テラーノベル
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その音は、俺の羞恥心をさらに煽った。
「あっ……ん……はぁっ……ぁ……」
「先輩のちんこ、もうこんなになってますよ?」
狭山は、俺のベルトに手をかけ
ゆっくりと緩め始めた。
そして、布越しに俺の性器を触る。
その瞬間に、俺の身体は思わずビクッと大きく反応してしまった。
自身の意思とは裏腹の反応に、羞恥と絶望が募る。
「やめ……ろ……」
必死に抵抗する。
だが、最早力が入らない上に
身体は彼の指の動きに敏感に反応し
抗いがたい快感を感じてしまう。
「あーそんな必死に抵抗しても無駄っすよ?今この階には俺と白鳥さんだけ、この部屋にはさっき鍵も掛けましたから」
「…っ!」
それを聞いた瞬間、脳が、真っ白になっていく。
そうこうしている間に、俺の身体は抵抗も虚しく
休憩室の机の上に無理やり乗せられ
足は無造作に開かさせられた。
冷たい机の感触が、肌に直接伝わってくる。
「白鳥先輩のエッチな穴丸見えっすよ~」
狭山は、容赦なく俺のパンツを脱がせ、下半身を丸裸にした。
晒された俺の秘部
その直後、彼は指先で俺のアナルを撫で回すように弄り始めた。
ねっとりと絡め取られるような感触に、俺の秘部はどんどん濡れていくのを感じる。
「ひぅっ!……んぁっ!」
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。
番であるテオ以外でこんな快感を感じるなんて
こんなの、こんなの浮気と同じじゃないか。
政略的な番契約だからとか、そんなこと関係ない。
こんなこと、したくない。
こんなクソ後輩に、イかされたくないのに。
溢れてくるのは、悔しさと絶望と
そして身体の快感に抗えない自分への嫌悪が入り混じった涙だけだった。
「気持ちいんすね~、じゃ、さっさとぶち込んで孕んじゃいましょ?テオさんに顔向けできないぐらいに、ね」
狭山は、ニヤリと下卑た笑みを浮かべると
今度は自身の性器を取り出し、膨れ上がったそれを俺のアナルにナマで擦り付けようとしてきた
「嫌だっ!!ほんとに、いやだ、やめっ……!!?」
挿れられないように、俺は机の上で身体をよじらせ
足をじたばたさせ、必死に暴れた。
しかし「暴れんな──」と、腰を掴まれて
絶体絶命に思えた、まさにその時だった。
突然
ダンっという大きな音と共に休憩室のドアが勢いよく開いたのだ。
そして、その開いたドアの向こうに現れたのは
「おい、何やってんだよテメェら」
そこに立っていたのは、額に青筋を浮かべながら
激しい怒りのオーラを全身から放つ、テオだった。
その声は、低い唸りのようで、部屋の空気を震わせた。
(助かっ、た?…けど、まさか……こんなタイミングで来るなんて……最悪だ)
俺の脳裏を、絶望と安堵が入り混じった感情が駆け巡った。
狭山は、テオの出現に慌てて俺から離れると青ざめた顔で小さく呟いた。
「やべ……テオさん戻ってくるとか聞いてね~……」
そして、一目散に「お邪魔しました~」と言い捨て、逃げ去ろうとすると
すかさず狭山の腕を掴み上げたテオが、その身長と体格を活かして
凄みを利かせて低く威嚇した。
「おいテメェふざけんなよ」
(まずい……!)
俺は、二人の間に漂う
いつ爆発してもおかしくないような緊迫した空気に、身を竦ませた。
狭山は怯えたような表情で、助けを求めるようにちらりと俺の方を見ていたが
テオの視線にすぐに竦み上がった。
「お前……俺の番に手を出したのか……?」
テオは、地を這うような低い声で言いながら空いた方の拳をゆっくりと握り締める。
その拳には、血管が浮き上がり
今にも殴りかかってきそうな殺気を放っていた。
「違うんす!先輩が、白鳥先輩が誘ってきたんすよ!だって今発情期なんすよね?!俺はただフェロモンに当てられただけで!」
狭山は、震えながら必死に言い訳を並べた。
全てを俺のせいにする、その言葉に俺は怒りで身体が震えた。
「あ゛……???」
テオの表情が、さらに険しくなる。
その威圧感は、もはや嵐のようだ。
その迫力に、俺までもが圧倒されそうになる。
「だ、だいたいっ、テオさんもどうかと思いますよ?」
狭山は、自暴自棄になったのか、信じられない言葉を吐き出した。
「番がいるくせに1人にするとか…」
「……っ!」
テオは、その言葉にハッとしたように目を見開き、一瞬、動きを止めた。
その僅かな隙を、狭山は逃さなかった。
「……」
テオは黙ったまま狭山を見つめ続ける。
その瞳には、侮辱された怒りと、わずかな動揺が混じり合っていた。
「……チッ、さっさと失せろ。」
