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そこからの話は本当に実際にあったことなのだろうかと思うぐらい残酷なことだった
カトレア『プレイタイムは…身寄りの無い、孤児たちを世界中から集めて、里親に選ばれなかった子を実験に使ってたの…あそこにはゲームステーションってとこがあって遊びだって言って私たちの身体能力とか、判断力、反射神経を試していたんだと思う 』
その子は話している間も怯えたように話していた
カトレア『…博士に選ばれた子は…あの時までは地上に出て新しい親と幸せに暮らしてるんだって思ってた、よく寝てよく食べてよく遊んで…でも違った、博士に選ばれたらいけないんだ、選ばれたら一生日の光の届かないもっと深いところで……人じゃ失くされて…』
リニア『カトレア、ゆっくりでいいんだ、深呼吸をしよう』
マリー『無理に話さなくてもいいのよ?』
カトレア『…だめ……あそこのことを…二人にだけでも話さなくちゃ……』
二人『……』
カトレア『…私は他の子と違うことをされた……博士に選ばれたところまでは同じだった、でも…その後は違った、皮は剥がされなかったよ、でも中身を変えられた、人じゃなくされた、変なのを入れられた、今でもずっとずっとずっとカラカラいってる回ってる』
リニア「その後は気絶するように倒れたよ、やっと自分を信じる人に話せて安心したのと、あの子がいたところでの惨状、あの子がされたことが一気に押し寄せたんだろうね」
リニア「…確かに、おかしいとは思っていた、他の子とあの子の体はどこかずれているような感じはしていた」
マリー「あの子の体を調べさせて貰ったの…あの子を抱き抱えたときのことは今でも忘れないわ、軽かったの、とてもあの年頃の軽さじゃなかった」
リニア「都心部の大病院へ行ってその時は少なかったエコーで調べて貰った…そしたら大腸を⅓切られていて、不要とされた臓器を摘出されていたらしい」
頭のなかで無意識に考えてしまった、不要とされた臓器とはなんだろうか、膵臓?肝臓?どちらも必要だ、肺?それだと軍人になるのは厳しい、あれは肺活量も試されると聞く…地下深く、真っ暗な場所で一生飼い殺しにされるんだとしたら、モノとして扱われ人として扱われないのなら、真っ先に取り除くのは……
ケビン「……まさか…」
想像したくない、吐き気がする、ただ俺はこの吐き気さえも知っているような気がしてならなかった
マリー「…卵巣ごとね、ごっそり抉られていたわ、見せて貰ったエコー写真にはなにもない空間があった、ぽっかりと穴が空いたようにさえ見えた……あの子は……娘は地獄にいたの」
地獄……
リニア「もうひとつ、保護当初あの子が抱えていた物があるんだ」
彼はリビングの隅にあるタンスまで歩いていき小さな箱を持ってきた
ケビン「その…箱は……?」
マリー「あの子が大事にしていたものよ」
よく見るとダイヤル式のパスポートがあるらしい
ザザ…
『いい?これは私たち3人の宝箱、他の子には教えないでね、私たちだけの秘密だよ』
ザザザ……
俺は…この箱を…宝箱を知っているんじゃないのか……?
ケビン「あの…これ」
マリー「よかったらこれ、貴方にあげるわ、バーンズくん」
ケビン「え…は?」
リニア「実はね、あの子がよく言っていたんだ」
カトレア『この箱はね、私とジョセフ、ケビンの宝箱なんだ』
リニア「君がケビンという名前なのは偶然かも知れないし、必然なのかもしれない、ただ君がここに来たのは必然だと僕は思ってるよ」
マリー「もし開けられたら中身も貴方にあげるわ、さ、もう時間も遅いし」
その後二人に玄関まで送られて、最後に
リニア「そうだ、よかったらこれを渡しておこう、もしかしたら役立つかもしれないからね」
渡されたのは写真で、写っているのは遠い昔に見たような気がする女性だった、多分歳は5つ4つぐらいしか違わない、最初に見た写真とは違いごく自然な笑顔だった
リニア「娘の写真だ、ほかにもあるからね、一枚ぐらい譲れるさ、コピーだし」
そうリニアさんは笑っていた
帰りの電車に揺られながらずっと頭のなかがグルグルしていた、集団失踪が起きたプレイタイム社、地下の闇、人体実験、ただ一番気になるのはそこから生きて脱出した少女とその少女が持っていた宝箱
初めて見るもの、初めてさわる感触、のはずなのに、懐かしいと思う
ケビン「……帰ったら開けてみるか」
ただ彼は知らない、この箱、ダイヤル部分が錆びに錆びまくっててまずは滑りをよくしないといけないということに
続く