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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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むに 様より、北日






















「あー!モヤモヤする!!」

バタバタと布団の上を転がり回り、韓国は叫んだ。

「いい加減くっつけ!!!甘酸っぱい超えて不味いわ!!!」

枕を抱きしめてギャンギャン言っている理由は、北朝鮮と日本があまりにも進展しなさ過ぎて、モヤモヤが爆発した結果である。

「北ちゃんも日本も奥手過ぎてモヤモヤする〜〜〜!!どう見ても両思いだろーが!!なぁにが「好きなのは俺だけかな…」だよ!!!告りに行け!!!!!」

配信用に防音を強化したせいで、この叫びが北朝鮮へと届くことはない。

ご近所迷惑にはならなくとも、韓国としては届いて欲しいという思いでいっぱいだ。

「こうなったら…僕がくっつけるしかない…!!!!」

覚悟を決めて上半身を起こすと、韓国は早速計画を練り始めた。

「まず日本についてもう少し調べなきゃな…誰かに聞くか…誰がいいかな…」

条件は

・日本をよく知っていること

・こちらが与えられるメリットで動いてもらえること

・最後まで協力してくれること

・嘘をつかないこと

これが突破できれば、満点の協力者と言えるだろう。

韓国は日本の交友関係を知っているだけ思い返し、中国とその他ヨーロッパの2国が思い当たった。




そしてその2国もまた、日本と北朝鮮の関係にモヤモヤしている。

「日本と北朝鮮がくっつかない件について」

「ガードし過ぎたんねぇえええ!! 」

日本の幼馴染である、イタリアとドイツだ。

「日本に相応しいやつは俺らが見定める〜とか言ってたら、婚期逃しかけてたな…」

「北朝鮮が一途で助かったんよ!早くくっつけなきゃ! 」

彼らは日本より年上で、体格も良い。

そのため弟のように可愛がり、日本に近づく不埒な輩どもをぶちのめしていた。

国際的立場に関わらず、個人としてのカチコミ。

アメリカも粛清対象に入り、その熱心さは数十年間衰えていない。

「ひとまず計画を立てよう。どうしたら2人をくっつけることができる?」

「Ioたち、日本のことはよく知ってるけど、北朝鮮の情報がわからないんよ…まずは洗いざらい整理する必要があるんね」

「イタリアにしてはまともな意見だな。賛成だ」

「Ioにしてはって、失礼すぎるんね!」

頬を膨らませて子供のように怒るイタリアに軽く謝りながら、ドイツは北朝鮮について知りうる限り情報を思い返す。

「…韓国が兄弟ってことと、中国やロシアに懐いてるってことくらいしか知らないな」

「北朝鮮といえば、アジアのエリトリアってイメージあるんね。エリトリアの方が穏やかだけど」

「あいつ穏やかか?かなり危険なような…」

「そう?お菓子とか焼いてくれるよ?」

「仲良いな。…って、それは置いておいて、韓国か中国に聞いてみるぞ」

そしてドイツがスマホを手に取った時、タイミング良く韓国からのメールが来た。

「おお、丁度いいな。韓国からメールだ。イタリアにも共有してくれとのことだから、こっち側に来てくれ 」

「りょーかい!」

テーブルを挟んで対面していたイタリアはドイツの隣へ移動し、スマホの画面を覗き込んだ。

内容をまとめると下記のようになる。

“日本と北ちゃんがくっつかなくてモヤモヤするから、日本の好みとか色々教えて。僕にできる範囲なら、対価も用意するよ ”

