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君が僕を見つけるまで

君が僕を見つけるまで

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第1話:「作戦」って辞書で引いてこい

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2024年02月26日

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春、出会いと別れ、桜が咲く頃。

まだ少し肌寒くて、でも陽の光は心地いい、僕が1番好きな季節。

そんな季節に、あの子に出会ったんだ。

艶やかな、少し紫がかった焦げ茶の髪。

同じクラスだといいなって思ったけど、神様は僕の恋路に試練を与えたいらしい。僕は1組、あの子は5組。端と端、1番関わらないクラス。でもそんなので諦めるなんて僕らしくないでしょ?

だから、持ち前のスキル

「僕、誰とでも仲良くなれちゃうんだよね」

を発動して近づく作戦を立てたんだ。

でもあの子、ネコちゃんみたいで、いつもふらっとどこかへ行って全然会えないの。

不思議だよね。この口調疲れたからやめよ。

それはさておいて、もう2年生も近づいてきたのに。もはや避けられてるまであるかも〜なんて笑!そんなことあるわけないじゃんね!ね、うん。

…うん。

あれっ、あ、うーん…もしかして、だよ?

もしかしてなんだけど、僕、避けられてる…!?


「今気づいたんかい」

いつの間にか目の前にいた、泣きぼくろ歌のおにいさん(不健全!!!)こと僕の友達、きんときが言う。

「てか今の独り言聞いてたの?」

「嫌でも聞こえてくるわ」

「じゃあ聞くけど、どうすればこの気持ちに気づいて貰えると思う?」

あからさまに面倒くさそうな顔をするきんとき。僕は表情読み取るとかそういうのよくわかんないから知りません。

きんときはうーん、と少し唸った後、たまたま通りかかったきりやんに尋ねる。

「そういえばきりやんさ、スマイルくんと仲良かったよね」

「げ…」

「「げ」って何!?」

なんかめんどそうじゃん、って言われた。まぁ間違ってないけどね。

「あー、えっと…多分だけど」

「うん」

「うーん…これ言っていいんかな」

何かまずいことでもあるのかきりやんは言い淀んでいる。

「大丈夫大丈夫、いまさっきまでこいつ避けられてる可能性に気づいてなかったから」

「ならいいか」

「なんなの?早く教えてよぉ」

「…あの、避けられてるって言うか…その、」

お前、認識すらされてないぞ?




「きんちゃーん…」

「なに?」

「僕、影薄いのかな」

「ぶるーくで薄いなら人類みんな透明人間だね」

「じゃあ興味無いのかな」

「そうじゃね?」

うーん辛辣。

「そこは否定してよ」

「はいはい」

これ完全にどうでもいいと思われてるやつだな!スマホばっかり見ちゃって…そんなんだから恋人出来ないんだぞ!

「お前は片想いカッコ認識すらされてないカッコ閉じのくせによく言うよ」

「え?なんで僕の考えてることわかったの?!」

「思考を口に出さない努力したら?」

「僕のこと好きなんだ!いや〜でも僕には人生を決めた恋人(予定)が(((ッ」


あー、いい腹パンもらいましたわ!

やっぱこれがないと月初めはやってらんないっすね!

「きりやーん僕虐められるー」

「だまれスマホを片手に泣きつくな」

「うぇーん」

「…ねぇ」

きんときが突然ハッとして声を出した。

「ぶるーく、今、誰に連絡してる?」

「さぁ?聞いてどうするの?」

「きりやん、逃げるぞ」

「は?え、なんで」

「ニガサナイヨ」

きんときにはバレちゃったけど、時すでに遅し。君たちの財布は僕の手の中にあるんです。

「フッフッフ」

「は、え、いつの間にっ!?てか何事!?」

「やられた…」

「返して欲しくば僕に着いてきな!」

げっそりとしたきんときの顔、何も分かってないきりやんの顔。はぁ愉快愉快!


「それで2人引き連れて俺のクラスに来た、と。」

「せいか〜い」

僕はきんときときりやんの財布を人質にとったあと、5組の教室に向かった。あらかじめ「今からそっち行くね」と伝えておいたシャーくんが出迎えてくれた。

「シャークん、お前もグルかよ」

「いやぶるーくに飯奢るっていわれたから」

「俺が代わりに奢るから帰っていい?」

「だめですよーきんさーん」

「俺まだ何が何だかよくわかってないんだけど」

そういえばきんときときりやんには何も説明してなかったや。まぁ、この2人は面白そうだから連れてきただけで特に意味はありません!

「シャークんに協力してもらって、とりあえず認識してもらおう大作戦!です!」

「はぁ…」

はいそこのKKブラザーズため息つかないの

「なんかおもしろそーなことしてんじゃん」

「あ、なかむ」

えっ誰

誰ですか?

きんときもきりやんも頭に「?」を浮かべている。分かってないの僕だけじゃないみたいで良かった…

「あ、こいつ俺と同じクラスのなかむ」

「よっす」

「「「あ、どうも」」」

なかむ…シャークんよりは大きいくらいで小柄な子。

「なにやってんの?」

「ん?こいつの恋愛を進展させよう大作戦」

「まじで!!!!!!!!」

シャークんが応えると、先程よりも増してキラキラと、最早なかむの目が光源なのでは?、ってくらいに光り出した。

「誰?誰が好きなん?俺こういうの大好き」

「え〜、恥ずかしいよ///」

「スマイル」

即レスすな。 それ僕が言うセリフだよ。 きんちゃんそういうとこドライだよね。

「あー!あいつね…今あいつ図書委員の仕事しに行ってるけど」

「エッ!!!」

せっかく会いに来たのに…ツイてない。きんときに確認しとけよって顔で見られてるけどそういうのはよくわかんない以下略。

「てかさ、ぶるーくは…あ、呼び捨てしていい?俺のこともなかむって呼んで」

「いいよ!わかった!」

「ぶるーくはさ、どうやって関わりに行こうと思ってたの?下手したら警戒されて終わりじゃん?」

「確かに、作戦とか立ててんの?」

「あー、作戦ね。ウン。とりあえず喋りに行こう的な?」

「……その後は?」

「え、考えてない」

「……」

あまりの反応の無さに(あれ、なんかまたまずいこと言ったかしら…)と思っているとやっとみんなの意識が戻ってきて、声を揃えて言われた。

「あのな、ぶるーく、よく聴け」

「「「「それ作戦って言わねぇんだよ」」」」

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