月明かりが揺れる室内。
吐息とともに漏れる声が、静寂を熱で満たしていく。
ベッドの縁に腰掛けた藤澤の背後に、若井がそっと回り込む。
 
 
 
 「……涼ちゃん、おいで。」
 
 
 
 若井はゆっくりと、自身を藤澤の中へと迎え入れていく。
背面からの繋がりは深く、藤澤の身体は小さく震えた。
 
 
 
 「……あっ…ん……っ、……奥、当たってる……」
 
 
 
 快感がじわじわと込み上げてくる。
けれど、若井は激しくは動かない。
藤澤の背を抱くように腕を回し、身体を包み込むようにして優しく繋がる。
 
 
 
 「わ、若井……俺、自分で動きたい……」
 
 
 
 その言葉に、若井の喉がかすかに鳴った。
疼きと快楽をねだるその姿に、抗える術なんてない。
囁くように答えた藤澤は、そっと自ら腰を揺らし始めた。
 
 
 
 「…っは…ふ、ぁ……んん……」
 
 
 
 藤澤は声を押し殺すように、しかし自ら腰を打ちつける。
若井の中心を受け入れながら、快楽の波に揺れるたび、髪がふわりと揺れた。
月明かりが背中に当たり、その影が壁に落ちる。
 
 
 
 「そんなに、動かれたら…俺……っ」
 
 
 
 若井の腕が震えた。
藤澤の熱が、ゆっくりと自分の芯を焼いていく。
“自分から求めてくれた”ことが、ただただ嬉しかったのだ。
 そして——。
前から顔を覗き込むように、大森が膝をついて近づいてきた。
 
 
 
 「涼ちゃん、俺にも……触れさせて」
 「元貴……っ」
 
 
 
 藤澤は潤んだ瞳で大森を見つめ、小さく頷いた。
 
 
 
 「……俺、もう止まんない……ずっと疼いて……」
 「じゃあ、いっぱい気持ちよくしてあげる」
 
 
 
 甘く切ない感情が溢れ、藤澤の身体は震えた。
大森は藤澤の胸元にそっと指を這わせ、優しくその尖りを唇で包む。
じゅる……と湿った音を立てながら、舌先で丁寧に転がし、もう片方の胸には器用に指が這う。
小さく尖った先端を、親指と人差し指で挟むと、藤澤の喉から声が漏れた。
 
 
 
 「はぁっ…もときぃ…だめぇ…」
 
 
 
 そして、大森の舌が下腹部の方へと這う。
藤澤の太ももに手を添え、そっと口づけを落とす。
 
 
 
 「涼ちゃん、もっと……気持ち良くなろ?」
 
 
 
 囁きながら、その唇が藤澤の中心を優しく包み込んだ。
 
 
 
 「……っ!も、とき……気持ち良すぎて、変になる……っ!」
 
 
 
 大森の舌が巧みに動き、敏感な先端を嬲るたび、藤澤の身体は震え、若井の膝の上で何度も跳ねた。
 
 
 
 「あっ……んんっ、いい……舐められるの……きもちい……っ」
 「っ、ごめん、涼ちゃん……俺、もう限界……!」
 
 
 
 若井が藤澤の腰を抱えたまま立ち上がり、 腰をゆっくりと動かし始める。
後ろからの衝動的な動きに加え、前からの大森の愛撫に全身が翻弄されていく。
 
 
 
 「若井……元貴……っ、同時はぁ、っ……おかしく……なるっ……!!」
 
 
 
 悲鳴のような快感に濡れた声が部屋に響く。
途端、前のめりに倒れそうになり、大森の肩に手をつく。
 
 
 
 「……涼ちゃん、可愛い……さっきみたいに全部欲しくなる…」
 「若井……元貴……っ、だめ……気持ちよすぎて……っ!」
 
 
 
 背後からの動きと、前からの奉仕、その両方に溺れて、理性はとうに吹き飛んでいた。
若井は藤澤の腰をしっかりと抱え、深くゆっくりと律動を繰り返す。
自分でも驚くほどに、藤澤の中は熱く、柔らかく、すべてを受け入れてくれる。
 
 
 
 「気持ちいいの? 涼ちゃん…震えてるよ…」
 「こっちも……ほら、もうこんなに溢れてきてる…」
 「っ……2人とも……言わないで…っ」
 
 
 
