この作品はいかがでしたか?
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前回で中印さんが人格破綻してしまいましたので、こうなったら彼らには開き直ってもう行く所まで行って貰おうかと思います。
どうか、嫌いにならないであげてください(他人事)
以上、なんでもよろしい方のみどーぞ。
「さて…」
日帝は、無線が切れたのを確認すると
韓国の口元に手をあてた。
彼は、浅く早い呼吸を何度も繰り返しており顔色は血の気が失せ蒼白くなっていて、唇も薄紫色に染まっている。
「私の声、聞こえているか。」
「聞こえているなら、話さなくていいから何か反応を示せ。」
韓国の閉じていた目が薄く開いた。
どうやら、かろうじてまだ意識はあるようだ。
だが、それも束の間のことですぐに目を閉じてしまう。
いつ意識不明に陥ってもおかしくない状態だった。
「おい、目を閉じるな。ここで意識を失ったらお前死ぬぞ」
韓国が目を閉じそうになる度に
軽く頬を叩き、遠のいている意識を
なんとかこちら側に繋ぎ止めた。
もしかしたら、ショック状態に陥ってるかもしれない。
そう考えた日帝は、まず呼吸をしやすくするために、包丁が刺さっている方とは逆側を下にして横向きに体勢を変え気道の確保を行った。
本当は、仰向けにした方が良いのだろうが
腰に刺さったままの包丁の柄がそれを阻む。
「寒いのか」
韓国の頭が小さく動いた気がした。
事実、触れた彼の身体は長時間雨に打たれ続けた時のように冷たくなってしまっており、またカタカタと小刻みに震えている。
血液が身体の隅々まで、十分に行き届かないことで、体温もどんどん下がってしまっているのだろう。
何か保温に使えそうな物は無いかと辺りを見回すが、ここは寂れた公園で遊具以外の物等ある筈も無い。
「気休め程度にしかならないが無いよりはマシか…。」
日帝は、自身を見下ろしながらため息を吐くと共にそう呟いた。
今日、卸したてのオーダーメイドスーツだったと言うのに。
仕方なさそうに自分が着ていたスーツを脱ぐと、これ以上体温が奪われてしまわない様に韓国の上半身にかけた。
「私が出来る限りの応急処置は行ったが…これ以上は、何もしてやれないな」
「フィンランドが来るのを待つしかない」
医学の知識に疎い自分が下手に手を出せば
取り返しのつかないことになり兼ねない。
日帝は、韓国に声をかけつつ胸ポケットから携帯端末を取り出すとパラオへあるメッセージを送った。
待つこと数分。
遠くから、聞き慣れたエンジン音が徐々に近付いてくる。
「日帝!」
車のドアを閉める音と同時に聞こえた自身を呼ぶ声に日帝は、端末を弄っていた手を止め顔を上げると公園の入口に目を向けた。
視線の先には、白のレクサスが止まっている。そして、大きめのメディカルバッグを所持したフィンランドが、急ぎ足に日帝の元に駆け寄って来るところだった。
「フィンラン「日帝、無事か!?何処か大怪我でもしたのか!?」…ド」
フィンランドが、走って来た勢いを殺すことなくそのまま日帝の肩を鷲掴みにして、前後に激しくガクガクと揺さぶる。
「おい…フィンランド。やめろ、揺らすな」
「私は、大怪我などしていない。」
受け応えも出来ているし、そもそも無線でフィンランド達に指示を下したのは自分だし、今だってしっかりと1人で立っているというのに。
来て早々、なにをとち狂ったことを言い始めたんだこいつはと思わずには居られなかった。
「日帝…そんな…!いつにも増して、目のハイライトが消えてしまって…!!」
「失礼だな、こいつ。」
「誰が、普段から死んだ魚の目のような目をした廃人だ」
「俺、そこまで言ってないけど!自覚あるみたいで何よりだ!!」
「くそっ…待ってろ日帝…!絶対、お前の仇取ってやるから!!」
「勝手に殺すな、私は無傷だと言ってるだろ!?」
「というか人の話を聞け、この飲んだくれ野郎!時は一刻を争うと言っただろうが!」
絶対に聞こえているだろうに、しょうもない茶番劇を繰り広げ始めたフィンランド。
そんなフィンランドに、業を煮やした日帝は
声を荒らげ、彼の頭を盛大にひっぱたこうとた…が
フィンランドは、それを頭を下げて難無く避けると、何事もなかったように韓国の傍にしゃがみこんでかけてあるスーツの裾を捲った。
「そんなこと言ったってしょうがないじゃん?
