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人は死ぬと星になるのだ。
そのような話を聞いたことがあるような気がする。
死んだ命が星になり、光り輝くのだ。
だが、人間は電気というもので夜の地上を照らし、
星の光を遮ってしまうのである。
これは人が死との関係を断ち切ってしまう行為である。
人は無意識のうちに死などと関係を断ち切りたくなるのだ。
だが、そんな愚かな人間にも、死との関係を持ちたい者は必ずいる。
一章
「お父様、東京は素晴らしい所であります。
さて、明日から大学生となりますが、私は緊張をしてしまいます。
ですが、せっかく受かった大学です。満喫して参ります。 2025年 4月」
木村は父に、このような手紙を書いた。
彼は東大を受けた。それほどの頭を持ち合わせていたのである。
彼は東京のアパートに住み着いた。
アパートは古びた二階建てで、昭和、かのバブル期に作られたのである。
だが、バブル期とはいえ、景色は良く、
木村の部屋の窓を一度開くと、のどかなブランコと滑り台のある公園が見えるのだ。
木村はたまに、勉強に疲れた時、眺めるのであった。
部屋の隣には奇妙な者、よく廊下でタバコを吸う男二人が住んでいた。
奇妙な理由はただこんな禁煙時代に喫煙者であることではない。
夜になると昭和初期、戦前の軍歌のようなものが聞こえるのである。
だが木村はBluetoothをつけているためあまり気が付かなかった。
だが、聞こえたって木村はあまり気にしないはずである。
それは彼が軍歌なんて知らないなどといういい加減な理由ではない。
彼が今、思想など持ち合わせていなく、
たとえ保守だろうが共産だろうがどうでもいいのである。
次の日、彼は東大へ着いた。
彼はすぐに馴染むことができた。
おや、君は驚いていないのか、
このような話の場合、主人公は必ず一人になる、
そう思はないのか、
この話に関して私はあまり考えていない。
そのためこのような太宰治の「道化の華」のような説明文が入るのである。
さて、続こう。
彼はサークルに入らないことにしていた。
勉強に集中するのである。
彼は人より、運動ができるわけでも絵が描けるわけでもない。
頭が良く、文章能力があるだけである。
本当にそれだけである。彼の能力はそれだけである。