まさしくドイツたちが求めていたメール内容に、2人はハイタッチして喜んだ。

「よし!これなら上手くいくはずだ!」

「グッドタイミングなんね!」




早速返されたメールはドイツらしい無愛想で簡潔なものだったが、その端々からは日本を思う気持ちが読み取れる。

韓国は良い協力者が見つかったと笑い、後日作戦会議として国連本部が使用されることになった。

職権乱用かもしれないが、G7の力とは素晴らしい。





迎えたその日、国連本部の広い門へと駆ける韓国の姿があった。

「ごめん、待たせた?」

「全然待ってないんよ!」

「日本関連だからか、イタリアが早く来て良かったよ。2時間も待たなくてラッキーだな、韓国」

「時間感覚大丈夫?」

うわー、とドン引きする韓国を他所に、イタリアは本部へと足を進めている。

「2人とも早く来るんね!」

やる気満々のイタリアの後に続き、2人は本部の会議室を目指して、中に入って行った。




「じゃあ、会議しよっか。とは言っても、どうせ情報交換メインだけどね」

「そうだな。こちらは北朝鮮の、お前は日本の情報が欲しくてこうなったからな」

「何においても、情報は命なんね! 」

テンション高くイタリアが言うと、ドイツがキャスターを鳴らしながらホワイトボードを持ってくる。

そして黒のペンで“日本”・“北朝鮮”と書き記し、各々箇条書きで情報を追加していく。

「へぇ…北朝鮮って甘いもの好きなのか」

「チョコパイで国が動くくらいには、甘いものに目がないよ」

「日本も甘いもの大好きなんね!」

「ならデートはカフェとかだな。ケーキの美味い店でも探そう」

「それならio詳しいんよ!」

本人たちがいぬ間に少しずつ決まっていくデートの内容。

あーだこーだと言い合っているうちに、数時間が経過した。



「…よし、これなら付き合えるだろ」

「Ioたち3人が協力しても付き合えなかったら、もう部下を動かして付き合わせるんね」

「イタリアってマフィ」

「韓国、世の中には知らなくていいこともあるんよ」

「…」

いつになく低い声で囁かれ、韓国は追求をやめるしかない。

「話は済んだか?北朝鮮と日本に休日を取らせるために仕事もあるんだ、さっさとやるぞ」

「はーい!…って嘘休日なのに!?」

低い声で脅されたかと思えば、ぱっと和やかな笑みをドイツへと向ける。

やっぱりヨーロッパは怖い。

韓国はそう思った。















そうして計画し尽くされたデート当日。

北朝鮮と日本には、ドイツ、イタリア、北朝鮮、韓国、日本の5人で出かけるということにしているので、3人が休むことで2人っきりにさせるというものである。

ベタな方法だとしても、なんとか付き合わせたいという意見の一致だ。

「…///」

「…///」

「…ふ、2人っきりになっちゃいましたね///」

「…あぁ…///」

双方顔を赤くしてソワソワしており、あからさまにも程があるという態度だった。

「い、行きましょうか///」

「そうだな///」


「そこだーっ!手を繋げーっ!」

「韓国って意外と熱くなるタイプなんね」

「気持ちはわかる」

こちらは見守っているドイツ、イタリア、韓国。

街角から甘酸っぱい2人を眺め、結構好き放題言い合っている。




道中は照れてまともな会話はほとんどなかったものの、なんとかイタリアおすすめのカフェへと辿り着いた2人。

「わぁ…!綺麗なお店ですね!」

「ケーキが美味しいんだったっけか…楽しみだな 」

「ですね!」

「いらっしゃいませ!何名様でお越しでしょうか?」

「2名です」

「かしこまりました!それではこちらの席へご案内いたします」

綺麗な女性店員がニコニコと2人を案内し、勧められた席は対面座席。

少し恥ずかしいなとは思ったが、横に並んでも同じようなこと。

2人はわずかに顔を赤くしながら席に座り、店員は「ごゆっくり」と言い残して戻って行った。


「はぁ…今更だけど、可愛い女の子と来たかったんね。それか日本」

「今から恋人にさせるやつを狙うなよ」

「イタリアって結構イケメンだしさ、恋人とかいないの? 」

「いたらここにはいないんね」

「四六時中デートしてそう」

「偏見が過ぎるんね」

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「アイスコーヒー一つと、クリームソーダを二つ。あとチーズケーキも二つお願いします」