流石の俺でも、整った設備が無いとこれは無理だ。助けられない。」
「見た感じ、大分奥深くまで包丁が突き刺さってる。
挙句、傷口周辺の肉が盛り上がってるのを見ると、その上から抑えつけられて抉られでもしたんだろ。
もしかしたら、付近の臓器や太い血管を傷付けている可能性がある。」
フィンランドは、先程の軽口を叩いて時には考えられない程の無表情で
「包丁が蓋の役割を果たしているから、今は大量出血を免れてるけど。」
「その包丁抜いた瞬間そいつ死ぬよ。」
とはっきりと告げた。
韓国に、致命傷とも言えるであろう
大きな深手を負わせた包丁が
今は、彼が生きる為の最後の命綱となっているとは。
なんとまぁ皮肉な事だろうか。
「そいつには、聞きたいことがあるんだ。
今死なれては困る。」
「って、言われてもねぇ…」
「なんだ?今日は、随分弱気じゃないか。」
「お前なら、この現状をどうにか出来ると思って呼んだのだが…すまないな。
どうやら私の見込違いだったようだ。」
日帝の淡々とした、そして己に対する失望を滲ませた言葉に、フィンランドの片眉がぴくりと上がった。
「誰も、出来ないとは言ってないだろ?
“今は”、設備が不十分だから出来ないと言っただけだし。」
「流石だな、お前ならそう言ってくれると思っていた。」
「本当に、あんたは昔から俺をその気にさせるのが得意だね?」
「お前を、信頼していたからこその言葉だったんだが?」
「過去形やめてくれない?」
「それに、そこまで期待されていたのならそのご期待にお答えしないとね?
枢軸専属医師としての名折れだ」
「そう来なくてはな。パラオと台湾に、今西側の本拠地を調べて送るように伝えてある。」
「場所がわかり次第すぐに向かうぞ」
日本を連れ去り、その場を後にした中国達は細い路地裏を何度も右折や左折を繰り返していた。
日本は、車に乗せられた時から
俯いたまま顔を上げようとしない。
韓国の件が、余りにもショックが強すぎたのかそれとも、これから自分に身に起こるであろう最悪の事態を想像して恐怖に怯えているのか。
もしくは両方か。
時々肩が揺れているので、泣きそうになるのを必死に堪えているのだろう。
「…さっきからウザったいな。」
日本の肩が、一際大きくビクッと震えた。
中国が、サイドミラーを横目で見ながら
イラつきを隠す様子も無く
ハンドルを人差し指で叩いている。
日本の事を言ったのかと思ったが
どうやら違うらしい。
後ろを確認すれば、確かに数m離れた先をハーレーが走っている。
それは一定のスピードと距離を保ち、セダンが角を曲がる度にそのハーレーも後に続いて来た。
「つけられてるな」
助手席で、パソコンを弄っていたインドが言った。
「西側?連れ去ったの、もう勘づかれたかな」
「いや、あいつらじゃない。」
「時間が来たらダウンするように、アイツらのサーバーに事前にウイルス仕込んでおいた。
まだ、復旧していないはずだ。」
「ということは、他の組織の奴らか。
西側以外で、俺達に喧嘩売れる程の影響力がある組織と言ったら」
今まで、2人の話を黙って話を聞いているだけだったロシアが吐き捨てた。
「あいつらしか居ないだろうな…ここら一帯を治める三大勢力の一つ」
「プロイセン率いる悪の枢軸」
椅子にふんぞり返り、頬ずえを付いてニヒルに笑うプロイセンが頭の中を過ぎり、ロシアの顔が更に忌々しそうに歪む。
「なんで、アイツらがでしゃばって来るのか知らないけど…。
このまま、着いてこられるのも面倒だ。」
目の前の信号が、赤から青に変わったのを見て、中国は右手で車のギアを限界まで引き上げた。
「お前ら、下手に口開くなよ?
