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「そりゃ気ぃ回らんくてすまんかった」
トントンが申し訳なさそうに雪乃を見る。
そして、キッとゾムを睨んだ。
「よし、ゾムを隔離や!!」
「…はぁぁぁ!?」
ビシッと指差すトントンの掛け声と同時に、ゾムの右腕をロボロが、左腕をシャオロンが掴み身動きがとれない状態にする。
「ここの横に離れがあるから、そっちに放り込んどくか」
「ちょ、待てぇ!!何で俺が!!」
「危ないからや」
「いやいや、俺1人で離れ!?寂しすぎん!?」
「じゃあコネシマも付けるわ」
「えー、俺こっちの広い方がえーなー」
「シッマはええわ、うるさいから」
ソファーに体を任せ寛ぐコネシマと、途端に冷静になるゾム。
「いいよ、俺らが行くから」
そこに口を挟んだのは、春翔。
「俺らが離れ使うから、お前らは一緒に過ごせよ。お前らの合宿だろ」
その言葉に背後で雪乃も激しく頷いた。
「そうか、ならそうしてもらおか」
トントンも落ち着きを取り戻し、シャオロンとロボロの拘束も緩まる。
「じゃあ離れに荷物持ってくわ」
「手伝おか?」
「そんなにねぇからいいよ」
トントンの申し出を断り、春翔は荷物を持つ。
雪乃も何とか自分の荷物を持とうとするが、震えて体が言う事を聞かない。
それを見かねて春翔が雪乃の分の荷物も抱え、玄関へと向かう。
雪乃もくっつきながら外へと出た。
「…ほんまに兄妹なんやな」
そんな2人を見つめながら、トントンが呟いた。
妹だと紹介された時、全然似てないなと思ったから。
「彼女行ってもうだけど、ええんか大先生」
「…シッマ、さっきからツッコもうと思ってたんやけど」
「何?」
「彼女ちゃうから」
「え、そうなん?嘘やろ?」
「ほんまや」
「え、じゃあ何なん?」
「…特別な関係や」
「やっぱ彼女やんか」
「ちゃうわ」
そんなコネシマと鬱先生がとりとめのない会話を繰り広げる横で、むっと口を尖らせるゾム。
「あいつで遊んだらあかんのか」
「絶対にアカンからな」
ロボロが釘を刺し、つまらなさそうに「はいはい」と返事をするゾム。
「よし、じゃあ遊びに行こうぜー!!」
そんなゾムを見かねたのか、シャオロンが声をあげた。
「お前、俺らはゲーム部の合宿に来たんやぞ。何来て早々遊ぼうとしとんねん」
トントンが冷静にそれを止めようとする。
「ええやん1日くらい。4日もあるんやからさ。それに目の前に綺麗な海があるのに飛び込まんわけにはいかんやろ!な、ゾム!」
「ええやん、遊ぼーぜー!」
「よし、ほらコネシマも大先生もいこいこ!」
「おー、暇やし、行くか」
「俺はええわ。暑いし」
「ビーチに水着のお姉さんがおるかもしれんで」
「ほな行こか」
シャオロンの言葉に途端に立ち上がる鬱先生。
「ロボロも、行くで!」
「ちょ、おま、引っ張んな!」
シャオロンに引き摺られるロボロ。
「…はぁ。こいつらこうなったら止められへんからなぁ」
「トントンも遊ぼうや」
ため息をつくトントンに、シャオロンが声を掛ける。
「俺はあいつらに話してから行くわ」
トントンがそう言うと「じゃあ先行っとくでー!」とみんな海の方へと向かって行った。
前途多難。
ま、いつものことか。
トントンは誰もいなくなった広いコテージで、深くため息をついた。