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力遊びで暴れていたシーニャとサンフィアを大人しくさせ、おれたちは次の石柱を探すことに。しかし、次の場所はすぐに見つかった。それというのも、丘陵のほとんどが穴ぼこになったことが関係しているからだ。
シーニャたちが暴れたことで、かえって石柱の場所が目立つようになったというのもある。二人はさすがに反省しているようで、今はすっかり大人しくなっている。
「ウニャ……アックを怒らせてしまったのだ」
「む、むぅ。我としたことが……」
しょんぼりとしているサンフィアを見るのは珍しくもあるので、今はそのままにしておく。
「アック様~! 石柱がありましたよ~!!」
戦う機会が無かったルティが張り切って先導している。そんなルティに迂闊に触れさせないようにと、ミルシェが近くにいてくれているようだ。
二つ目の石柱はシーニャたちが戦っていた場所からすぐの所にあった。派手に穴ぼこを作った割には石柱の周辺だけは何ともなっていない。
やはり遺跡ごとに何かの力が働いているということだろうか?
「……イ、イスティさま」
「うん? どうした?」
「その魔剣って、そんな色をしていたなの?」
「色? 魔剣の色は錆びた――」
魔剣の外見は錆びた剣の時からあまり変化していない。そう思って特に気にしてもいなかったが、フィーサが驚いているのであらためて魔剣を見てみることに。
「おかしいなの。そんなに変わるはずが無いなの……」
フィーサが驚くのも無理は無いといった風に、確かに明らかに変化していた。
「……いつぞやの黒鉄剣みたいに黒い剣になってるな。錆びた色をしていたはずなのに何でだろうな」
「もしかして、わらわが知らない間に何度か使っていたなの?」
「ま、まぁ、少しだけなら」
フィーサとは別行動を取ることが多かった。それ以外にも人化したままのフィーサを”武器”として使うことが無いだけに、仕方が無いことだろう。
「むむむ……何だか悔しいなの! わらわも使って欲しいなの!」
「その機会は必ずあるだろうし、その時は頼むことになるから今は温存しといてくれればいいよ」
「分かったなの。でもでも、その魔剣は油断出来ないなの!」
フィーサに言われるまで腰に帯びた魔剣を見ることは無かった。しかし、まさか色が変化していたとは驚きだ。
もしかして、剣の特性が変わったということなのだろうか?
「アック様アック様! ここですよ~!」
「落ち着け、ルティ」
「……全くですわ。ちなみにアックさま。ここの石柱には、あたしたちが持つ属性では何も反応を示しませんでしたわ。さすがにこの子も殴ることを控えましたけれど」
「えへへへ……わたしも大人になりまして~」
いいコンビぶりを発揮しているようだ。
石柱の石板に適している属性は闇としか考えられないと言わんばかりに、石板の表面には何かが這いずったような跡がある。もしくは這いずらせなければ、反応しない可能性がありそうだ。
石柱の周りには草が生えておらず、上空からの日の光が何故か当たらない。土を触ると水気を含んではいるものの、水属性ということには繋がらない。
「この辺、何だか湿っぽい感じがしますわ。次は地下になるのでは?」
「ミルシェでは反応しなかったんだな?」
「ええ。水も関係しているとは思いますけれど、属性違いでした。水と隣り合わせの属性といえば……それに、石板に残っている跡はどう見ても獣の……」
地下に沈んでいくダンジョンということは、暗闇が広がっているはず。
そうなると属性は――。
「シーニャ!! こっちに来てくれ!」
「ウニャ? アック、アックは怒っていないのだ?」
「もう大丈夫だぞ。シーニャの力が必要だ。おれのところに来て欲しい!」
「ウニャッ!! 行くのだ!」
反省もあったのか、シーニャとサンフィアはおれと少し離れた所にいた。中々近付いても来なかったが、機嫌を取り戻してくれたようですぐに来てくれた。
「アック様。もしかして、ここはシーニャの出番なんですかっ?」
「多分間違いない。闇属性を使えるのはシーニャくらいだしな」
「あれれ? フィーサも使えるんじゃないんですか?」
「……いや、フィーサは神剣だ。闇よりも光属性の方が強い」
「じゃあアック様のその剣は? とっても黒いですよ!」
一瞬だけそう考えてみたものの、魔剣だからと闇属性に限定するのは安易すぎる。属性だけで考えるなら一度闇化したシーニャの可能性が高い。
「シーニャが来たのだ! アック、シーニャどうすれば?」