彼は、小さく舌打ちをして狭山を解放する。
狭山は、蜘蛛の子を散らすように、一目散に休憩室を飛び出していった。
そして、テオはゆっくりと
だが確実に、俺の方にズカズカと歩いてくる。
その足音は、俺の耳には、処刑を告げる死刑執行人の足音のように聞こえた。
「おい、翼」
俺は、俯いたまま、ろくに声も出せない。
身体の震えが止まらない
テオは、きっと怒っている
当然だ
俺が、こんな状況に陥ったのだから。
でも、俺は悪くないんだ。
悪いのは、発情誘発剤を飲ませようとしてきた狭山なのに。
そんな思いが、胸の中で堂々巡りする。
(ああ……終わったかもしれない)
目の前が、真っ暗になるような絶望感が押し寄せた。
こんなことになるくらいなら、最初から断ればよかったんだ。
あの時、ちゃんと狭山のことを疑えばよかった。
どうして疑わなかったのだろう。
どうして、こんな状況に流されてしまったのだろう。
なんで俺はこんな馬鹿なんだ。
情けない
消えてしまいたい
死んでしまいたい
テオの番である価値なんてないんだ。
生きてる意味なんてないんだ。
俺はテオの顔を見ていられなくて、視線を床へと落とした。
テオが、すぐ近くまで来ている。
その足音が、鼓膜に直接響いてくる。
こんなにもテオに威圧感を覚えたのは何年ぶりか。
いや、もういっそ殴って欲しい。
それで、この苦しさを全部忘れて、楽になれたらいいのに。
この耐え難いほどの自己嫌悪から、解放されたい。
「翼」
低い声で名前を呼ばれ、俺は恐る恐る顔を上げた。
テオが、目の前に立っていた。
その顔は、怒りに満ちてはいるものの
予想していたような冷酷さとは違っていた。
何か言われると思って身構えていた俺の予想に反して
彼は何も言わずに、ただ静かに俺の頬に触れた。
「泣くな」
その手は、優しくて、そして暖かかった。
その温もりが、俺の中に張り巡らされていた最後の緊張の糸を、プツン、と切断した。
その瞬間
堰を切ったように涙が溢れ出してきて、止まらなくなる。
声にならない嗚咽が喉を震わせ、苦しい。
「すみません……すみません……テオ……っ」
嗚咽交じりになりながら、俺は必死に謝った。
許されるわけがない。
それでも、謝らずにはいられなかった。
「き、きき、危機管理、能力が、なかった」
テオの指先が、俺の頬を伝う涙を拭ってくれる。
その温もりを感じながら、俺は言葉を続けた。
「オメガなの、バ、バレ、て、薬盛られて、社長に言うって脅されて……クビ……なっ……たら、テオの写真撮れなくなる、の…嫌で……ていこ、もできなく…て」
震えながら、支離滅裂に言い訳を並べた。
俺の惨めな言い訳を、テオは何も言わずただじっと聞いていた。
そして、突然、強く俺を抱き締めてくれた。
「……っ!」
その腕の力強さと温もりに、俺の涙はますます溢れ出す。
テオの匂いが、俺を包み込み、少しだけ安心した。
「それ以上、責めんな」
テオの声は、俺の頭上で、低く響いた。
「でも……」
「お前は悪くねぇよ」
「でも俺がいけないから……」
「ああ、そうだな。危機管理能力皆無だったもんな」
テオの言葉に、俺は反論しようと顔を上げた。
「それはっ……」
「だけどな、お前を一人にしてた俺も悪い」
テオの意外な言葉に、俺は目を見開いた。
「え……?」
「お前がこんな目に遭う前に、助けてやれなかった」
テオの言葉に、俺はまた涙が込み上げてくる。
「…テオは、助けてくれました。本当にすみません」
「何に対して謝ってんだよ」
「テオに迷惑かけた、ので」
「迷惑だなんて思ってねぇよ」
テオはゆっくりと体を離すと、じっと俺の瞳を見据えた。
その真っ直ぐな眼差しに、俺は耐えられずに視線を逸らそうとするが
彼はそれを許してくれない。
俺の顔を両手で挟み、無理やり視線を合わせさせる。
「俺を見ろ、翼。俺は仮にもお前の番だ。もっと頼れよ。」
その言葉に、俺の胸は締め付けられるような痛みを覚えた。
同時に、彼の深い優しさに触れた気がした。
「テオ……」
「どうせ最近流行りの誘発剤かなんか飲まされたんだろ。だったらさっさと抜いてやるから、俺に身委ねろ」
そう言ってテオは俺の額に軽く口付けた。
その唇の感触は、熱かった。
テオの言葉に、俺の身体はドキッとした。
確かに、発情期特有の熱は、まだ身体中に燻っていた。
だが、先程の狭山とのことを思い出せば思い出すほど
後ろめたくて堪らない気持ちになる。
こんな俺の、汚れた欲望をテオに満たしてもらうなんて、申し訳ないと思ってしまう。
それなのに。
身体は、あまりにも正直だった。早くテオに触れて欲しい、と、本能が叫んでいる自分がいた。
「嫌なら嫌って言えよ」
テオが、俺の服の中に手を入れようとしているのが分かった。
