むに 様より、北日
「あー!モヤモヤする!!」
バタバタと布団の上を転がり回り、韓国は叫んだ。
「いい加減くっつけ!!!甘酸っぱい超えて不味いわ!!!」
枕を抱きしめてギャンギャン言っている理由は、北朝鮮と日本があまりにも進展しなさ過ぎて、モヤモヤが爆発した結果である。
「北ちゃんも日本も奥手過ぎてモヤモヤする〜〜〜!!どう見ても両思いだろーが!!なぁにが「好きなのは俺だけかな…」だよ!!!告りに行け!!!!!」
配信用に防音を強化したせいで、この叫びが北朝鮮へと届くことはない。
ご近所迷惑にはならなくとも、韓国としては届いて欲しいという思いでいっぱいだ。
「こうなったら…僕がくっつけるしかない…!!!!」
覚悟を決めて上半身を起こすと、韓国は早速計画を練り始めた。
「まず日本についてもう少し調べなきゃな…誰かに聞くか…誰がいいかな…」
条件は
・日本をよく知っていること
・こちらが与えられるメリットで動いてもらえること
・最後まで協力してくれること
・嘘をつかないこと
これが突破できれば、満点の協力者と言えるだろう。
韓国は日本の交友関係を知っているだけ思い返し、中国とその他ヨーロッパの2国が思い当たった。
そしてその2国もまた、日本と北朝鮮の関係にモヤモヤしている。
「日本と北朝鮮がくっつかない件について」
「ガードし過ぎたんねぇえええ!! 」
日本の幼馴染である、イタリアとドイツだ。
「日本に相応しいやつは俺らが見定める〜とか言ってたら、婚期逃しかけてたな…」
「北朝鮮が一途で助かったんよ!早くくっつけなきゃ! 」
彼らは日本より年上で、体格も良い。
そのため弟のように可愛がり、日本に近づく不埒な輩どもをぶちのめしていた。
国際的立場に関わらず、個人としてのカチコミ。
アメリカも粛清対象に入り、その熱心さは数十年間衰えていない。
「ひとまず計画を立てよう。どうしたら2人をくっつけることができる?」
「Ioたち、日本のことはよく知ってるけど、北朝鮮の情報がわからないんよ…まずは洗いざらい整理する必要があるんね」
「イタリアにしてはまともな意見だな。賛成だ」
「Ioにしてはって、失礼すぎるんね!」
頬を膨らませて子供のように怒るイタリアに軽く謝りながら、ドイツは北朝鮮について知りうる限り情報を思い返す。
「…韓国が兄弟ってことと、中国やロシアに懐いてるってことくらいしか知らないな」
「北朝鮮といえば、アジアのエリトリアってイメージあるんね。エリトリアの方が穏やかだけど」
「あいつ穏やかか?かなり危険なような…」
「そう?お菓子とか焼いてくれるよ?」
「仲良いな。…って、それは置いておいて、韓国か中国に聞いてみるぞ」
そしてドイツがスマホを手に取った時、タイミング良く韓国からのメールが来た。
「おお、丁度いいな。韓国からメールだ。イタリアにも共有してくれとのことだから、こっち側に来てくれ 」
「りょーかい!」
テーブルを挟んで対面していたイタリアはドイツの隣へ移動し、スマホの画面を覗き込んだ。
内容をまとめると下記のようになる。
“日本と北ちゃんがくっつかなくてモヤモヤするから、日本の好みとか色々教えて。僕にできる範囲なら、対価も用意するよ ”
まさしくドイツたちが求めていたメール内容に、2人はハイタッチして喜んだ。
「よし!これなら上手くいくはずだ!」
「グッドタイミングなんね!」
早速返されたメールはドイツらしい無愛想で簡潔なものだったが、その端々からは日本を思う気持ちが読み取れる。
韓国は良い協力者が見つかったと笑い、後日作戦会議として国連本部が使用されることになった。
職権乱用かもしれないが、G7の力とは素晴らしい。
迎えたその日、国連本部の広い門へと駆ける韓国の姿があった。
「ごめん、待たせた?」
「全然待ってないんよ!」
