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起きてすぐ目に見えたのは、真ん中だけがもこっとしている不自然な形をした布団。
隙間を作って布団の中を見ると、泣き顔でこちらをむっとした様に見つめる葉雪が居た。
布団から出たくない、と何も言われなくても分かるような圧を感じる気がする。きっと気のせいだな、うん。
「…起きたから寝て…」
「いや寝んなよ起きたなら。ほら、母さん起こしにいくぞ〜。」
そう言うと、諦めたように布団から出てくる。諦め早いな、とか思いながら葉雪の方を見ていると、ふとある事に気がつく。
…あれ、こいつ準備終えてね?
葉雪の服は寝間着でも部屋着でも無く、外に出る時に着る服で、少し崩れてはいるものの、髪も結び終えている。
「ふぁ〜い。相変わらず朝に強いねぇ、瑠璃は。」
「お前が弱いだけだろ…ほら、用意終わってるならとっとと行くぞ。」
そう言い部屋の扉を開け、半ば強引に葉雪を部屋から出す。持っていこうとしていた布団は勿論置いてこさせた。
持ってかれたら絶対にどっかで寝るからな、こいつ。
「…誰かの夢を見たの。」
廊下を歩いて母さんの寝室まで行く途中、ふと葉雪がそう話しかける。
俺はそれに返事をしなかったが、お構いなしに葉雪は話を続けた。
ふざけている訳では無い、というのはすぐに分かった。
「1回目は私の幼い頃の夢。昔すぎて忘れかけていた、満月の次の日について聞いていた。
2回目は学校だった。私達の通っていた学校とは違う、見たことの無い学校だった。そこの制服みたいな服を着ていたその人は、友達らしき関係の人に何かを言われていた。
…でも、重要な所で目が覚めたから、何を言おうとしたのかは分からなかった。」
そこまで言うと、静かに口をつぐむ。
ふぅ、と一つ大きく息を吐くと、話を続ける。暖房のついていない早朝のこの空間では、その息は微かに白くなった。
「3回目は―」