その手つきは、どこか焦っていて
いつも彼が見せるような余裕は微塵も感じられなかった。
彼の瞳は、俺の返事を待っている。
俺が拒絶しないことを肯定と受け取ったようで
テオは再び俺の首筋に吸い付いた後
優しくキスをする。
その柔らかな感触に、俺の喉から甘い声が漏れた。
「ふ……ぁ……んんっ……」
俺は、テオのシャツをぎゅっと掴んだまま
決して離そうとはしなかった。
そこからしばらくの間、俺たちは互いの熱を求め合った。
ただ、ひたすらに。
「はっ……はぁ……んっ……んんっ……」
どれくらい時間が経ったのだろうか。
身体の奥から湧き上がるような快感と、全身を駆け巡る熱に意識が朦朧としてくる。
気づけば、外はすっかり暗くなっていた。
窓の外は、札幌の街の夜景が広がっている。
「翼、タクシー拾ってとっとと帰るぞ」
テオは、ぐったりとした俺を抱きかかえながらそう言うと
そのまま迷うことなく出口に向かって歩き始めた。
彼の腕の中は、何よりも安心できた。
「はぁ……はぁ……うん……」
タクシーに乗り込む頃には、俺は疲れ果てていて、半分意識が飛んでいた。
夢と現の狭間を彷徨っているような感覚だった。
家に着くなり、玄関先でテオに押し倒され
強引にキスをされたが、俺はもう抗う気力もなくそれを受け入れた。
そのまま、服を全て脱がされ、熱い肌を重ね合わせる。俺の首輪は、つけられたままだった。
テオの熱い舌が、全身を這う感覚に、ぞく、と背筋が震える。
「んっ……あっ……」
テオの指先が俺の秘部に触れると、そこはすでに粘液で濡れていて
くちゅりと濡れた音がした。
恥ずかしさのあまり足を閉じようとするが
逆に広げられてしまい、秘部が全て彼に見られてしまう。
「やぁ……っ……」
「やらしいな……」
テオは意地悪そうな笑みを浮かべると、指先で割れ目をなぞったり
花弁を弄ったりし始めた。
その巧みな指使いに、俺の身体はさらに敏感に反応する。
「ん……っ!ああぁっ……!」
敏感になった部分を刺激され、俺の身体はビクン、と大きく跳ね上がる。
さらに快楽を与えようと、激しく指を出し入れされる度に
結合部からは愛液がとめどなく流れ出てきた。
ぐちゅ……ぐぷ……と生々しい音が響く
「あっ……はげしっ……んあぁっ!」
「ここ弱いだろ」
テオの長くて綺麗な指先が、俺の中を掻き乱す度に
俺は意識が飛びそうなほど甘い声を上げ続けた。
「んっ……ふぁっ……ああぁっ!」
「ほらまた締まった。」
テオは、俺の乳首を摘むと同時に
腰を激しく動かし始めた。
その二重の刺激に、俺の思考は完全に停止する。
「ああぁっ!?だめっ!一緒は……っ!」
俺の悲鳴にも似た喘ぎ声も空しく、テオは容赦なく攻め立ててくる。
その度に、俺は情けない声を上げて喘いでしまう。
「も……むりぃ……っ……!限界……出るっ…出ちゃ!」
絶頂を迎えると
テオの荒い息遣いが、俺の耳元で聞こえる。
「はっ……すっげぇ量出た……」
「はぁ……はぁ……ナ、ナカ出してないです、よね」
「当たり前だろ」
テオは、俺の腹に飛び散った白濁色の液体を拭うと、使用済みのゴムを外した。
その後テオにベッドまで運ばれた俺は
「はぁ……はぁ……」
荒くなった呼吸を整えながら、ぼんやりと天井を見つめていた。
その時、リビングに向かったテオが、水道水の入ったコップを手に持って戻ってきた。
そして、それを俺に差し出す。
「飲め」
「ぁ…ありがとうございます」
俺は礼を言うと、コップの中身を一気に飲み干した。
冷たい水が、熱い喉を潤していく。
それから少し休むと、俺は意識を失うかのように、深い眠りに落ちていった。
翌朝
目を覚ますと、隣には誰も居なかった。
テオの体温も、気配も、もうそこにはなかった。
昨日はいろいろとありすぎて、俺の頭の中はまだ整理出来ていないようだ。
靄がかかったように、記憶が曖昧だ。
(とりあえず顔でも洗うか)
洗面台に向かう途中で、ふと違和感を感じた。
いつも使っているはずの歯ブラシとコップがないことに気付いたのだ。
鏡を見ると、少し伸びた髪の毛が寝癖で跳ねていて
酷い顔をしていることに、思わず自嘲の笑みが漏れた。
それから会社に着くと、俺は社長に呼び出しを食らった。
昨日のことで、狭山が社長に俺がオメガだということを話してしまったのか?
様々な不安が胸を駆け巡り、心臓をバクバクさせながら社長室の扉を3回ノックする。
すると「入りなさい」と、いつもの社長の声が聞こえてきたので、俺は恐る恐る中へ入っていった。
そこには、予想通り社長の姿があった。
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