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しばらくして、栞は現役女子高生になった。入学式は小、中、とこなしてはいるためさほど緊張はしない。だが、入学式では義務教育が終わっていることを校長が強調した。尚且つ、テストのことや将来での進学、就職について長時間の説明があり重々しい空気の中、クラス分けが発表された。まだ、名前も顔も何も知らない人達が嘆いていたり、喜んでいる声を聞き仲良くなれたらいいなと思う栞。栞は、天野栞であるため出席番号は一番と書かれてあった。1ー2と書かれてあり、一番上の欄には担任の谷口朋美いう名前が太文字で強調されていた。名前の雰囲気的に女性であることは明白であった。美人かな、それとも真面目で誠実かな、という妄想に栞の思考は侵された。だが結局、栞は優しくて頼もしい先生を望むことに決めたのだった。

教室に入って、周りの空気を感じ取ると、がらがらと扉が開いた音がした。

髪がボブカットでスッキリとしたスーツ姿の先生が

「はーい、ここのクラスの担任を務めさせて貰う、たにぐちともみと申します。」

と、軽く自己紹介を終えた谷口はいきなり白紙のプリントが配られた。

「ここに全員、名前、誕生日、好きなコトやモノ、入りたい部活、先生への質問をテキトーに書いてください。皆さんのこと早く知りたいので⋯お願いします」

前の席から後ろの席に向かって紙が擦れる音と共に風の音でひらりと反る。栞は一番前の席だ。そのため、配られたプリントを後ろに回さなければならない。一番前の宿命は、横に受け流すときに列の人数分きっちりと回収することだ。これが地味に名目がかかっている。「せんせー一枚足りませーん」なんて、言われてしまっては栞のブランディングに傷がつく。

天野栞、十月二十七日、読書、イルミネーション、文芸部、好きな言葉は何ですか。私は、花鳥風月が好きです。と、書いて教卓の上に提出した。まだ、周りは書いているようだ。栞はこれからこのクラスで過ごすことに楽しみや不安やどきどきした面持ちで席に座っていた。緊張の糸がぴんと張りつつ、これからのことについて胸が高鳴る。そんな栞は廊下側の窓から人影を感じ、そちらの方に視線を向けると若々しい男性が顔を出していた。

しばらくして、全ての生徒からプリントを回収した谷口が廊下側の窓の方に手招きした。そこからは小柄で優しそうな男性がとことこと、教卓の後ろに立ち森本純誠と慣れた手つきで書き始めた。

「はい、このクラスの副担任を務めさせていただくことになった、もりもとじゅんせいだ。」

「森本先生だ。このクラスの言語文化を担当して下さる。私よりも遥かにベテランでこの学校について詳しいから気軽に頼ってね。」

栞はその誇らしそうに立っている男性がベテランには見えなかった。すると、クラスの元気そうな女子が

「森本せんせーって年齢いくつなのー?」

と、尋ねた。丁度、栞も知りたかったので黙って聞いていると、

「えぇ⋯今年で三十九だよ。」

と、森本ほ答えた。この見た目で三十九、とても三十路、四十路まじかの男性には見えなかった。

「えー?見えないっすよー!」

左隣にいる男子がその場を茶化し、場が和み森本は

「奥さんのために毎日スキンケアしてたりらバランスの良い食事を摂っているからかな。」

と、森本はサラッと既婚者であることを伝えてさらに教師中が盛り上がった。

谷口は、それを見て

「このクラスも楽しくなりそうだな。」

と、天井を見上げて腕を伸ばした。

栞も一安心し、谷口と森本に興味を抱いた。もっと、仲良くなりたい。もっと、面白いお話が聞きたい。栞はそんな幻想を抱きつつ、駐輪場に向かった。

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