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BUDDiiS短編集

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BUDDiiS短編集

10 - 😋×🐱 │ 名前の無い関係

♥

29

2026年02月02日

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🐱side




楓 )俺たち付き合ってないよね?



それを最初に言ったのは楓弥だった。

軽い調子で笑いながら。


俺は曖昧に笑ってうなずいた。

その時はそれで十分だと思ってた。




連絡は毎日。

朝の「起きた?」から夜の「もう寝る?」まで。


会わない日でも会ってるみたいに時間が流れる。


でも、恋人じゃない。


その言葉がなぜか免罪符みたいに使われていた。





楓 )今日、泊まる?







楓弥の部屋は俺の私物が増えていった。


歯ブラシ。

部屋着。

いつの間にか、合鍵。


でも、

誰も「一緒に住んでる」とは言わない。




他のメンバーと話していると楓弥は少しだけ距離を詰める。


肩に触れる。

腰に手を置く。



勇 )近いって


楓 )そう?


悪びれない。


恋人じゃないから嫉妬じゃないって顔。




夜、

同じベッドに並ぶ。


触れ合う距離。

吐息が混じる。


でも、 朝になると何事もなかったみたいに離れる。



楓 )おはよ



それだけ。




ある日、

思い切って聞いた。



勇 )……俺たち、何?



楓弥は少し考えてから言った。



楓 )一番近い



その答えに胸がぎゅっとなった。



勇 )恋人、じゃないの?


楓 )じゃないよ



即答。




なのに。



楓 )他と会うなら、教えて



連絡は返して



今日は俺のとこ来て




ルールだけは増えていく。


名前のない関係に決まり事だけが積み重なる。




逃げようと思えば逃げられた。


でも 離れる理由がなかった。


だって楓弥は優しい。


強く縛らない。

でも、放さない。




夜、

背中から抱き寄せられる。



楓 )勇馬くん



低い声。


名前を呼ばれるたび心臓が跳ねる。


恋人じゃないのに、恋人みたいに。





楓 )ねえ


勇 )なに


楓 )俺、重い?



冗談みたいに聞かれて、否定した。



勇 )……重くない



嘘だった。


重いのは俺のほうだ。




楓弥が他と話しているのを見ると胸がざわつく。


でも何も言えない。


恋人じゃないから。




ある夜、

ぽつりと言った。



勇 )……付き合うって、ないの?



楓弥は、俺の髪を撫でながら笑った。



楓 )今で困ってないでしょ



否定できなかった。




そのまま距離が縮まる。


言葉は飲み込まれた。


それ以上のことは 部屋の灯りが消えたところで 曖昧になった。




朝。


腕の中にいるのに、名前はつかない。


それが当たり前になっていく。




楓弥は言う。



楓 )恋人じゃないほうが楽じゃん



俺はうなずく。


楽なのは逃げなくていいから。




気づけば他の居場所がなくなっていた。


連絡しない友達。

減っていく予定。


楓弥のいない夜が怖い。




楓 )ねえ勇馬くん



ある日、

楓弥が囁いた。



楓 )俺から離れられる?



試すみたいな声。


俺は答えられなかった。




楓弥は、満足そうに笑う。



楓 )だよね



それで終わり。


でも、その瞬間に分かった。




俺らは恋人じゃない。


だけど一番逃げられない。


名前のない関係は別れもできない。




今日も楓弥の部屋に帰る。


「ただいま」も

「おかえり」も

言わないまま。


それでも、

ここが俺の居場所だと身体が知っている。

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