ママやパパ、地底の世界にすむモンスターは、全てのモンスターとは言わないけれど、ほとんどがキャラを受け入れてくれた。
そしてキャラは僕の家で暮らすことになった。
僕とキャラは一緒に過ごす中で、家族といってもいいほどの仲になった。
僕に初めてできたニンゲンの友達。
それがキャラだった。
そうして何日かたった時の事だった。
僕はキャラと、僕達が出会ったあの花畑に行った。
最初は何気なく花を家に持って帰るために集めたり、花かんむりを作ったりして遊んでいた。
キャラはとても楽しそうで、そんなキャラの顔を見て僕もいつもより楽しかったし、嬉しかった。
遊び疲れて花畑に寝っ転がった僕は、キャラにずっと気になっていたことを打ち明けた。
「ねぇキャラ。」
「なんでキャラは、地底に落ちてきたの?」
「ただの不注意…?」
キャラは、その事に関して絶対話そうとしなかった。
僕と話す時だって、絶対地上の話をしなかった。
今僕が聞いた時だって、キャラの目から光が消えた気がした。
複雑な顔をするキャラに僕はこう続けた。
「だって、ここに落ちてくるには…」
「イビト山に登らなくちゃいけないんでしょ?」
地上で有名なイビト山。その山に入ったものは二度と帰ってこないと言われているということは、モンスターの僕でも知っていた。
だからこそ、なぜそんな山に登ったのか気になっていた。
「別にいいたくなかったらいいんだけど…」
キャラは花を力強く握りしめながら
「私が山に登った理由は、あまり良い物じゃなかったから…」
と言い、僕の顔を見つめた。
「ごめん!こんなこと聞いて!」
「全然。ところでアズ…」
「アズはニンゲンが好きか?」
なんで突然そんなこと聞いてくるのかよく分からなかったけど…。僕は確かにニンゲンの歴史とか、人種には凄く興味があったし…。
「はは、キャラは好きだけど、他のニンゲンは会ったことないしなぁ…」
「でも会ってみたい!凄く優しいんでしょ?」
そう言う僕にキャラは
「そうだと良いな…」
と残して、集めた花を抱きかかえながら立ち上がった。
「じゃあ帰ろ!キャラ!」
「うん。」
このとき、キャラが全てを諦めたような顔をしていたことに気づけていたら、
何か違ったのだろうか。