「日本関連だからか、イタリアが早く来て良かったよ。2時間も待たなくてラッキーだな、韓国」
「時間感覚大丈夫?」
うわー、とドン引きする韓国を他所に、イタリアは本部へと足を進めている。
「2人とも早く来るんね!」
やる気満々のイタリアの後に続き、2人は本部の会議室を目指して、中に入って行った。
「じゃあ、会議しよっか。とは言っても、どうせ情報交換メインだけどね」
「そうだな。こちらは北朝鮮の、お前は日本の情報が欲しくてこうなったからな」
「何においても、情報は命なんね! 」
テンション高くイタリアが言うと、ドイツがキャスターを鳴らしながらホワイトボードを持ってくる。
そして黒のペンで“日本”・“北朝鮮”と書き記し、各々箇条書きで情報を追加していく。
「へぇ…北朝鮮って甘いもの好きなのか」
「チョコパイで国が動くくらいには、甘いものに目がないよ」
「日本も甘いもの大好きなんね!」
「ならデートはカフェとかだな。ケーキの美味い店でも探そう」
「それならio詳しいんよ!」
本人たちがいぬ間に少しずつ決まっていくデートの内容。
あーだこーだと言い合っているうちに、数時間が経過した。
「…よし、これなら付き合えるだろ」
「Ioたち3人が協力しても付き合えなかったら、もう部下を動かして付き合わせるんね」
「イタリアってマフィ」
「韓国、世の中には知らなくていいこともあるんよ」
「…」
いつになく低い声で囁かれ、韓国は追求をやめるしかない。
「話は済んだか?北朝鮮と日本に休日を取らせるために仕事もあるんだ、さっさとやるぞ」
「はーい!…って嘘休日なのに!?」
低い声で脅されたかと思えば、ぱっと和やかな笑みをドイツへと向ける。
やっぱりヨーロッパは怖い。
韓国はそう思った。
そうして計画し尽くされたデート当日。
北朝鮮と日本には、ドイツ、イタリア、北朝鮮、韓国、日本の5人で出かけるということにしているので、3人が休むことで2人っきりにさせるというものである。
ベタな方法だとしても、なんとか付き合わせたいという意見の一致だ。
「…///」
「…///」
「…ふ、2人っきりになっちゃいましたね///」
「…あぁ…///」
双方顔を赤くしてソワソワしており、あからさまにも程があるという態度だった。
「い、行きましょうか///」
「そうだな///」
「そこだーっ!手を繋げーっ!」
「韓国って意外と熱くなるタイプなんね」
「気持ちはわかる」
こちらは見守っているドイツ、イタリア、韓国。
街角から甘酸っぱい2人を眺め、結構好き放題言い合っている。
道中は照れてまともな会話はほとんどなかったものの、なんとかイタリアおすすめのカフェへと辿り着いた2人。
「わぁ…!綺麗なお店ですね!」
「ケーキが美味しいんだったっけか…楽しみだな 」
「ですね!」
「いらっしゃいませ!何名様でお越しでしょうか?」
「2名です」
「かしこまりました!それではこちらの席へご案内いたします」
綺麗な女性店員がニコニコと2人を案内し、勧められた席は対面座席。
少し恥ずかしいなとは思ったが、横に並んでも同じようなこと。
2人はわずかに顔を赤くしながら席に座り、店員は「ごゆっくり」と言い残して戻って行った。
「はぁ…今更だけど、可愛い女の子と来たかったんね。それか日本」
「今から恋人にさせるやつを狙うなよ」
「イタリアって結構イケメンだしさ、恋人とかいないの? 」
「いたらここにはいないんね」
「四六時中デートしてそう」
「偏見が過ぎるんね」
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「アイスコーヒー一つと、クリームソーダを二つ。あとチーズケーキも二つお願いします」
ちゃっかり楽しんでいる3人だった。
「こちらご注文のショートケーキとチョコレートケーキ、そしてお飲み物のいちごミルクとブラックコーヒーになります」
