TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

(おいおい、マジかよ……)


それは宮本と出逢った、数日後のことだった。某大手の企業の会長を支店に送り届ける最中に、その存在にすぐ気がついた。


運転するハイヤーの後ろに、ぴたりと張りついた大型トラック――見覚えのあるデコトラ仕様に、橋本の口元が自然と引きつった。


自分の運転するハイヤーに、偶然鉢合わせしたなんてことはあるだろうか?


ルームミラーに映る大型トラックの存在を感じたくなくても、鏡のようにキラキラしたバンパーやその他の装飾品のせいで、二割増しに気になってしょうがない。


ブレーキのたびに後方の安全確認をしていた橋本だったが、後ろにいる宮本の運転技術を信じて見ないようにした。


やがて目的地の支店に到着するので、左ウインカーを出して会社の前に車を横付けしたら、宮本が運転するデコトラはそのまま直進した後にハザードを出して、数メートル先に停車させる車体が目に留まった。


三車線道路の一部を占領する形で停めた行為に苛立ったが、それをひた隠しにして表情を作り込み、口元に笑みを浮かべたままハイヤーから降りて、後部座席のドアを開ける。


「会議が終わったら連絡する。橋本君よろしくな」

「承りました。行ってらっしゃいませ!」


頭を下げて会長を見送ってから、素早く車に乗り込んだ。シートベルトを締めることに、若干もどかしさを感じつつギアをドライブに入れて、急いでアクセルを踏み込み、後方からやって来る車の確認をしたのちに車線にスムーズに入った。


左側前方の車線を占領しているデコトラの横をしれっと通り過ぎると、宮本が運転するデコトラは盛大にエンジンをふかしながら右ウインカーを点滅させて、橋本が走行している車線に入り、他の車を挟んだ形でさっきと同じように後をつけた。


(ついて来るということは、あのときの礼をふたたび言うためか? とはいえ、ここの辺で大型車がOKな場所って、少ないんだよな……)


頭の中に地図を思い描き、大型車が駐車できそうなところを近場で探してみた。


近くにコンビニがあり、お昼休憩によく利用していた場所――数百メートル先にある、せせらぎ公園という大きな公園の利用者専用の駐車場を思い出す。


三車線の一番右側へと難なく車線変更した橋本のハイヤーを見て、同じように車線変更しようとしたデコトラだったが、車がちょうど混み合っていて、うまいこと車線に入れない状態をルームミラーで垣間見る。


「大型車だからこそ、気を遣って運転しなきゃいけないよね宮本くん」


後方にいる宮本の運転具合を橋本は時折拝見しながら、目的地まで鼻歌混じりで運転したのだった。

不器用なふたり この想いをトップスピードにのせて

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

37

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