ゾムさんが居なくなった1年後
退屈な日々が続き、1年がとても長く感じた
今日もまた、あの日の様に雪が静かに降っていた
そんな時、呼び出しを受けた
書類を進めていた手を止め総統室に向かう
総統室に入る前にノックをする
中に入れば、総統と護衛がいた
ゾムさんときた時は補佐だったが、あれ以来はずっと護衛が張り付いている
総統「ショッピ、お前にスパイ容疑が掛かっている」
遂に来たか
ゾムさんと親しくしていたのだ、遅すぎたくらいだろう
スパイ容疑が掛かった者は問答無用で国外追放
いつ言われてもいいように、荷物は纏めていた
「分かりました」
それだけ言い、部屋を出ようとした
それから、今では1人となった自室に向かおうとした
止めたのは、総統
総統「待て、1人で行かれる訳にもいかない、この護衛と途中まで行け」
内心とても嫌だったが、渋々承諾した
スパイ容疑が掛かっていようが、ここが大切な場所であることに変わりない
途中、部屋に寄ろうとしたが、何をされるか分からないという事で、寄らせて貰えず何も持たない状態で国の外まで追いやられた
行く宛ても無く、雪道を進む
足音だけが木霊し、頭は冷静だった
ふと、彼の事を考える
貴方は、最初こそ普通だったが、段々と様子がおかしくなっていたのは気の所為では無いのだろう
様子がおかしくなり始めた辺りから、思い出していく
いつだったか
最後に貴方と目を合わせたのは
いつからだったか
貴方が俺のことを避けていたのは
元からだったか
貴方が俺を信頼してなかったのは
、、、教えてください
相棒と言ってくれたのは嘘だったんですか?
貴方は本当に敵だったんですか?
俺たちを裏切ったんですか?
寒い寒い冬の日
彼が裏切ったのもこれぐらいの寒さの時
何度、願ったろう
『あの時に戻れたら』と
、、、なんて、ありえないことを考えて
何故か俺は彼と同じ立場になっている
俺は、裏切った、、、
本当に?
だって、俺にそんな覚えは無い
寒さに足が悴んで感覚がない
あの日と同じくらいの寒さ
きっと彼処は暖かいんでしょう
本当に、暖かかった
戻らない日々を思い出す
思い出す日々の中に、必ず貴方はいる
体力も無く、世界が霞み始めた
あぁ、もう死ぬんかな
なんて、らしくないこと考えて
いよいよ、足も動かなくなってきて
その場に倒れ込んだ
不幸中の幸いか、地面は雪で覆われており、大したダメージにはならなかった
この世に思い残した事は無い、、、
いや、貴方だけが気がかりやな
遅く遅く進む時間の中で、そんなことを考えた
段々と、目の前が暗くなる
貴方に生きてて欲しいと願うのは、俺の願望
もし、神様がいるのなら教えて欲しい
「、、、彼は、生きていますか?」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!