 前方の大森は、藤澤の中心を片手で扱き、もう片方の手は自身を扱いていた。
柔らかく、しかし確実に握られたそこは、もうじき限界を迎えそうだった。
 
 
 
 「っん、はぁ……っあ……っ、元貴……もう、ダメかも……」
 「安心して……俺が、受け止めるから」
 「涼ちゃん、俺も、もう……もうダメ……!出そう……っ」
 
 
 
 耳元にかすれるように吐息がかかる。
その声で、藤澤はわずかに首を傾げて若井を見やった。
 
 
 
 「我慢、しないで……いいよ。若井の……全部、俺の中に……満たして…」
 
 
 
 その一言で、若井の最後の理性が崩れ落ちた。
 
 
 
 「涼ちゃんっ……っ……!!」
 「んっ……! ぁあ……ぁ……っ!!」
 
 
 
 藤澤は大森の頭を抱え、震えながら何度も大森の口の中で波のように果てた。
叫ぶように吐き出したその時、若井の腰も深く沈み、ドク、ドクと背後から熱を注ぎ込む。
そんな姿を目前で見つめながら、大森自身もまた高ぶりに抗えなくなっていた。
 藤澤の熱を扱きながら、もう片方の手で自分を追い詰めていた大森。
その指が動くたびに呼吸は乱れ、視線は藤澤の目に縋るように絡みついた。
 
 
 
 「涼ちゃん……お願い……口に、出させて……」
 
 
 
 藤澤はしゃがみ込み、顔は疲弊していたがそれでも藤澤は唇をほんの少し開く。
その無防備な表情に、すぐ大森は限界を超えた。
 
 
 
 「……っ、あぁ……、イく……っ!」
 
 
 
 顔を紅潮させ、震える腰を持て余しながら、大森は藤澤の口元で果てた。
白濁が零れないようにそっと口を塞ぎ、藤澤は喉を鳴らして飲み干す。
 
 
 
 「……元貴の、すごく甘かった……」
 
 
 
 その無邪気な一言に、大森は思わず噛み締めた唇を緩め、苦笑した。
そして大森は藤澤の頬をそっと撫でた。
 
 
 
 「偉かったね、我慢してたんだね……もう大丈夫だよ」
 
 
 
 藤澤は涙を浮かべながら頷いた。
副作用で疼き続けた身体を、ようやく二人と繋がって癒してもらえた。
心の底から、満たされた気がした。
 
 
 
 
 
 ──しかし、夜は、まだ終わらない。
 薬の副作用という理由で、これまで何度も「癒す」ためだけに触れてきたけれど——
今は違う。
 「欲しい」と互いが望んで交わっている。
 幾度も、幾度も──名を呼び、息を呑み、3人はただ、互いを確かめ合っていた。
 
 
 
 「涼ちゃん……気持ちよくなってる顔、もっと見せて……」
 
 
 
 大森がそう囁けば、藤澤は泣きそうな顔で首を横に振る。
 
 
 
 「恥ずかしいよっ……っあ、もう……っ、また、イきそ……っ!」
 「俺の中に、出して……涼ちゃんで満たして…」
 
 
 
 大森に後ろから突かれ、若井を後ろから攻め立てる藤澤。
2人に挟まれ、肩を震わせながら、2人の名を何度も呼ぶ。
 
 
 
 「若井……元貴……大好き……っ、んっ……! ぁあ……ぁ……っ!!!」
 
 
 
 声を押し殺すように、藤澤がまた果てた。
小刻みに震える身体を、ふたりが優しく抱きしめる。
 
 ——それはまるで、長い旅路の果てでようやく辿り着いた、3人の心が繋がる夜。
 
 藤澤は、ふたりの腕の中で、ようやく深く安らかな眠りへと堕ちていった。
その寝顔は、まるで長い夜を超えてようやく解放された、“救済”のようだった。
 
 
 
 
 
 
コメント
4件
いつものペースにもどってちょーうれしい(,,>᎑<,,) 3Pのやつって見たことないからワクワクして見れる!! 新しいジャンルを見るのも結構いい(´∀`) みんなだから新しいジャンルが見やすいのかもしれないそれか主さんの書き方がうまいのかも しれない (´>∀<`)ゝ
最後の文章の『救済』っていうワードが個人的今回のお話MVPです! 控えめに言って最高、はっきり言うと、神です! いつもお忙しい中、作品更新ありがとうございます!&これからも頑張ってください!