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【ぷりっつ視点】
あーあ
やっと莉犬くんと帰れると思ったのに
さっき放課後になり、莉犬くんが俺のもとに来た
息を切らしていたので
きっと急いで俺のもとに来てくれたんだろうと
分かり、学校だというのに口角が緩んでしまう
俺は莉犬くんが転校生の案内を終わらせるまで
自分の教室で待つことになっている
暇だなぁと思いながら窓の外を見る
俺の教室の窓からは中庭の桜の木が見える
桜は少し時期を過ぎ、葉桜になってしまっているが
綺麗なことに変わりはない
そーいえば莉犬くんも最後に中庭を案内すると言っていた
ここで見ていれば莉犬くんを見られるかもしれないなぁと
わくわくしながら待つ
莉犬くんを間近で見るのもすごく好きだけど
上から見るのもたまらなく好きだ
犬耳を上から見ると新鮮な感じがしてどきどきしてしまう
いつもよりもさらに小さく見えるであろう莉犬くんを想像し
俺の口角が再び緩む
俺の周りも静かになり、静まり返った教室には
廊下を歩く先生のヒールの音が響いている
ぱっと時計を見るとかなりの時間が経っていた
…遅いな、と不安になっていると
やっと中庭に莉犬くんの姿が見えた
俺は目を輝かせ窓から身を乗り出しそうな勢いで
君を見つめた
…君が中庭に来て何分の時間が過ぎたのだろうか
突然、俺の目には莉犬くんの頬にキスする転校生の姿が映る
理解ができない
何が起こっているのか
俺の莉犬くんに、俺以外がキスしている
「…は?」
俺の口から小さく戸惑いに怒りが混じった声が零れていた
それから30分ほど経ち、莉犬くんが1人で俺のもとに来る
俺は必死に取り繕った笑顔で莉犬くんと帰路を共にした
いつもは騒がしいと感じる商店街の子供も
カラフルで綺麗だと感じる自動販売機も
全てがモノクロに感じた
家に着き、君がいつものように俺に抱きつこうとする
…俺は拒否した
君が驚いたような泣きそうな顔でこっちを見つめる
分かっていたんだ
そんな顔をさせてしまうのは
ごめんなさい。莉犬くん
俺は、今の俺は、
俺は莉犬くんに聞いてしまった
「ねぇ莉犬くん。なんで転校生とキスしてたんですか…?」
声が震えていたのが自分でも分かった
情けないなぁと思っていると涙で視界が滲む
大好きな莉犬くんが涙でぼやぼやと滲んでいる
君は泣きそうな、辛そうな顔で
俺に必死に謝ってくる
「ご、ごめ…!て、んこっせ…がかっ、て、に…」
途切れ途切れの声が俺の耳に届く
分かってるんです
莉犬くん
莉犬くんが悪くないのは
でも、俺は俺の莉犬くんを他のやつに触れさせてしまったのが
すごく、すごく悔しい
俺は息を整えても震えてしまう声で
「莉犬くん、消毒させてください」
とお願いした
君は一瞬驚いたような顔をしたものの
優しく笑ってこくりと頷いてくれた
俺は莉犬くんの壊れてしまいそうなほどに柔らかい頬に
慎重に優しくキスをした
君は耳まで赤くしてへにゃりと笑う
なんでこんなに可愛い子を
俺は一瞬でも離してしまったのだろうか
やっぱり邪魔者は消すべきだ
俺はとあることを思考しながら
夜を迎えた