「ありがとうございます!美味しそうですね…!!」
「そうだな…!」
「いただきます!」
日本は早速フォークを手に取り、キラキラと光るように白いクリームとみずみずしい苺に装飾された、見るからに美味しそうなショートケーキを食べてみる。
「〜〜〜!!!」
よっぽど美味しかったらしく、クリームと同じくらい真っ白な頬に手を当て、全身で美味しいを表現した。かわいい。
「じゃあ、俺も… 」
日本のショートケーキとは正反対の、小さな金箔がかけられ、正方形のチョコレート細工が乗った黒いチョコレートケーキ。
柔らかいスポンジにフォークを突き刺し、コーヒーと共に口に運ぶ。
「…!!」
こちらも同様に美味しかったようで、パクパクと2人してケーキを食べ進めていった。
「はい北ちゃん世界一かわいい」
「ブラコンなんね」
「世界一可愛いのは日本。異論は認めない 」
「こっちもこっちでアレなんよ」
「日本、こっちのチョコケーキも美味いぞ。一口食べてみろ」
「ほんとですか?確かに美味しそうですね!」
先ほどまで使っていたフォークでケーキの一部を切り取り、日本の小さな口へ。
「モグモグ…んー!美味しいれすね!」
「だろ?」
「モグモグ…ゴクン。北朝鮮さんもどうぞ!」
「んっ、パクッ 」
「あーんした!あーんしたよ!?」
「間接キスだって絶対気付いてないぞ、あれ」
「直接口移しでもすればいいのに」
「そこのピザ、発言が過激すぎ」
「ピッツァなんよ!!」
「ゴメン」
色々ありつつ、周囲から見ると完全にバカップル状態でケーキを食べ終えた北朝鮮と日本。
「美味しかったですね!」
「休みと金があったら、また行きたいな」
「ですね〜。次はドイツさんたちも一緒がいいですけど…」
日本は顔を赤くして、北朝鮮を見上げた。
「また、北朝鮮さんとお出かけもしてみたいです///」
「!?///」
「告れ…告るんだ弟よ…!!!」
「言っては悪いが、ヘタレだな」
「唇くらい奪ってなんぼなんよ」
「黙れプレイボーイ。北ちゃんは純情なの!」
しっかりケーキや飲み物を楽しんで、少し距離を取りつつ尾行を続ける3人。
いい加減甘酸っぱいとか言ってられなくなってきたので、北朝鮮にメールを送りつけた。
「…あ?誰だ?」
「?どうかされました?」
「あ、いや、ただのメールだ」
「そうでしたか。大事なものかもしれませんし、確認は早い方がいいですね」
日本にそう言われてしまっては、確認せざるを得ない。
パッと携帯を見ると、双子の兄からこんなメールが来ていた
『間接キスしたんだから、さっさと告れ』
「間接きっ…!?はっ…!!!/////」
「??」
ようやく気づいた北朝鮮。
「…日本、家…は、あいつがいるか…ちょっと向こうまで寄り道してもいいか?」
「はい!まだ時間もありますし、いいですよ!」
その後、北朝鮮と日本は無事に付き合い、韓国たちのモヤモヤは消え失せた。
その代わり…
「やっぱり日本が世界一可愛いな」
「もう、北朝鮮さんったら♡そう言う北朝鮮さんの方こそ、世界一かっこいいですよ!」
「ありがとな♡ 」
「…砂糖吐きそぉ…」
韓国がいるにも関わらずイチャつくバカップル具合に、今度は甘さで苦しむことになるのであった。
コメント
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かっかわいい⋯⋯!!! 保護者面してる独伊と南も好きです😇😇 国の印象がアレなだけに、純粋なのはギャップかも、可愛い!(2回目
北日が可愛すぎて死にそう❣️❣️( ..)=͟͟͞͞💓 ずっと口角が上がるのを止められませんでした……サカナウミさん最高です! ありがとうございます🙇♀️
北日いいなあぁ゙ぁ゙ああッッ サカナウミさんのおかげで新しい扉が開きました…ありがとうございます!!!! やっぱ東アジアは世界を救いますねッ…🫠🙃