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この先伏字ありません
作中に出てくる機関なんかは当たり前に捏造です。
トガちゃん編です
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「…………」
“気色悪い”
“近寄らないで”
“ちょっと怖いよね”
“人間じゃない子産んじゃった”
“なんであんたは普通の子になれないの”
“かわいそうに”
「……ッ」
ギリ、と拳を握りしめた。
ちがうの、ただ、好きな人になりたかっただけなの。
私のことを、かわいそうだなんて言わないで。
ちょっと、血がほしかっただけなのに。
チウチウしたかっただけなのに。
「……生きにくい」
爪を噛んだ時に肉も破ってしまったのか、
ツウ、と血が親指から伝った。
そのときだった。
「、ワアッ!?!?
だだ、大丈夫ですか!?えっと、
絆創膏あったっけな、アッ、怪しいものではなくてですね、」
その慌てふためいている様子が、
斉藤くんにそっくりで。
ぜんぜん見た目は違ったけど。
この人も多分、私、好きだ。
だめ。
確信したらもうダメだった。
離れなきゃ。じゃなきゃ、また、
前みたいに…っ
走って逃げようとした手を
しっかり掴まれた。
「っ!?」
「すみません、痛かったですよね,
でも、どうしてこんなことを、?
血を………」
「……………」
ああ、この人も、同じなんだ。
みんなと。
じゃあ、いいや
「聞かせてくれませんか?あなたのこと。」
「ぇ、」
そんなこと言われたのなんて、
初めてだった。
放心状態のまま、
頷いてしまった。
「どこかのカフェでもいいんですが、
いかんせんはじめて会ったばかりなので少し嫌でしょう、少し待っててくださいね、」
そう言って、彼は自販機でお水を買って私にくれた。
「ぁ、お金…」
「そんなのいいんですよ、
子供は大人に頼らないと」
「あ、あと、お名前とか、聞いてもよろしいですか?
全然悪用とかするつもりないのでっ!!
あ、名刺渡しときますね!」
そして、私に名刺を丁寧な所作で渡した。
「(加賀美…………隼人…)」
「、わ、私、トガ、渡我被身子、、」
「渡我さん…素敵なお名前ですね」
そう言って彼は微笑んだ。
「わ、私………個性が、変身、、なの、
だけどそのためには、血が、必要、で、、
人の血液を一定量、飲んだら姿を他人に変えられるの、
好きな人の血がほしいの、
ちうちうしたいの、、
でも我慢しろってゆわれた、、
でも、我慢するとおっきくなるの、、
ちうちうしたい……
好きな人になりたい……
でもだめってゆわれた、、、
どうすればいいの、、
どうすれば!!」
勝手に語り始めた私の話を、
彼は黙って最後まで聞いてくれた。
「…あなたは、」
さっきよりもちょっぴり
声が低くなったから、
また、怒られるんだとおもった。
ぎゅ、と目をつむる。
聞こえたのは。
「つらかったですね、」
「あなたの苦しみは分かってあげられないけど、
……社会に抑圧されて、親や周りに合わせて普通になる。むずかしいですねえ………」
うんうん、と頷きながら肯定してくれた。
「、…私、多分、あなたのことも好き。
チウチウしたい。でも、やらない。
オカシイ子って、思われて、あなたにも嫌われたら
ヤだ。」
「……!
ありがとうございます。
あのね、吸輸血袋販売所ってとこがありまして、
あっ!もちろん合法ですよ!?
……あなたのような子は、時々いますから。
その人たちのために、輸血パックを売っているところがあるんです。
病院で言ったらくれますから。」
「好きな人の血が吸いたい。
でも、そんなことをしたら
「なら、私の血でも吸いますか?」
「……ぇ?」
「実はですね、その販売所では、
採血された方の名前やらが張り出されてありまして。
私も支援しているんですよ。
あなた、さっき私のことを好きと言ってくれたでしょう?
嬉しかったですよ。
私は。
私の血ならいくらでもありますから。
………アッ、
すみません私少し用事がありましてぇ、、
その名刺に電話番号書いてありますので、何かあったらいつでもかけてくれていいですからね!」
「あ!あと、
社会に、世界にもっと目を向けなさい。
世界はもっと、優しいから。」
どこまでも、優しかった。
あの人は確かに、救いだった。
そのあと、一人の女の子と出会うのは、
もう少し先。