ちゃっかり楽しんでいる3人だった。







「こちらご注文のショートケーキとチョコレートケーキ、そしてお飲み物のいちごミルクとブラックコーヒーになります」

「ありがとうございます!美味しそうですね…!!」

「そうだな…!」

「いただきます!」

日本は早速フォークを手に取り、キラキラと光るように白いクリームとみずみずしい苺に装飾された、見るからに美味しそうなショートケーキを食べてみる。

「〜〜〜!!!」

よっぽど美味しかったらしく、クリームと同じくらい真っ白な頬に手を当て、全身で美味しいを表現した。かわいい。

「じゃあ、俺も… 」

日本のショートケーキとは正反対の、小さな金箔がかけられ、正方形のチョコレート細工が乗った黒いチョコレートケーキ。

柔らかいスポンジにフォークを突き刺し、コーヒーと共に口に運ぶ。

「…!!」

こちらも同様に美味しかったようで、パクパクと2人してケーキを食べ進めていった。


「はい北ちゃん世界一かわいい」

「ブラコンなんね」

「世界一可愛いのは日本。異論は認めない 」

「こっちもこっちでアレなんよ」


「日本、こっちのチョコケーキも美味いぞ。一口食べてみろ」

「ほんとですか?確かに美味しそうですね!」

先ほどまで使っていたフォークでケーキの一部を切り取り、日本の小さな口へ。

「モグモグ…んー!美味しいれすね!」

「だろ?」

「モグモグ…ゴクン。北朝鮮さんもどうぞ!」

「んっ、パクッ 」


「あーんした!あーんしたよ!?」

「間接キスだって絶対気付いてないぞ、あれ」

「直接口移しでもすればいいのに」

「そこのピザ、発言が過激すぎ」

「ピッツァなんよ!!」

「ゴメン」


色々ありつつ、周囲から見ると完全にバカップル状態でケーキを食べ終えた北朝鮮と日本。

「美味しかったですね!」

「休みと金があったら、また行きたいな」

「ですね〜。次はドイツさんたちも一緒がいいですけど…」

日本は顔を赤くして、北朝鮮を見上げた。

「また、北朝鮮さんとお出かけもしてみたいです///」

「!?///」


「告れ…告るんだ弟よ…!!!」

「言っては悪いが、ヘタレだな」

「唇くらい奪ってなんぼなんよ」

「黙れプレイボーイ。北ちゃんは純情なの!」

しっかりケーキや飲み物を楽しんで、少し距離を取りつつ尾行を続ける3人。

いい加減甘酸っぱいとか言ってられなくなってきたので、北朝鮮にメールを送りつけた。


「…あ?誰だ?」

「?どうかされました?」

「あ、いや、ただのメールだ」

「そうでしたか。大事なものかもしれませんし、確認は早い方がいいですね」

日本にそう言われてしまっては、確認せざるを得ない。

パッと携帯を見ると、双子の兄からこんなメールが来ていた

『間接キスしたんだから、さっさと告れ』

「間接きっ…!?はっ…!!!/////」

「??」

ようやく気づいた北朝鮮。

「…日本、家…は、あいつがいるか…ちょっと向こうまで寄り道してもいいか?」

「はい!まだ時間もありますし、いいですよ!」







その後、北朝鮮と日本は無事に付き合い、韓国たちのモヤモヤは消え失せた。

その代わり…





「やっぱり日本が世界一可愛いな」

「もう、北朝鮮さんったら♡そう言う北朝鮮さんの方こそ、世界一かっこいいですよ!」

「ありがとな♡ 」

「…砂糖吐きそぉ…」

韓国がいるにも関わらずイチャつくバカップル具合に、今度は甘さで苦しむことになるのであった。

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コメント

13

ユーザー

かっかわいい⋯⋯!!! 保護者面してる独伊と南も好きです😇😇 国の印象がアレなだけに、純粋なのはギャップかも、可愛い!(2回目

ユーザー

北日が可愛すぎて死にそう❣️❣️( ..)=͟͟͞͞💓 ずっと口角が上がるのを止められませんでした……サカナウミさん最高です! ありがとうございます🙇‍♀️

ユーザー

北日いいなあぁ゙ぁ゙ああッッ サカナウミさんのおかげで新しい扉が開きました…ありがとうございます!!!! やっぱ東アジアは世界を救いますねッ…🫠🙃

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