テラーノベル
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珍しく連絡なしでやってきた阿部は、酔っていた。
雨が降っているのに、傘をどこかで失くしたとかで、ずぶ濡れだった。
へらへら笑っている阿部をバスルームに誘導した後、岩本は彼の荷物を確認した。財布とスマホはとりあえずあるようだった。失くしたのは傘だけか。
「ひかるぅ〜」
バスルームから出てきた阿部は、髪をしっとり濡らしたまま、岩本の背中に抱きついてきた。
「…誰と飲んだの?」
岩本は阿部に向き直り、そう尋ねる。阿部は少し考えて、めめ、と甘ったるい口調で答えた。それを聞いて、岩本の心は少しざわついた。
目黒は阿部といつも距離が近い。同じ近さでも向井や佐久間とは違う、甘い雰囲気を感じることがある。阿部への好意を隠さないところも、岩本が引っ掛かるところだった。
“阿部ちゃん、無事に帰れた?”
阿部のスマホの画面にLINEの通知が表示される。目黒からのLINEだった。
“またご飯行こうね、おやすみ”
なんて事の無い文面。
それでも、岩本の嫉妬心を煽るには十分だった。
「あ、めめ…」
スマホの通知に気づいて、阿部がスマホに手を伸ばす。
が、岩本はスマホを遠ざけ、その手首を掴むと、引き寄せ口付けた。
阿部は、戸惑うこともなく、自然にそれに応える。腕を岩本の首に回し、積極的に求めてきた。
しばらく深い口付けを繰り返して、一度唇を離す。
「どうしたの」
柔らかく微笑んで阿部が尋ねる。
“もう目黒と飲みに行かないで”
言いたかったが流石に言えず、岩本はただ阿部の腕を引いて寝室へ向かった。
無言のままベッドに押し倒し、その身体に覆い被さる。
阿部と目を合わせると、彼はクスッと笑った。
「…ひかるは、すぐヤキモチ妬くんだから」
「っ、うるさい」
嫉妬心を見破られて、岩本はぶっきらぼうに言って、阿部の唇を塞いだ。
唇、頬、耳、首筋…口付けながら、Tシャツの上から胸の突起を探り、爪で軽く引っ掻いてやる。阿部はくすぐったそうに身じろぎした。
しつこく弄っていると、次第に服の上からでも分かるくらいに勃ってくる。
「…ひかる」
阿部が布越しの刺激に、もどかしげに名前を呼んだ。岩本は、Tシャツの中に手を滑り込ませる。そして、ぴんと勃ち上がったそれを抓り上げた。
「んあっ」
びくんと阿部の身体が震え、その口から艶めかしい声が漏れる。
「んぅっ、は…ぅ」
強めに摘んで扱いてやると、逃れようとするかのように身をよじるが、甘い吐息がその刺激を求めていることを証明していた。
Tシャツを捲り上げる。
もう片方の突起物を口に含んだ。
舌で転がしつつ、吸い付く。
「ふぁ…っ、あ、ぃ、きもちぃ」
軽く歯を立てると、ビクビクと小さく体を痙攣させる。
最初の頃はくすぐったいと言うだけだったが、何度も弄られるうちに、そこは立派に性感帯として開発されていた。
「んっ…は、っぁ、や、い…ッ」
執拗に愛撫し続けると、阿部は岩本の肩を強く掴んで、腰を反らした。
「…乳首でメスイキ?」
揶揄うように聞いてみると、阿部は恥ずかしそうに腕で顔を隠す。
「…いいね、エロくて」
独占欲が湧き上がってきた。岩本は自身の服を脱ぎ捨てると、そのまま阿部の履いている物も脱がせる。
指で後孔を解しながら、 胸元、脇腹、腰骨辺り、臍の下、脚を抱えて内腿に強く吸い付いた。
シルシを付けたかった。自分のものだと、他人にも阿部本人にも分からせるために。
「…いい?お前は、俺のものだから」
内腿の鬱血した部分を撫でて、岩本は囁いた。
「わかった?…返事は?」
中に入れた指で前立腺を刺激する。
「ッあ、ん、わ、わかっ」
「ホントに分かった?」
善がる阿部に追い打ちをかけながら尋ねる。
「んっ、お、おれはッ、ひ、かる、だけの、ものだよ…っ」
快楽に意識を持っていかれそうになりながら、阿部は言った。
「…っ、ひかる、だけっ…!」
岩本の独占欲に塗れた愛情を感じ、気持ちが昂る。彼の”所有物”になるなら本望だった。
岩本はその言葉に満たされ、少し微笑む。
そして指を抜いて、阿部の腕を取った。身体を起こさせると、座った自分の上に跨らせた。
「あ…、俺が、上?」
「たまには良いでしょ。挿れていいよ」
戸惑う阿部にこともなげに言う。阿部は一瞬逡巡したが、岩本の自身を当てがうと、ゆっくりと腰を下ろした。
「ッ…ん、は…」
息を吐きながら挿れていき、途中で気付く。しっかり脚で支えていないと、自重でどんどん深いところまで来てしまうことに。
「ち、ちょっと、待って」
脚を震わせながら、浅いところで止まる。
「…もうちょっと奥いけるでしょ」
どうしたらいいか、戸惑っているような阿部に岩本は言うと、腰を掴んで引き下ろした。
