テラーノベル
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月呼は目を覚ますと、いちばんに侑加と目が合った。彼は先に起きていたようだ。
「やだ。私の寝顔、ずっと見ていたの?」
月呼は敷き布団を額まで被る。侑加はいつから自分の寝ている姿を見ていたのだろう。まぬけな顔をしていたに違いない。恥ずかしさで眠気も飛ぶ。
「おはよう」
侑加は月呼の前髪を手であげ、額にキスをした。唇ではないので、この日の規則を守るキスとしてカウントされない。侑加自身の気持ちのあらわれだからこそ、月呼の心を逆によろこばせた。ふたりはルールだからキスをする、という関係でなくなっていた。
月呼と侑加は洗面台で顔や歯をきれいにした後、ソファに座る。侑加は毛布にくるまり、背後から月呼を抱きしめた。ふたりはその体勢のまま、朝食の時間までまったりと過ごすことにする。
侑加は後ろから何度も月呼の頬にキスをした。
「人肌が恋しいの意味がわかった?」
月呼は聞いた。
「うん」
「侑加くんは私のぬくもりが恋しい?」
「うん」
「侑加くんってば、適当に『うん』って言っていない?」
「本心だよ」
侑加はそれを証明してみせるように、抱きしめる腕の力を強くする。恋をすると、自分が相手にちょっと意地悪でわがままな女になるとは、月呼は思いもしなかった。
「このゲームの期間はテレビやインターネットの利用が制限されていてよかった。そうだったら、侑加くんに自分のことを見てもらえていなかったよ」
月呼は言う(制限されているのはテレビ番組や動画を見てばかりだと恋が芽生えず、レムリア・ゲームが破綻すると考えてのことだと、月呼はルールブックを読んだ時に想像していた)。
「自由に利用できていたとしても、俺はそっちのけで前沙さんのそばにいたはずだよ」
侑加は月呼をよろこばせることばかりを口にする。ふたりはお互いの手を絡めた。
時刻は七時四十分になろうとしている。そろそろ部屋を出て、ダイニングルームに行くべきだろう。月呼は立ち上がるのがめんどうくさくもなっていた。
「前沙さんとずっとこうしていたい。俺、朝食は別にいらないんだけれどな」
侑加も同じ気持ちとなっている。朝食の時間を守らなかったら一緒にいられなくなるかも、の思いでふたりは重い腰をあげた。
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コメント
1件
第29話、読了しました…🌙🤍 朝のまったりした空気感、すごくよかったです。ルールのキスじゃなくて、侑加くんの気持ちからのおでこキス、そこがもうたまらなくて…。月呼さんが照れて布団被るところとか、少女漫画みたいで胸がきゅんとなりました。 「人肌が恋しい」の意味がわかったっていう侑加くんの言葉、めちゃくちゃ響きました。 ルールの外で二人が本音で向き合ってるのが伝わってきて、すごくあたたかい気持ちになりました。 朝ごはん行きたくないって駄々こねる二人、尊すぎます🥀