「資料のココ、間違えてるけど」
昨日徹夜して仕上げた資料を指さす上司
女とは思えない程傷んだ髪と肌の私
ここで私は思った…
一生独り身確定END________
私は”山崎美帆” 平凡な会社に務めるOL
平凡な会社と言っても、ファッションのデザインをする会社だ
仕事は常にため息の連続
ファッションデザインの仕事は楽に出来ると思い込んでいた5年前の私を殴りたい
ただいまの時刻22時
今から家に帰ってコンビニ弁当食べて…
こんな夜中に何してんだろ私…
はぁ__
今日もまたあのボロアパートに帰ろう
Gなんて毎日のように見かけるあのボロアパート
そのお陰でまぁ…
私以外に住んでる人見かけた事ないけどね
デスクに散らばったお菓子の袋を鞄に入れ立ち上がる
少しフラフラするのは毎日のことだ、
ヒールの靴擦れか…、それとも貧血か…
会社の階段を転げそうな勢いで駆け下り、扉を開ける
目の前にはボロアパート…!
よしよし、家と会社が近くてよかった
アパートの階段を駆け上る音が響き渡る
私以外に住民が居ないなら騒音騒ぎにはならない
他に住民が来たらこんな事出来なくなるのだけれど
「…は、初めまして…?」
急に背後から声が聞こえる
深夜に男の声、え、これ幽霊的な…?
思わず体を震わせるも、勇気を出して後ろを振り向く
…良かった、人だ…って、誰?
ここのアパートは私しか住んでないわけで…
もしかして…
「引っ越してきた方…?」
相手を見ると…、なんかめっちゃ頷いてる
「そ、そうです…!105号室の者で…」
うん、なんか可愛いな
…会社で後輩が出来た感覚
会社で後輩ができた事は無いけど 。
と言っても、年は私と同じ30代に見える
持ち物は…、手に抱えている段ボール箱と鞄だけ
引っ越しにしては手荷物が少ないような…
「え__名前…は、”高崎裕人”です」
「あ、私の名前は”山崎美帆”です…!
私は106号室の者なので…」
…高崎さんが105号室ということは…?
「…隣人さん!?」
うちのボロアパートに引っ越してきた人は、
隣人さんでした
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