じゃないと…舌噛むぞ」
言うな否や、中国はアクセルペダルを全力で踏み込んだ。
セダンが獣のような咆哮を上げ
それが、立ち並ぶ高層マンションの狭間に反響して辺りに轟いた。
裏路地から、まるで銃の弾丸の様に急発進してメイン通りに躍り出て、右にハンドルを切る。
そのまま、真っ直ぐ進み
ぐんぐんとスピードを上げていく。
曲がる時の激しい摩擦が
アスファルトを黒く切り付けた。
急発進したことにより、シートからずり落ちて前の座席の衝突しそうになった日本を、ロシアが二の腕を掴んで抱き寄せ己の膝に乗せた。
腕は、腰に回して落ちないように固定する。
「台湾!まぁ、わかりきっては居たけどあいつらに気づかれた!」
『だろうね?タイ、頑張って後を追って。
死ぬのだけはやめてね、日帝が悲しむから。
知らないけど。』
「少しは、僕の心配もしろよ!!」
『見失ったら、ルート教えてあげるから言ってね。バイバイ』
タイの報告を聞いたにも関わらず
台湾は、一方的に会話を打ち切ると
無慈悲にもそのまま無線を切ってしまった。
「台湾!台湾!?」
「台湾!?まじで、僕放置する気!?」
タイが、何度か彼に呼びかけるが応じる気は無いようだ。
無線の先では、沈黙が続くだけだった。
「もー!あいつ、日帝以外には対応が塩なんだからっ!!」
台湾の己に対する、ぞんざいな扱いに憤慨しつつタイはバイクのスロットルを限界まで捻って後を追う。
こんなところで時間を食っていたら
それこそ、目標を見失ってしまう。
2匹の咆哮が、賑わう夜の街の空気をビリビリと震わせた。
待ち行く人々の髪が、彼らが通り過ぎた時の風に煽られ様々な方向に靡いている。
あまりの速さに、立ち並ぶ店のショーウィンドウがヒビ割れてしまうのではと心配に思う程だった。
帰宅ラッシュで混み合うメイン通り。
車の合間を、上手くすり抜けながら戸惑うこと無く前へ前へと突き進む。
次々に車が行き交う交差点の
赤信号を無視して直進すれば
至る所からクラクションとタイヤを擦る音が鳴り響いた。
爆走し続ける2台は、等々メイン通りを抜けると大きな鉄橋に差し掛かった。
「しっつこいなぁ!何時まで追いかけて来るつもりだよ!!」
「中国」
「何、インド」
「撃て」
「ここで俺が銃を構えた場合、この場にいる奴ら全員で心中することになるけど。」
「その覚悟が、お前にあるのか?」
「死ぬならお前一人だけ死ね」
「ふっざけんなよ!
てめぇらも道連れだっつーの!!」
インドは、パソコンを閉じて前を見た。
「俺、銃はあんまり好きじゃないんだけど…」
次いで、自身の胸に視線を落とすと心底嫌そうに眉間に皺を寄せ低く唸った。
「やる事やったししょうがねぇな」
「中国、前のトラックの隣に車付けろ」
「偉そうに指図すんなよ」
中国達の目の前には、丸太をこれでもかとギリギリまで詰め込んだトラックが走っている。
文句を返しつつ中国は、インドの言うことに従ってトラックの隣に車を付けた。
インドは懐から銃を取り出すと、窓を開け真っ直ぐに腕を構え、タイヤに照準を合わせた。
インドの指がトリガーに手をかけ引き金を弾いた。
銃から鉄の塊が飛び出し、それがトラックのタイヤに当たり破裂音が響き渡った。
先程まで、普通に走行していたトラックが今では左に右にと蛇のようにうねうねと蛇行運転を繰り返す。
どうやら、制御が効かないようだ。
タイヤが片方潰れているのだから、それも当たり前のことだろう。
トラックは、そのまま中央分離帯に衝突して数m車体を擦り付けながら走行していたが、等々道路を遮断する様に横転した。
後ろで、万が一に備えて距離をとっていたタイもその場に一旦停止したが、横転したトラックの左右に少しの隙間があるのを確認できた。
普通の車なら通れないだろう隙間であるが
ハーレーなら、横を通り抜けられるだろうと踏んでアクセルを握り直す。
不意に嗅ぎ慣れた不愉快な臭いが
辺りに漂い始めタイの鼻を強く刺激した。
「この臭い…まさか…!!」
タイの目の前で、横転したトラックから赤い火柱が猛烈な勢いで立ち上り、それは一瞬でトラックを火の海へと変貌させた。
トラックの運転手を、助け出そうと試みる人達が周りに集まっているが、荷台に積んであった丸太が発火剤となり炎の勢いは増すばかり。
もう、遠くから眺めてる事しか出来ず手の施しようがなかった。
散らばる火の粉が風にのって
タイのところにまで運ばれ
熱を伝えて来る。
それが、炎の威力の凄まじさを物語っていた。
「日帝、台湾…ごめん、これ以上は無理だ。」
『日帝、ごめん。こっちも監視カメラを逆にハッキングされたみたい。
画面真っ暗になっちゃった。』
『気にしなくていい。2人ともよくやってくれた。
とりあえずタイ、それ以上は危険だから無理に追尾しなくていい。
一旦、私のところに戻って来い。』
「分かった、すぐ戻るよ」
「ようこそ、日本。東側諸国へ」
「俺達は、お前を歓迎する」
等々一般人も巻き込まれていくぅ
中露印にカーチェイスさせたかった。
日帝さんは、普通に推しなのと私の推しカプが中露印×日なのでどうしても彼ら優遇しちゃうんですよ、アメ日とはこれ如何に。
まぁ、アメリカさんいつか活躍するでしょ、知らんけど。
ここまでお読み頂きありがとうございました!
今から飛行機乗るのでお返事遅くなります✈️
コメント
21件
めちゃめちゃ好きです😭😭あああああ
めっちゃ続き気になるんだけど?!