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今回がちの番外編
番外後日談①
―葬儀に現れる“かつてのクラスメイトたち”の視点―
静かな式場だった。
春が終わりかけた頃、空は雲ひとつなく、やけに澄んでいた。
ふたりの写真が並ぶ。
笑顔のないこ。
その隣で微かに笑うりうら。
誰もが知っているふたりで、
誰も、知らなかったふたりだった。
「あのふたり……結局、最後まで一緒やったんやな」
声を落としてそう言ったのは初兎。
手には白い花束。
隣には、悠佑が立っていた。
「俺、正直怖かったんや。
あの頃のないこ、目がもう……生きとらんように見えた。
でも、りうらが隣におるときだけは……光、戻ってたやろ」
「……ああ、見てた。気づいてたけど、よう踏み込めんかった」
悠佑はそう言って、少しだけ顔を背けた。
式場の奥に、いふとほとけもいた。
ふたりとも、スーツ姿がよく似合っていない。
けれど、どこか凛としていた。
「なぁ……いふ」
「ん」
「俺、今なら言えるわ。
ふたりのこと、ちゃんと愛やったって。
ゆがんでて、壊れてて、でも、正しかった」
「……俺もそう思うよ」
誰も語ろうとしなかったあの時代。
誰も理解できなかったふたりの距離。
でも今、確かに彼らはここに立っている。
見送るために。
心から、祈るために。
白い花が捧げられるたびに、
ふたりが歩んだ軌跡が、ひとつずつほどけていくようだった。
そして、誰かが呟いた。
「――俺も、誰かと、あんな風に愛し合ってみたかったな」
◆
番外後日談②
―ふたりの部屋に残された手紙とカセットテープ―
火葬の翌日。
施設の部屋を整理するために訪れたのは、いふとほとけ。
ふたりが暮らしていた小さな一室。
ベッドがふたつ、寄り添うように並んでいる。
引き出しを開けると、日記帳と、封筒と、
古びた小さなカセットテープがひとつ。
テープには手書きの文字。
『ないこへ』
『りうらより』
ほとけが手に取った。
「これ……聞く?」
「……ああ、聞かせて。最後まで、見届けたい」
テープを再生すると、
少しかすれた声が、流れ始めた。
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「……ないこ。これを聞いてる頃、俺、もうおらんかもしれん。
けどさ、どうしても、言葉で残したかった。
だってお前、俺が黙ってると不安になるやん」
「俺、後悔なんてひとつもない。
むしろ、ありがとうって言いたい。
あのとき、手ぇ取ってくれてありがとう。
世界なんかどうでもよくて、
俺には、お前だけがおったらよかった」
「なぁ、ないこ。
次の世界でも、また会おうな。
またお前を好きになるから。
お前が壊れてても、泣いてても、俺はまた惚れる」
「ずっとずっと、大好きやった。
世界で一番、大切なやつやった」
録音は、そこで終わっていた。
再生ボタンがカチリと止まる。
部屋には静寂が戻ったけれど、
何かが深く、胸の奥に沈んでいった。
その隣の引き出しには、もうひとつ封筒が。
「……ないこから、りうら宛てや」
ほとけが封を開けて、いふと一緒に目を通す。
『りうらへ』
『俺を、壊してくれてありがとう。』
『俺を、愛してくれてありがとう。』
『りうらに出会えなかったら、
俺はもうとっくにこの世にいなかったと思う』
『もうすぐ、きみに先に逝くかもしれない』
『でもそれが怖くないのは、きみが“必ず”追いかけてくれるって知ってるから』
『最後まで、最期まで――きみのことが、大好きでした』
『また、出会おうね。』
『きっとまた、きみを見つけるから』
『ないこより』
ふたりの世界は、
確かにここに在った。
そしていま、
この部屋には誰もいないけれど、
どこかでまた、ふたりの声が響いている気がした。
「またね」
「また、逢おうね」
きっとまた、ふたりは出会うだろう。
それが、千年先でも。
コメント
7件
え...タヒった感じ~? 赤組ぃ......いつまでもお幸せに...