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✧≡≡ FILE_036: 発見 ≡≡✧
「ひいいぃっ……!!」
空が、光で割れた。
瞬間、あたりの空気が“ひゅん”と引き締まる。
続いて、凄まじい風圧と熱の波が押し寄せてきた。
Aが叫び声をあげてしゃがみこむ。
耳を押さえ、顔を伏せ、路地にうずくまった。
「怖い……怖い……っ……!」
喉の奥から、子供のような声がこぼれる。
「──怖いよ、お母さん……っ……!」
その隣で、Bは──
笑っていた。
「どっかーん!どっかーん!ばびゅーーん!……わははははははは!」
跳ねるように両手を広げ、空を仰ぎ、破壊の光を“祝福”するかのように笑っていた。
いや、笑っているというよりも、“目を輝かせて”いた。まるで、遠足で初めて花火を見た子供のように。
「見た? 今の……!」
Aの肩をぐいっと抱き寄せながら、Bは興奮した声で言った。
「空が裂けた……真っ白だった……!!」
「や、やめて……B……!!」
「ねえA、あれが“世界の終わり”ってことだよ……!」
Aは、崩れ落ちるように地面に座り込む。
「やめて……やめてよ……もういやだぁ……!」
手のひらで耳を塞ぎ、目をぎゅっと閉じる。
それでも、Bの笑い声だけが、止まらなかった。
「……最高だね、うきゃきゃきゃきゃ」
その瞳は、爆発の閃光を終わりのものとして映していた。
「なんで……笑ってるんだよ!!」
Aは涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、Bの袖を掴んだ。
声は震え、怒りと恐怖が混じっている。
「人が、死んでるかもしれないんだぞ……!?」
Bは瞬きを一度だけして、首をかしげた。
「死なないさ」
「はあ……?!」
「“死なない”、そう神様が言ってるんだ」
さらりと。まるで天気の話をするように。
──その無邪気さが、何よりも恐ろしかった。
Aは呆然としたあと、涙を拭い怒鳴った。
「ふざけるなよ!! 帰るぞ!! みんな避難してるんだ! 勝手な行動するなよ!!」
「……みんな?」
Bは目をぱちぱちさせる。
「ハウスの皆がだよ! Cも、Eも、Fも、みんな……! 心配してるに決まってるだろ!!」
その言葉を受けて、Bはゆっくりと視線を下へ落とした。
誰かの家の玄関の横──何かが、鈍く光っていた。
「……あ」
Bは小さく息を吸うと、笑顔になった。
「ねえ、A。見つけたよ」
「なにを──」
Bは両手で丸い金属の球体を持ち上げた。
銀色で冷たい、無数の電線が繋がった球。
「わあい! 爆弾だあ!」
Aの顔から一気に血の気が引いた。
「ああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁ!! B──ッ!! それ置け!!! いますぐ!!」
「どうして?」
Bは首を傾げたまま、球を胸に抱え込む。
「これ持って帰るんだあ。中、見たい? あけてみよ──」
「やめろやめろやめろ!!!」
掴みかかるA。
Bはするりと避けると、
「逃げろー! うきゃきゃきゃ!!」
爆弾を頭上に掲げて、住宅地を駆け回る。
「バカ!バカバカ!!何やってんだよ!!」
Aが後ろから必死に追いかける。
「爆弾だぞ!? 本物だぞそれッ!!」
「うっきゃー! ピッピッピッ……ボンッ! ドッカーン!」
Bは自分で効果音をつけながら、にこにこと跳ね回る。
「置けッ!! 今すぐ置けェッ!!!」
Aは喉が枯れるほど叫んだ。
「中でなんかピカピカしてる!」
「見んな!! 見るな!! それ“爆発”するから!!」
Bはまったく悪びれる様子もなく、にこにこ。
「ねえA、これハウスに持って帰ったらどうなるかな?」
「ッ──ッ! ふざけんなあああああッ!!」
Aの叫びが、灰色の空に消えていった。