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ローザリンドとフィンは森を抜け、小さな町にたどり着いた。ローザリンドは、冒険の初期段階によく登場する典型的な中世ファンタジーの町を見渡して、満足げに頷いた。
「ここが冒険の拠点になりそうね!」
「いやいや、お嬢様、そもそも俺たち、どこに向かってるんだ?目的地すら決まってないぞ?」フィンがツッコミを入れる。
ローザリンドは足を止め、空を仰いでつぶやいた。「そうね…確かに。物語の方向性を決めるのは早いほうがいいわね。さあ、何か目標を考えましょう!」
「おい待て、ここで急にキャラたちが目標設定を始めるの、どう考えても変だろ!普通そういうのは決まってるもんだ!」フィンが鋭くメタ発言を飛ばす。
「いいのよ、どうせ伊琉夏さんも即興で進めてるんだから!」ローザリンドがケラケラと笑う。
二人は冒険の定番スポット、町の酒場へと入る。ローザリンドはドアを開けながら振り返り、ウインクを飛ばした。
「ほら、読者のみんな!酒場といえば情報収集って、もう知ってるでしょ?」
「誰に話してるんだよ!」フィンが再びツッコミを入れる。
酒場の中には、お決まりのキャラたちが揃っていた。明らかに敵になりそうな強面の男たち、やたら美人なバーテンダー、そして隅で謎のフードをかぶって酒を飲む怪しい人物――いかにもイベントフラグが立ちそうだ。
「お嬢様、こんなところで目標なんて見つかるわけがないだろ?」フィンがため息をつきながら言うと、ローザリンドはカウンターに腰掛けて自信たっぷりに答える。
「目標なんてね、こういうところで自然発生するものなのよ!」
その瞬間、隅にいたフードの人物が立ち上がり、近づいてきた。
「お前たち、世界を救う旅に興味はないか?」と、声を低くして言う。
フィンは顔を覆い、「はい来たー!完全にテンプレ展開!次は『勇者の血筋』とか『選ばれし者』とか言うんだろ?」とぼやいた。
しかし、ローザリンドは大喜びで叫ぶ。「世界を救うだなんて、いいじゃない!その話、詳しく教えてちょうだい!」
「…ちょっと待て。お嬢様、そもそもあんた、貴族令嬢が家出して自由を楽しむって設定だったよな?なんでいきなり世界規模の話に首を突っ込むんだ?」フィンが冷静に指摘する。
「大丈夫よ!どうせ脚本の都合で世界の危機が私たちを追ってくるんだから、早めに乗っかっておくのが得策よ!」とローザリンドはしたり顔で答える。
フードの人物から話を聞くと、どうやら世界は「深紅の魔王」という存在によって支配されようとしているらしい。そしてその魔王を倒すためには、古代遺跡に眠る伝説の剣を手に入れる必要があるとのこと。
「ねえねえ、この展開、まるでゲームのチュートリアルみたいじゃない?」ローザリンドが興奮気味に言うと、フィンは呆れ顔で肩をすくめた。
「どうせ伝説の剣が実は偽物とか、途中で裏切り者が出てくるんだろ?俺、もう展開が全部見える気がする。」
「フィン、そんなこと言わないで。王道を楽しむのが冒険者のマナーよ!」
「いや、そもそも俺たちが冒険者だって設定、いつ確定したんだよ?」
フードの人物が怪訝そうに二人を見つめ、「さっきから何を話しているんだ?話をちゃんと聞け!」と声を荒げた。
ローザリンドは手を上げて「分かってますって。でも私たち、冒険者のギルドに登録するべきじゃないかしら?基本でしょ?」
「それは確かに…まあ、常識的だな。」フィンは小さくため息をついた。
最終的に、二人は「深紅の魔王を倒す」という大きな目標を掲げることになった。しかし、フィンは最後まで納得がいっていない様子でつぶやいた。
「おいおい、こんな安易に目標を設定して、大丈夫なのか?」
ローザリンドは楽しげに笑いながら答える。「大丈夫よ、最初の目標なんて途中で変わるのが定番なんだから!」
「…本当にこのお嬢様、大物だな。」フィンは呆れながらも、ローザリンドについて行くしかなかった。