テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
─堕とさないと出られない館に閉じ込められました─
注意喚起
・御本人様とは一切関係ありません
・BL(R18にはならないはず)
・zmさん総受け
・現mzybのメンバーのみ登場します
閲覧はあくまで自己責任でお願いします。
◇
「・・・ん・・・・・・」
鼻先に触れる、微かな気配。
身体が条件反射で反応して、まだ開かない目を薄くしかめた。
静かな朝、のはずなのに。なんか、気配が濃い。
「・・・・・・っ。」
目を開けた瞬間。
真上にいた誰かと、ばっちり目が合った。
「・・・・・・お、おはよ~。いや、今のはその、寝起きショットを撮ろうと────」
「・・・っ、待てやてめぇシャオロン!!」
跳ね起きて布団から飛び出す俺。
頭も起ききっていないのに、脳がやべえって全力で叫んでいる。
目の前には、カメラ片手にヘラヘラ笑ってる金髪のドラゴン(の化身)がいた。
「え~え~、惜しかったわ~。あと0.2秒で可愛い寝顔撮れたのに~」
「撮るなや!!」
「いや~ゾムくん、まじで無防備やん。せっかく同居してんのに、素材提供してこ?」
「お前がカメラ持って近づいてくるのがもう無防備ちゃうねんっ!」
叫びつつ、手元の枕を全力でぶん投げる。
けどシャオロンはピョンと身をかわして、「ひゃっほー」とか言いながら部屋の外へ消えていった。
朝からうるさい。
でも、こいつらと生活して一週間。もうこれが「いつもの」になってきたのが恐ろしい。
◇
リビングに向かうと、ふわっといい匂いがした。
「ゾム、朝食あとちょっとでできるで」
キッチンではトントンが、いつも通り静かにテキパキと動いている。
その横で俺は卵を焼きながら、焼き魚の焼き加減を確認した。
俺が料理担当、トントンは家事全般。
役割分担って感じやけど、なぜかこいつは「人間だから力仕事とか苦手で~」って言うわりに、家具の配置替えも一人で終わらせるし、床のきしみまで気にして掃除するレベルで神経質。
──────けど、妙に人との距離をとるとこがある。
同じ空間にいても、どっか空気が薄いというか。近づいても、心がそこにいない感じ。
「・・・トントンって、前に誰かと一緒に住んでたことあるん?」
「いや・・・・ない。人付き合い、得意ちゃうし」
フライパンの音に混じって、返ってきた声は少しだけ低かった。
その横顔は、あいかわらず穏やかで優しいのに、なんでか寂しそうに見える。
「ああいう大人数の共同生活って、俺には無理やと思ってたけど・・・・ゾムは、まあ。案外、大丈夫かもな」
「なんやそれ、褒めてんのか?バカにしてんのか?」
「ふふ、どっちもちゃうわ」
笑い合ったのに、やっぱり物理的な距離は縮まらない。
手が届く距離にいるのに、どこかに一枚、透明な壁がある感じがした。
「ごはんだよー!できたでー!起きてるかー!!」
食卓に料理を並べながら、わりとでかい声を響かせる。
と、リビングの端から聞こえてきたのは、気力ゼロの返事だった。
「朝とか終わってる・・・動きたくない・・・・・・」
ソファの上に溶けているのは、吸血鬼であるショッピ。
全身くしゃっとなって、頭からブランケットかぶったまま、ほとんどミイラみたいな姿勢でこっちを見ている。
「お前・・・・・血吸わなあかん種族ちゃうんか?こんなんでええん?」
「ええんすよ・・・眠いだけだし、なんかもう外とか眩しいし・・・いっそこのまま朽ちたい・・・・・・」
「ショッピくん、もっとパッションあるイメージやったんやけどな……」
「ぼく、ギャップ萌えしちゃうタイプなんで・・・」
「はーい、おはよ~。え?朝からみんな暗いよ~~?」
続いて現れたのは、例のカメラマン・・・シャオロン。
肩から猪らしき獲物を担ぎながら、相変わらず楽しそうに入ってきた。
この辺り一帯の森までは、館から出ても大丈夫なようだ。
「なあゾム、これ鍋にぶっ込んで良さそう?骨スープいけるんちゃう?」
「お前ほんまに狩って帰ってくるんやな・・・・・・」
「人間界でも生きてけるスキル持ってますんで!」
そんな彼の後ろから、ゆらっとした影がついてきた。
「あっ、エミさん・・・」
無言で立ってるその人、エーミールは、いつもフラフラしてる。
心ここに在らず、話しかけても反応が遅い。記憶喪失ってのは聞いてたけど、それ以上に「何もない」空気を纏ってる。
それが逆に不気味で、でも放っとけない。
「おはようございます。今日はよく晴れてますね」
「うん、せやな・・・晴れやな。」
そして最後。
ドアのすぐそばに、控えめに立ってるのが────
「えっ、みんなもう起きとるやん!やっべぇ遅刻〜」
シャオロンとはまた違ったタイプでチャラい彼、鬱先生は、「インキュバス」らしい。
大先生って呼ばれてるけど、どう見てもヘタレで尻軽なのに、何が凄いんだろう。
「大先生は何担当なん?役割的に」
「・・・・・・え?えっと・・・応援・・・・?」
「がんばれ~~」
「小学生の係やんけ」
◇
食卓を囲む。
吸血鬼、インキュバス、ドラゴン、キョンシー(多分)、家事おじさん、そして俺。
「────これ、ほんまに脱出できるんか・・・・・・?」
思わず漏れた俺の呟きに、箸を持ってた全員の動きが、わずかに止まった。
「堕とさなきゃ出られない、ってやつやな」
「誰かを堕とせば、出られる。でも堕とされても、出られるとは限らん」
シャオロンが卵焼きを口に含ませながら呟く。
ふわっと笑う大先生の言葉が逆に怖い。
少し堅くなった雰囲気を和らげるかのように、大先生が軽口をたたき始めた。
「じゃ、ゾムさん。誰狙ってく?」
「・・・せやなー、俺はもう、受け入れ体制できてるで?」
「えっ、ゾムくんってえっちなの!?」
「ちゃうわっ!!」
箸を叩きつけながら叫んだ俺に、全員が笑いながら盛り上がった。
─────ただ、その中にひとり。トントンだけが、静かに視線を落としている。
・・・・この館には、まだまだ知らんことが多すぎる。
でもとりあえず、今日はこうして喋ることから始めるしかない。
脱出の鍵も、「堕とす」って意味も、全部そのうちわかるやろ。
俺の(監禁)生活は、まだまだ始まったばかりだ。
◇
これ書いててだいぶ楽しい・・・
てかプロローグだけで♡1000超えたんですけど幻覚ですかね・・・??? 嬉しすぎます。
コメント
7件
くぅ〜!! 胸が、高まるぜ〜??? 最後やわ😭 うん、最高👍 続き楽しみ✨️(´。✪ω✪。 ` )
初 コメ 失礼 します … 🙇 これ め ~ ちゃくちゃ すき です … 💗 主 様 物語 書く の 上手すぎ では ない でしょう か … ? zm さん 達 が 、わいわい してて 、私 は にこにこ しながら 、 見させて 貰ってます … 👍 そして 、sha さん が きゃっきゃ してる の 、 本当 に それっぽくて いいな … って なりました 。( 続↓
shosho、写真を撮ってくれ、そして売ってくr((((