鈍い痛みと鋭い痛みの混合技でふっと意識が浮上した。
全身が鉛みたいに重くて、冷たい。
俺は何をしてたんだっけ…
確か、シンデンの人に囲まれて、近海さんをなんとか逃して……
「いっ…てて……」
石造りの壁に頑丈な牢屋。
思ったよりちゃんと殴られたな…
牢屋の鉄格子を掴む。
ギギギッ……
飴細工のようにぐにゃりと曲がった鉄格子の隙間に体を通す。
こんなとこで無駄な時間を過ごすつもりはない……んだけと……
「また脱走者か!!」
「追え!捕えろ!!」
「…出口探してたんだけどなぁ」
敵の攻撃を避けつつ、的確に打撃を与える。
30秒もしないうちに敵は床に倒れた。
「よし、えっと…今来たのがこっち?」
大きな扉を開けて、中を進んでいく。
大聖堂ってカンジ…わ、まあたいるよ、らだおくん像。
「おい、そこで何をしている」
声が聞こえると同時にキーンとハウリング音が聞こえた。
…うるさっ、何これ、あたま…いた…
視界がぐわんぐわん揺れていて、立っていられない。
ズルズルと壁にもたれながら座り込む。
「だ、れ…」
俺の質問には答える事なくその場に立っている老人。
散々暴れ回ったせいか、集まってきたシンデンの人達。
俺が動けないことがわかったのか、好き勝手に痛めつけてくる。
立てない、手足が痺れ…感覚が麻痺する…
動けないと攻撃もできない…
今になって自分の無力さに涙が滲む。
みどりみたいに魔法が使えることも、
きょーさんみたいに光を操れることも、
レウみたいに炎を出すことも、
コンちゃんみたいに触手を動かすことも、
俺にはできない。
俺は馬鹿みたいに敵に突っ込むだけ。
殴る、蹴るしか能がない…
『ラダオクン 、スゴイ…!』
『らっだぁは敵に回したくないわ〜』
『らっだぁだけでも強いのにね』
『この数って…チートすぎるでしょ』
あれ、これいつの話だったっけ……?
昔…の話だった気がする……
戦争があって、ら民にも怪我人が多くて…
どうしようもなくなった時。
助けてくれたんだ。
普段はなかなか動きたがらないくせに。
森の中で自由にしてるだけのくせに。
平気で主人の俺に毒吐くくせに。
…今も、呼べば助けに来てくれるかな?
「たすけて」
呆れるくらい小さい声。
だけど、確かに返事が返ってきた。
それと同時に扉が勢いよく吹き飛ぶ。
「らーっ!!」
「らっだぁ!!」
「らっだぁ、待たせてごめんね!!」
「らっだぁさん!!」
らだおくん…レウ、コンちゃん、近海さん…
それに…なんで……
「よぉ、らっだぁ!!相変わらず情けないツラしてんなぁっ!!」
「やっほー」
「えぇ、らっだぁボコボコじゃん」
「はー?何してくれちゃってんの?」
「うける〜」
「マヌケー」
「何これ何これ」
「殺してもおけ?」
「大丈夫かー」
「らっだぁ返せー」
「ころーす」
「しねー」
「しばきまわーす」
「ミンチにしてやる」
「死刑死刑」
「打首打首」
「(ピー)」
最後の方、物騒すぎない?
って、そんなことより…
「なんで、みんな……?」
俺が呼べたのはらだおくん達だ。
なのに、限界も…ら民も集まってる…
みんな前世を覚えてた…?
でも、そんなこと…
「きょーさんとかみどりくんが派手にやってるのが見えてさぁー!!」
確かによく見ればみんな学生服だったり、部屋着だったり、どこかの店のロゴ入りエプロンだったり…
「あーあー!!明日からバイトクビだよこれぇ!!」
「俺なんか追試中だったんだぞー!!」
「家で映画みてくつろいでたのにー!!」
憂さ晴らしなのか、敵を一方的にボコボコにする姿は圧巻だった。
「きょーさんの眩しすぎて目玉焼けこげたかとおもったぁー!」
「みどりくん返り血まみれだったし!」
「ちゃんと2人とも保護しといた!」
「シンデンの入り口は他のら民が封鎖済み!」
ケラケラ笑いながら敵をあっという間に殲滅していく限界とら民達、いや…えぇ…
「…有能かよ」
俺の呟きに振り返ったみんなが、にぱっと笑って言った。
「らっだぁの仲間だからね!!」
どうもチェシャで御座います。
えと、完全に自分が好きな感じになっちゃったんですけどぉ…えへ?
完全にぶっとんでますね。
暴走列車すぎて…ちょっと自分の手にも負えないです。はい。
あと何話でまともにオチを入れられるかなぁ
それからひとつ〜
『両片思い』を一旦全部消します!!
もうなんかッ、最初に決めてたレールから脱線し過ぎててッッ!!!!
設定も新たに書き直そうかと……
そちらもどうぞお楽しみに!!
٩( ᐛ )وマタネー
コメント
2件
らっだぁをボロボロにするなんてそりゃ運営も限界もら民も怒るよね(笑、でもみんなちゃんと居たってことが分かって嬉しい!!両片思いも楽しみに待ってるね!