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涼太の記憶が戻って五ヶ月。
俺達は二人で空港に来ていた。
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🖤「俺は涼太くんにお見送りしてって頼んだのに、なんで部長までいるんです?」
理由は目黒の見送り。
海外での新規事業を手伝うため長期出張に行くことになった。
こいつが異例の一年間で研修を終えたのは新規事業の準備をするため。
会社には一次的に戻って来ただけだった。
💙「今日は休みなんだ、別にいいだろ」
❤️「ちょっと、二人とも喧嘩しないで」
🖤「喧嘩なんてしてないよ♡」
そう言って涼太に抱き着く目黒。
恋人がいる前で堂々としやがって…!
涼太も普段は嫌がるのに当分会えなくなるからって大人しくしてるし…。
🖤「あ〜ぁ、部長が涼太くんと会わなかったら一緒にカナダに行ったのに♡」
あの時の賭けで目黒が勝った場合、涼太を海外に連れて行く約束だったようだ。
……そうならなくて本当に良かった。
🖤「涼太くん、部長と喧嘩したり飽きたりしたら、いつでも俺のとこ来てね♡」
……目黒のやつ、調子乗りすぎだろ。
❤️「それは出来ないよ。…………二度と離れないって約束したから」
目黒の抱擁から抜け出して俺を見る涼太。
めちゃくちゃ嬉しいこと言うじゃん…!
🖤「……もー、目の前で惚気るの止めてよ。罰として涼太くん、俺に飲み物買ってきて」
お金を手渡された涼太は、仕方ないなぁという顔をして買いに行った。
目黒は、わざわざ店まで指定して買いに行かせている。
その店、めちゃくちゃ混むんだけど。
🖤「……よし。これで話ができる」
💙「は?」
🖤「部長、涼太くんが海外に行った理由とか諸々知らないままなんですよね?」
確かにその辺の事情は聞いてない。
正確には当時、涼太ママが理由を言ってたけど俺が放心状態で聞こえてない。
涼太が隣にいてくれることに満足してるから今更蒸し返すのもなぁ…って思ってる。
💙「そうだけど、別にいい」
🖤「いや、教えます」
💙「……聞いてた?」
そもそも教えないって言ってたじゃん。
🖤「だって悔しいから」
💙「何が?」
🖤「……涼太くんにも涼子さんにもフラれちゃって悔しいんです。だから、ちょっとした仕返しさせて下さい」
そう言った目黒は今にも泣きそうな切ない表情をしていた。
💙「わかった。聞くよ」
🖤「ありがとうございます。まず涼太くんはイタリアの料理学校に行ってました」
💙「イタリア料理ってパスタとかだろ?」
🖤「そうですね」
涼太が週三で作るんだけど、どれも美味いんだよなぁ。
💙「涼太は料理好きだし、それは納得だわ。だけど黙って行くことなくね?」
🖤「部長は涼太くんから海外に行くって言われて平常心でいれます?」
………………無理。
💙「100%泣く」
🖤「泣き顔を見たら決心が鈍るから言わなかったみたいですよ」
💙「それなら日本の料理学校でもよかったんじゃないか?」
🖤「どうせなら本場の味を学びたかったんだと思います。涼太くん、こだわりすごいですよね?」
……確かに。
料理が完成したかと思えば追加して作ってたりしてるし。
💙「まぁな。……あんなに美味いんだから店出せばいいのに」
🖤「店を出すことも考えたけど『俺は大勢のお客様より好きな人に美味しいって言われたい』から辞めたそうです」
💙「それって……」
俺のために…?
🖤「『その前に色々謝罪しなきゃ。そろそろ会いに行くんだ』って言った次の日、記憶喪失になって予定はなくなりましたけど」
💙「……運ないな」
🖤「運がないのは俺です」
🖤「部長がいたから。それがわかってたら清掃員は勧めなかった。本当、最悪です」
💙「………目黒」
🖤「幸せになって下さい。じゃないと俺、報われません」
💙「わかってる」
俺の言葉に目黒は目を潤ませながら微笑む。
……こんな時に聞くことはじゃないだろうけど、あえて聞くわ。
💙「お前、涼太のこと知り過ぎじゃね?」
🖤「俺、好きな人のことはな~んでも知りたいんです♡」
ヤバッ……怖いわっ…
身震いがして腕を擦っていると、「お待たせ〜!買ってきた〜!」と声がした。
目黒の注文した飲み物を持って涼太が帰って来た。
❤️「ごめん。すごく混んでて時間掛かった」
🖤「ありがとう。……それじゃ俺、行くね」
❤️「あれ?もう時間?」
🖤「違うけど、いつまでもいると……本当に連れて行きたくなるから。ここでいいです」
「ありがとうございました」と言われた俺達は目黒に手を振って、その場を去った。
………目黒、海外でも頑張れよ。
***
部長達に手を振って姿が見えなくなってから俺はスーツケースを引いて歩き出す。
まだ時間には早いけど保安検査場に入ろうとした。
「もう行くの?」
声を掛けられ振り向く。
🖤「………ラウール」
俺の大学時代の後輩、ラウールがいた。
出会った頃と変わらず、ヘッドホンを首にかけている。
🤍「惨敗だったね」
🖤「……うるせっ」
🤍「せっかく俺が情報教えてたのに〜」
ラウールには涼太くんに関する情報を逐一報告するように伝えてた。
だから俺は会社にいなくても色々情報を知ってた訳で。
🖤「悪かったな、面倒なことさせて」
🤍「全然いいよ〜!諜報員になったみたいで楽しかったもん♡」
ラウールから『涼子さんのお尻触り心地良さそうだよね!今度どさくさに紛れて触ろうかな〜』って報告が来た時は、どうしてやろうかと思ったけどな。
🖤「まぁ、今後も報告よろしく」
