済みです」
苦笑する。
陽葵は床に座り込む。
「はあ……能力って筋トレみたいですね」
「近い」
「疲れます……」
「だから鍛える」
男は静かに言う。
「君の力は大きい。だが扱えなければ危険だ」
陽葵は天井を見る。
「……でも」
少し笑う。
「ちょっと楽しいです」
「そうか」
「強くなれる気がする」
男は短く頷く。
「その感覚を忘れるな」
その時。
ドームの入口が開く。
別の訓練生らしき影が入ってくる。
「……あれ?」
陽葵が首をかしげる。
同じくらいの年の少年。
鋭い目。
そして彼の手のひらには――二つの属性の光。
「新人か」
彼は陽葵を見る。
「三属性って聞いたけど」
一歩近づく。
「どれくらい強いの?」
挑発的な笑み。
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