テラーノベル
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私立高校に通う高校2年生、らんは毎日を明るく、無邪気に生きていた。笑顔が多くて、誰にでも気さく。けれど本音を見せることは少なく、時折ふとした瞬間、寂しそうに遠くを見つめることがあった。
そんならんに、目をつけていた男がいた。
――いるま。
闇社会で名を馳せる若きマフィア。冷酷無比、けれど仕事には一切の妥協を許さず、仲間にも恐れられる存在。
だが、ある時ふと目にした少年――らんに、彼は強く惹かれた。
見ているだけじゃ、足りなかった。
⸻
それは雨上がりの放課後だった。
帰り道の交差点を渡ろうとした瞬間、背後から強く腕を引かれ、口元を覆われた。
🎼🌸「っ……!」
反射的に抵抗しようとするが、体は重く、視界はすぐに真っ暗になった。
⸻
目が覚めたのは、広い部屋のベッドの上。
重厚なソファと棚に囲まれ、窓には鉄格子がついている。
🎼🌸「……なにこれ、どこ……」
頭がふらふらして立ち上がれない。
ドアの方から、足音が響く。
がちゃり、と音を立ててドアが開き、黒いコートの男が入ってきた。
🎼📢「起きた?」
その声は低くて、落ち着いていて、そしてどこか冷たい。
🎼🌸「……だれ?」
🎼📢「……俺はいるま。お前をさらったやつ」
あまりにもあっさりと言われて、らんは言葉を失う。
🎼🌸「は? 誘拐……って、え、ほんとに?」
🎼📢「冗談でこんな手間かけねぇよ。……お前に会いたくて、俺が直接連れてきた」
🎼🌸「意味わかんない……なんで、俺?」
🎼📢「理由なんてなくていい。気になったから。放っとけなかった」
男はソファに座り、煙草に火をつけた。ゆっくりと紫煙を吐きながら、じっとらんを見つめる。
🎼📢「ずっと見てたよ。学校帰り、コンビニの前、本屋……笑ってる顔も、黙って空見てる顔も」
🎼🌸「っ……!」
ぞっとする。何も知らずに過ごしていた時間の中で、この男は、ずっと自分を“見ていた”のだ。
🎼📢「安心しろ。痛いことはしねぇよ。……でも、逃がす気もねぇ」
⸻
その言葉に、背中をぞくりと悪寒が走る。
この男は本気だ。
――俺は、ここから出られない。
コメント
2件
檻の方とこっち1日交互であげるか一日にどっちもあげるかどっちがいい?