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第60話「社内では恋人らしくしない二人」
月曜日。
午前八時四十五分。
営業企画部。
森野リリカが出社した。
「おはようございます」
「おはようございます」
いつもの朝だった。
その三分後。
相沢直人が出社した。
「おはようございます」
「おはようございます」
森野と相沢。
目が合う。
「……」
「……」
それだけ。
田中美咲が二人を交互に見る。
「昨日も一緒だったんですよね?」
森野が答える。
「一緒に住んでますから」
「なのに」
「何です?」
「会社だと他人みたい」
相沢が鞄を置きながら言った。
「仕事中だから」
「つまらない」
「田中さんを楽しませるために付き合ってるんじゃありません」
森野はパソコンを立ち上げた。
田中が机に手をつく。
「でも、同棲してるんですよね」
「しています」
「朝も一緒?」
「当然でしょう」
「一緒に家を出る?」
「時間が合えば」
「今日は?」
森野。
黙る。
相沢。
黙る。
田中。
笑う。
「一緒だったんですね」
森野。
「仕事してください」
午前九時。
朝会。
部長が資料を配った。
「来月の新商品キャンペーンだけど」
全員。
資料を見る。
「担当を四人にする」
部長。
名前を読む。
「森野」
「はい」
「相沢」
「はい」
田中。
二人を見る。
「田中」
「はい」
「藤堂」
「はい」
部長。
「この四人で企画まとめて」
森野。
「分かりました」
相沢。
「了解です」
田中。
小声。
「恋人共同プロジェクト」
森野。
「聞こえてます」
「まだ何もしてません」
「する前に言いました」
午前十時。
会議室。
四人。
森野。
相沢。
田中。
藤堂ユウ。
相沢が説明する。
「今回のメインターゲットは二十代後半から四十代を想定してる」
森野。
「広すぎると思います」
「そう?」
「三つくらいに分けたほうがいいです」
「例えば?」
森野。
ホワイトボード。
書く。
「二十五から三十四」
「三十五から四十四」
「それ以上」
相沢。
「購買行動も違うか」
「かなり違います」
「じゃあ広告も分ける?」
「そのほうがいいと思います」
二人。
普通に。
仕事。
田中。
じっと見る。
森野。
「田中さん」
「はい」
「さっきから何です?」
「いや」
「仕事してください」
「してます」
「では、なぜ私たちを
コメント
1件
お疲れ、nashirin!第60話読んだわ。 「社内では恋人らしくしない二人」ってタイトルがもう最高で、朝の出社シーンの空気感がすごく伝わってきた。仕事中はクールに振る舞うのに、田中さんに突っ込まれて黙り込む二人が可愛すぎるw「昨日も一緒だったんですよね?」「一緒に住んでますから」からの「なのに会社だと他人みたい」って流れ、見てるこっちがニヤニヤしちゃうわ。仕事の会議シーンも普通に真面目で、そのギャップがたまらない。日常の空気感が丁寧に描かれてて、読み終わったあとほっこりした🔥