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83 ◇番外編 息子の一撃
正義が号泣し終えた少し後に、次男が側にやって来た。
父親が泣いていたことを知り、ため息をつく。
「父さんは、ずっと長い間会社の部下と親しくしてたんでしょ?
不倫してたの? 本気だったの?
離婚しなかったのだから本気じゃないかー。
若い女を、弄んできたの? 俺ずっと知りたいなぁ~って思ってたんだ」
「どういう……」
「だってさぁ、愛する? 奥さんのことずっと泣かせてきたってことでしょ?
かあさんのことをずーっと侮辱し続けるほどいい女なんだ、その相手」
「侮辱って……、私は由香を侮辱なんて……」
「侮辱のなにものでもないだろ?
毎日毎日、そのことを知ってる妻の気持ちを蔑ろにしてメールやリアルで
イチャコラしてたんだからさ」
「かあさんもいなくなったことだし、ぼちぼちその女に責任でもとってやれば。
相手も、婚期逃してるじゃん。
ただし、覚悟しといたほうがいいよ。
人のものを平気で盗れるドロボー猫だからさ、結婚したら途端に親父の金で
暮らしながら若い男を捕まえるかもな。
親父さ、もうすぐ64才じゃん。じいじいだからなー。
ははっ。財産乗っ取られて終わり……だったりして~」
「なんてこと言うんだ、親に向かって」
「止めてくれよ、親ヅラするのは。かあさんの幸せも俺らの幸せも
ぶち壊したアンタが親ずらするなんて、虫唾が走るんだよっ」
それだけ言うと、息子は2階へ上がって行った。
「なんてこと……。
息子の気持ちも知らず、ずっと自分は普通に息子に好かれていると
すら思っていたのだ」
正義は息子の一撃に驚き、凹んだ。
息子の気持ちを知り、正義に衝撃が走る。
青ざめるばかりの正義は、南極にでもいるかのようにブルブルと
震え始めた。
自分の周りの景色が、今まであった何もかもが、崩れていきそうだった。
今更だが妻は美代志と一緒に仏壇に入っている。
墓も美代志と同じ墓に入った。
美代志が亡くなった時、妻が墓を美代志のために購入し、彼女が入院した時には、
息子たちに自分にもしものことがあったら美代志と同じ墓にいれてほしいと遺言
を残していたためだ。
自分は死んだあとも妻とは一緒になれないこということに、今更ながらに気付き……。
正義は唖然とするばかりであった。
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