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The Mourning Star
 ― 嘆きの明星 ―

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The Mourning Star ― 嘆きの明星 ―

5 - 第4章:孤独の王(The King of Solitude)

2025年11月08日

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世界は燃え尽き、時さえも灰に還った。

海は静まり、空は沈黙し、星はすべて墜ちた。

残されたのは――彼、ひとり。


廃墟と化した神殿の上、ルシエルは座していた。

かつて光を司った天使、いまは燃え尽きた世界を見下ろす“孤独の王”。

彼の周囲には、焼け焦げた羽根と灰が舞う。


その腕の中には、灰と化した彼女の残骸。

あのとき抱きしめたはずの温もりは、

もうどこにも存在しない。


「……結局、救えなかった。」

かすれた声が、冷たい風に溶ける。

涙はもう出なかった。燃え尽きていた。


彼は空を見上げる。

そこには、光はない。

だが、遥か彼方に一つだけ――

かすかな輝きが、夜を裂いて瞬いていた。


それは“明けの明星”。

かつて、自らが象徴した光。


「神よ、罰を与えるがいい。」

「どんな痛みも、受け入れよう。

 痛くはない。ただ……寒いだけだ。」


風が吹く。

焼けた世界に、わずかに残った灰が舞う。

その灰のひとつが、彼の頬に触れた。

――温かかった。

まるで、エリシアが触れているようだった。


「……エリシア。」


名を呼ぶ。返事はない。

ただ、遠くの明星が微かに瞬く。

その輝きが、彼の頬を淡く照らす。


それは、彼がかつて信じた“夜明け”の色だった。

彼は静かに目を閉じる。

“暁”を象徴した天使が、闇を抱いて微笑む。

「ようやく……朝が来るのか。」


その言葉と共に、風が止んだ。

そして、世界に静寂が訪れた。


――それが、光だった頃の最後の祈り。


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