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フロントで伝票整理をしていたときだった。
華が手にしていた書類をうっかり床にばらまいてしまった。
「あっ……すみません!」
慌ててしゃがみ込む華の手より先に、律の指が数枚の書類をすっと拾い上げる。
「焦らないでください。こういうときほど落ち着いて」
顔を上げると、至近距離に律の横顔があった。
思わず息を呑み、動きが止まる。
律は気づいていないのか、淡々と書類を揃えて差し出した。
「ほら」
「……ありがとうございます」
受け取る手が少し震えていたことに、律は気づかなかった。