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#魔道具職人
こはる
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第36話
私は、魔法のかけ方を少し変えた。
少しって言っても、力の働き方は凄く変わるんだけどね。
「わぁっ!」
私が一振りするとそう言ってニルスさんは、のけぞった。その背後からラルフさんが剣を振り下ろしてきた。
勿論、避けたけどね。
「えっ?」
相当自信があったらしい。
「今の、良かったです。今までで一番なので、その意気でかかってきてください」
ノアも負けじと、飛んできた。剣を振った。スピード重視で。
前に教えたやつだ。
『剣の抵抗を少しでも減らすのが高速スピードの秘訣よ』とね。
「その応用ね」
私は、剣に纏う風を変えた。
「空気にある一つ一つのプラズマを考えるの。プラスと、マイナスがあるでしょう? 私は、電気が使えるから、そこを伸ばしたの。ヒントよ」
私は、その勢いで剣を跳ね返した。
後ろから二人でかかってきたので、流石に避けた。
「こう見えて、スピードと、魔法の繊細さと、剣術と、パワーの弱さはこの中で一番だと自分では思ってますよ」
判断力とパワーは、ニルスさんが一番。魔法の威力と反射力はノアが一番。周りを広く見えるのと魔力の多さはローベルトさんが一番。慎重さと、体力はラルフさんが一番。
「ふふっ。もう少し加減を減らしましょうか」
私は、そう言いながら、目ににも追えぬ速さで、背後を取って、訓練場の壁に叩きつけた。
私は、ゆっくりその叩きつけた場所まで歩いた。
「私の勝ちですね」
「あぁ。そう思いたいだろうが、ちょっと大人気なくするな」
そう言いながらニルスさんは、三人を回復させた。
ふふっ。面白くなったね。
「もう一度言っておきます。私なんかに、手加減は不要ですよ」
私は、それから滅多打ちにした。
「うぅ……リナは、どのくらいの出力だったの?」
ノアが頬を膨らませながら、私の事を赤い瞳で見た。
「う〜ん……さっきの最大出力は、三割。いつもは、一割とちょっと」
「本気で言ってるのか……」
ローベルトさんが深いため息を吐きながら頭を抱えている。
「えぇ。嘘は吐きません。護衛の方も任せてください」
私が胸を張って言うとローベルトさんは「頼もしい」と微笑んだ。
「ま、この技術が表沙汰になるのも、時間の問題だろうな」
そうラルフさんが、私の頭を撫でながら言った。マリンブルーの瞳は、何か儚いというか、心配しているような目だった。
「ねぇ、あの剣の所には行かないの? 魂が同じなら、何かできると思うけど」
あ、星霊の剣。
ニルスさんが、深く考えながら私たちの事を見た。二人分の青い瞳で見つめられているのはちょっと怖いような、安心するような。
「そうですね……でも、また私が選ばれたとて、私がその剣を独占してしまっていいのかなって……」
そこまで言うと、扉の前に立っていた不審な影が三回ノックした。
私が、扉を開けるとストレート髪質の金髪、傷一つない白い肌、深い紫の瞳。異様な魔力の量と、圧が強い。トップスリーにはいるだろう。
それに、十代前半くらいにみえる。いや、童顔と言いたいわけじゃないけど……うん。可愛いらしいと思う。
ってか、コミュ症気味な私にトップスリーと言われても分からないだろうけどね。
「今までの話は大体、盗み聞いた。星霊の剣について話してるのか? 魂って何だ?」
「一言にまとめると、私の前前前世で選ばれたんですよ」
私にかけられた呪いによって。と詳しくは言って無いけれど、ノアには匂わせておいた。
「「「は、はぁ……?」」」
「……って事ですね」
私は、ウィンクして『イェイ』とピースをした。
「これまでの人生を合わせたら、とんでもない歳――痛い!」
私がそこまで言ったラルフさんの頭に向かって拳を振り下ろした。
言い過ぎ。
ノアが苦笑しながら「あはは……でも、この世界に転生したのは、二回目で、何百年も時が空いた……謎だよな」と顎に手を当てて眉間にシワを寄せている。
ま、それは私もいつになっても解けない謎。神様なのにいつも、『新しく転生する』か『どこかへ転生する』の二択。
新しく転生するのは、赤ちゃんから。どこかへ転生するのは死んだ身体に魂を宿らせる。
死んだ身体の問題は、あいつが解いてくれるらしい。
「前前前世……その他には、あるのか……?」
ニルスさんが引き気味に私の事を見つめた。
……酷くない? そこまで引くの?
「ありますけど、ぼんやりしてて話せる程度には無いんですよね」
はっきりとしているのは、最後の記憶。
その……あれ? ちゃっかり名乗ってない金髪頭は、手袋を投げやがった。
コメント
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読了しました!今回はリナさんの実力開示と訓練シーンが熱かったですね。「三割で滅多打ち」のくだり、強さのスケール感が伝わってきて鳥肌でした。そして新キャラの金髪さん、いきなり手袋を投げてくる展開に「おおっ」と声が出ました。星霊の剣をめぐる問いも気になるところ。次話が待ち遠しいです!