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「志強、ごめんね僕は果物を買いに来ただけなんだ。其処を通してくれる?」
「…嗚呼」
下を向き落ち込んでる志強を横目に僕はお構い無しに果物を手に取り、町を出た。
言いたいことがハッキリ言えたことに僕は酷く遥々しく思えた。師範に褒めて貰いたいけれど、こんなちっぽけな事に対して褒めるなんて事はないと気付き少し悲しくなった。
「気分あげてこ!」と叫び僕は背伸びをした。
「やけに遅い。町へ買いに行かせるんじゃなかった。帰ってこなかったら帰ってこなかったらだ。気にしない」
時刻は午後を回っていた。夜飯の支度をしていると鍵がガチャガチャと鳴らされた
「若君_?」
家に入る前は必ず申し出てからと教えてきた。急いでいるように感じられた。これを気に仕方なく名前を呼ぶことにした。毎日呼んで欲しそうにしていたから、期待に応えようと思った。
「………趙宇軒 今鍵空けるから少し待ちなさい。そんなに急いで何が__」
「師範!果物を買ってきました!」
家に入る前に僕は報告した。いつもは「其処に置いときなさい」か「入れ」という声掛けがあるが何故か今日は静かだった
(師範の言葉がないと動けない…)
僕は「師範?」と呼んだが返事がなかった。鍵は掛かっていないみたいできっちりしている師範には珍しいなと酷く思った
「いや、壊れている…?」
師範が壊したのか?と思ったが自分の家にそんな事をするのか?と疑問に思った
「師範入りますよ_」
扉を開けた時、其処は血だらけで地面は赤く染まっていた
「師範__?」
胸に深く刺さった剣が目に酷く焼き付いた。その剣が見知らぬ人の物ならどれだけ良かった物か…剣の持ち主は趙家の物だった。こんな時どうしたら良いのか教わらなかったから酷く困った
僕がもし、御曹司じゃなかったらすぐ対応できたのかもしれない。酷く自分を憎んだ
「……阿軒」
「志強…?何故、君が此処に… 」
志強の手やら服やらは血で真っ赤になっていた。志強が殺ったのか?と問い詰めたが志強は黙ったままだった
「違うんだ、違うんだ、阿軒、俺はただどんな師匠か見たくて、」
「手を下す理由があったのか、?」
「阿軒の師匠が阿軒のことを悪くいうから、」
「師範はそんな事はしない」
僕がそう言うと志強は胸ぐらを掴んで泣き目で訴えてきた
「阿軒、お前の師匠はお前の事を殺そうとしている」
「そんな筈はない。」
「本当だよ阿軒! 」
「其がもし本当だとしても、師範が言わない事を信じる事は出来ない」
「何でだよ…」
「俺の阿軒を返せ!お前、二年も阿軒を此処に閉じ込めて何がしたいんだ」
「強くなりたいと言ったのは向こうだ。強くなるには其なりの時間が必要だ」
「俺の阿軒を、 」
「お前の若君か?其なら若君について語ってみろ。二年しか会っていない私でも若君の事をよく知っている。」
「貴様には分からない事を私は知っている。お前よりも私は若君を愛していると誓える。」
「特別にお前の名を覚えてやろう。お前の名は何という」
「志強…阿軒の親友だ! 」
「私の名は廖九涵。阿軒と言うやらの師範だ。 肝に銘じて忘れぬよう。」