テラーノベル
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「玲那……もうきみを悲しませるようなことはしない、これからはずっと一緒だ」
そう言って私の手を握りしめてくる一颯くん。
「うん、ずーっと一緒にいようね!」
そして私たちは再び唇を重ね合った───……。
その日はお店を和くんが予約してくれていて、夜景の見える煌びやかなレストランで、三人でディナーを食べる予定だった。
店に着くとそこには和くんの姿があり、私を見るなり駆け寄ってきては私を抱きしめた。
「こら、くっつきすぎだぞ、和」
「一颯はもうたくさん玲那ちゃんと楽しめたんでしょー?なら今度は僕の番だよ!」
「まあな、それに…今夜はこれだけじゃないしな」
二人はコソコソとなにかを話しているようだったがよく聞き取ることが出来ず
聞きそびれてしまい、そのまま店内へと入り席に着く。
私は少し戸惑いながらも二人について行った。
二人が予約していたのは個室で、三人で食事をするには広すぎるくらいだった。
私が席につくと二人は私の隣に座りそれぞれ手を握ってくる。
まるで逃がさないとでも言うかのように……
食事が始まり暫くして和くんが口を開いた。
「あの……さ、玲那ちゃん、その……あーんしてくれない?ほら、恋人なんだし、普通でしょ? 」
いつも自信満々の和くんが珍しく遠慮がちに聞いてくる。
私は少し戸惑いながらもゆっくりと頷いて承諾する。
フォークでシフォンケーキの角を掬い、彼の口まで運ぶととても嬉しそうな表情をしてケーキを飲み込む。
「美味しい、はあ、今日は幸せだなぁ」
そんなやりとりをしている間にも一颯くんは、飼い主を取られて嫉妬する犬のように
私の腰に手を回してきて、体を引き寄せると耳元で囁いた。
「今夜はホテルをとってるから、存分に楽しもう、玲那」
ホテル、その言葉に子宮が疼くのを感じる。
彼は私を優しく抱き寄せながら私の耳を舐めたり甘噛みしたりしてくる。
人がいない個室だからって、やり放題。
その刺激に思わず体が跳ね上がりそうになるがそれを必死に抑えて我慢する。
そんな私を見て和くんはクスリと笑った後
「玲那ちゃん、耳弱いもんねぇ」と言ってさらに責め立てるように激しく舐めてきた。
一颯くんも負けじと首筋に舌を這わせてくるので私は堪らず甘い声を上げてしまった。
二人はそんな私を見て満足そうに微笑んだ後に「本当の楽しみはホテルに着いてから」と声を重ねた。
食事を終えて、私たちはレストランを後にすると予め予約していたホテルへと向かいチェックインを済ませる。
そのまま部屋へ向かう最中もずっと手を繋いでいた。
部屋に入ると、先に入ってきていいよっと和くんが言うので、先に失礼することに。
タオルを巻いてお風呂から出ると、既に上下裸の双子がそこに立っていた。
二人の美しい筋肉につい見惚れていると
「なぁに、見蕩れちゃった?」
「顔が赤いな、玲那」
なんて二人が言ってくるものだから、恥ずかしくなってしまって顔を手で隠す。
二人ともクスクスと笑っては「かわいい」と言いながら私に近づいてきたかと思うと
「じゃあ入ってくるから、寒かったらそこのホットココア飲みなね」と和くんが。
どうやら双子なので二人で入るらしい。
本当に仲良いなぁと思ってしまう。
恋人を共有するぐらいだし…まあそんなにおかしなことではないけど。
二人がお風呂に入ってる間、私はベッドサイドのテーブルに置いてあるドライヤーで髪を乾かし終えると、急に嚔が出た。
肌寒くて手首をクロスして両腕を擦る。
ふと、テーブルの上に置いてある凡庸性の高い白いコップから覗くホットココアが目に入る。
さっき和くんが言ってたやつかな?と思い、身震いしながらそれを手に取ると、すぐに口に含んだ。
甘くて暖かい飲み物は冷えた体に染み渡り、思わずほっと一息ついた。
それにしても、和くんと一颯くん、まだかな?とぼんやりと考えていると急に睡魔が襲ってくる。
寝たら、だめだけど、なにこれ…強い眠気が……。
無理、耐えれないし頭も痛くなってきた…なんで…
混沌とした意識の中で私はベッドに横になり、意識を手放した。
どれくらい時間が経ったのか分からない
ふと目を覚ますと知らないコンクリートの床に、周りには白い壁、シンプルなダブルベッドとローテーブルのみ。
動こうとすると、ジャラっと鎖が揺れる音がする。
自分の手足が拘束されていたのだ。
そしてもうひとつ確実に異常なことがあった。
白い壁を覆い隠すほど全面に私の写真が貼られていたことだ。
恋人や旦那と言えど、気味が悪い。
しかしそれよりも気味が悪いのは
左右の壁に全く同じ写真が全く同じ位置と角度で貼られているということ。
写真に気を取られていると、カツカツというこちらに近づいてくるような足音が聞こえ、その方向に目線を向けて身構えると、部屋の扉がキィィと音を立てて開かれた。
そうして私の前に姿を現したのは一颯くんと和くんだった。
二人は私を見上げて言う。
「玲那ちゃん、おはよう」
「玲那、おはよう」
二人は私に優しく微笑む。
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