「ひあっ!?」
一気に奥まで岩本が入ってきて、悲鳴にも似た声が漏れる。
「あっ、ま、待って、おくっ、来てるっ」
「奥気持ちいいんでしょ。動いて」
混乱する阿部に、岩本は言い放つ。けれども阿部はすぐに動き出せなかった。
「手伝う?」
岩本はしばらく待って、そう言うと、阿部を下から突き上げ出した。
「っ!?んあっ、やっ、ま…っ」
阿部の口から嬌声が溢れる。必死に踏ん張って、自分のペースを取り返そうとするが、脚に思うように力が入らない。
「あっ、ぅ、っく、は、きもち…っ、おく、いいっ」
それでも、次第に岩本のペースに合わせ、無意識に腰が動き出した。
「っ…ひかるっ、んっ、す…き」
甘い吐息と共に阿部は気持ちを吐露する。
「あ…べが、好きなのは、俺?それとも…っ、セックスが、好きなの?」
浅い呼吸をしながら岩本はそんなことを聞いた。
「どっち」
「ひ、かる…ひかるが…っ、すき、なのっ!」
絶頂の予感を感じながら、阿部は言葉を搾り出す。
「あ、と、ひかるとっ、する、セックス、…っが、す、きなのぉ」
「は…っ、おまえは、ホントにっ」
何でそんなに可愛いんだ、と胸の内で叫び、岩本はピッチをあげた。
「あっ、はや…っい、んんっ」
阿部がしがみついてくる。耳元に段々と早くなる呼吸が聞こえた。
「っ…くぅ、あ、イ…っく」
阿部が押し殺したような声で言う。そして自身から熱い体液を迸らせた。
岩本は、イったばかりの阿部をまだ突き上げながら、その唇を求める。
口付けを貪りながら、彼も程なく果てた。
体の奥に熱いものが注がれたのを感じ、阿部は軽い絶頂に似た感覚を覚える。
余韻を味わうように、しばらく2人は繋がったままでいた。
呼吸が整ってきた頃、阿部はゆっくり腰を上げ岩本から離れ、彼の隣に伏せた。
無言の時間が続く。
ただ、呼吸音だけが場を支配していた。
先に岩本が動き出し、いつものように阿部の身体を綺麗に整えてやり、彼の隣に仰向けて横になる。阿部はそんな岩本を見て、淡く微笑んだ。
「…ねえ、ひかる」
心地良い沈黙を破って、阿部が切り出した。
「ヤキモチ妬くのは良いけどさ、あんまり俺を見くびらないでよね」
頬杖をついて不敵な笑みを浮かべ、岩本を見る。
「俺は、もう10年以上、ひかるを好きでいるんだよ。そう簡単に、めめになびいたりしないよ」
「10年以上?」
驚いて岩本は聞き返す。
ずっと前から好きだった、と以前阿部は言ったが、そんなに前からだとは思わなかった。
「…俺が休んでた時、ひかるはよく来て、他愛のない話とかしてくれたでしょ。色々不安だったけど、楽しかったし救われた」
阿部は、岩本に微笑みかける。
「あの時、俺は、ひかるを好きになったんだよ」
そして、静かに告げた。
「…それから、ずっと?」
「そうだよ。ずっと。側にいられるなら、それで良いと思って、言わなかったけど」
岩本は阿部の方を向き、そっと彼の背に手を置いた。
「でも今、こうしていられるんだから、不思議だよね」
阿部は、しみじみと呟く。
「ひかる。俺のこと好きになってくれてありがとう。………愛してるよ」
優しい声音で囁かれ、岩本は照れくさそうに笑った。
「だから、他の人に目移りすることなんてないから、心配しないでって話なんだけど…まあ、ヤキモチ妬くひかるは、可愛いから良いけどね」
「可愛いって…」
「あと、なんか愛されてるな、って感じるから悪くない」
阿部は、はにかんだ笑みを浮かべる。
「…あぁ、愛してるよ」
岩本は阿部の頬に触れて、呟くように言った。阿部が身を乗り出すようにして、口付ける。
「ずっと、愛してるよ」
もう一度言う。
抱き合って、笑い合う。
「「愛してる」」
どちらからともなく言う。
ゆっくりとその言葉は、互いの心に染み込んでいった。
わをん
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M_Yuzu
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コメント
2件
私の好きな同級生組のエピソードでてきて歓喜✨💛💚
**美月ゆめか🌸の感想** うおおおお第14話「ハナタバ」読んだよぉ!!😭💕💕 今回めっちゃエモかった…!!岩本の嫉妬心から始まって、阿部ちゃんが「10年以上ずっと好きだった」って告白するところで完全に持ってかれたよ…!!ずっと隠してた気持ちを今こうして伝え合える関係、尊すぎるでしょ😭💖 最後の「「愛してる」」が重なるシーン、何回も読み返したくなるエモさだったよ!!2人の愛がじわじわ染み込んでいく感じがたまらんかった〜🥺✨ にゅうひん☆さん、最高のエピソードありがとうございます!!次の話も楽しみにしてます🔥