🤍「ん?…………終わりじゃないの?」
🖤「これからは会社のこと報告して。俺だけ知らないのズルいだろ」
🤍「そっか。わかった!任せてよ!」
……さぁ、そろそろ行くかな。
🖤「俺、行くから。……頑張れよ」
🤍「うん。……めめも頑張って…!」
ラウールに抱きつかれてた。
グスッと鼻をすする音がして頭を撫でる。
大人っぽくなったと思ったけど、まだまだ子供のようだ。
🤍「遊びに行くからね〜!!」
🖤「おう!」
ラウールと別れて保安検査場に入る。
カナダ行きの搭乗口の近くの席に座り涼太くんに買ってもらった飲み物に口を付ける。
…………思えば、長い片想いだったなぁ。
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涼太くんに一目惚れしてから、ずっと彼しか見なかった。
だから涼太くんの好きな人は幼馴染だって、すぐにわかった。
話す時の表情や声が好きで溢れてたから。
それでも数年も会ってないならイケると思ったのに全然で見向きもされなかった。
そんな時に涼太くんが記憶喪失になった。
幼馴染のことは忘れて関係値は0。
俺も0スタートだけど、今度こそ好きになってもらえると思った。
戸惑っていた彼に『過去は気にせず新しい思い出を作ればいい』と言ったら色んなことに挑戦するようになった。
俺がクリスプ商事に内定する頃に彼は【涼子さん】になるのが普通になった。
それから俺が研修で会えなくなった期間に連絡したら職がなくて困ってるって聞いた。
ラウールから清掃員がいないって聞いてたから彼に紹介した。
無事に働けるようになって良かったと思ったのも束の間。
……部長が例の幼馴染だと知った。
本能がヤバいと告げてた。
このままじゃ盗られると思った。
だから無理を言って研修を終了させようとしたら海外出張を条件に出されて、それを受け入れた。
部長に気持ちが傾く前に海外に連れ去ってしまえばいい。
…………でも、ダメだった。
その後は知っての通り。
涼太くんは記憶が戻って、部長と結ばれハッピーエンド。
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🖤「……もぅ、……ほんと…さい、あく…!」
今の二人の間に俺の入る隙なんてない。
時間はかかるかもしれない、それでも。
……涼太くんのこと、もう諦める。
でも、最後に言わせて。
🖤「……っ、………すき、っ…」
涼太くん。
本当に、大好きだったよ。
***
「……翔太、起きて」
体を揺すられ微睡みの中、目が覚める。
時刻を確認すると18時過ぎ。
目黒を見送り、帰宅してソファーに寝転んだ後ずっと眠っていたらしい。
💙「ヤバ…、ねすぎた」
❤️「本当だよ。……ご飯出来たけど食べる?」
💙「たべる…、はらへったぁ…」
❤️「ふふっ。じゃあ、用意するね」
赤色のエプロンを着た涼太の後ろ姿を見て、目を擦りながらテーブルに向かう。
席に座るとお腹がグーッと鳴る。
擦りながら待っていると涼太がお皿をゆっくりとテーブルに置く。
今日のメニューはパスタ。
スパイシーでトマトの良い匂いがする。
エプロンを脱いだ涼太も席に座り一緒に「いただきます」をする。
フォークでパスタを巻いて口に運んだ。
💙「うわぁ!うまっ!」
ちょっと辛いけど魚の旨味やトマトの酸味が合わさって、めちゃ美味い!
❤️「口に合って良かった」
💙「マジで美味い!涼太も食べろって!」
涼太もパスタを食べて「うん、美味しい」と小さく呟いた。
会話をしながら半分食べたとこで俺はフォークを一旦置く。
💙「あのさ」
❤️「ん?」
💙「いつも、ありがとな」
❤️「……急にどうしたの?」
空港で目黒の話を聞いた時、伝えなきゃいけないと思った。
店を出す選択もあったのに俺の為に料理をすると決めた涼太に感謝してる。
💙「別にいいだろ。言いたくなっただけ」
❤️「そっか。……翔太も、いつも残さず食べてくれてありがとう」
💙「おう。………続き食べるか」
❤️「うん」
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食事が終わり皿をキッチンへ運ぶ。
二人で食休みをしてから俺は皿洗いをするのに再びキッチンへ。
その間に涼太はお風呂を済ませる。
皿洗いは俺の仕事だ。
キュッキュッと音が鳴るくらい皿をピカピカにしてる。
最後に布巾で水分をなくして棚へ戻す。
昔の俺だったら、こんなことをする未来が訪れるなんて思いもしなかった。
俺がここまで出来るようになったのは涼太が「ありがとう」と言ってくれるから。
こんな些細なことで喜んでくれるなら、いくらでもする。
皿洗いが終わりリビングで寛いでいると赤いバスローブを着た涼太が戻って来た。
最初の頃はバスローブの涼太に慣れなくてドギマギしてたけど今となっては俺も青いバスローブを着るようになった。
肌触りがいいから心地いいんだよな。
❤️「お待たせ」
💙「おう。それじゃ俺も入るわ」
ソファーから立ち上がりリビングから出ようとノブに手を掛ける。
❤️「翔太」
💙「ん?」
涼太に呼び止められ振り返る。
❤️「今日作ったパスタね、プッタネスカって言うんだ」
💙「プッタネスカ…?」
初めて聞く名前だ。
❤️「本当は結構ニンニクを使うんだけど、かなり控えめに作った」
❤️「イタリアのスタミナ料理で、………所謂【精のつく料理】ってやつ」
…………へ?
❤️「………つまり何が言いたいかと言うと…」
❤️「…………抱いてくれる…?」
!!!!!
❤️「…………先、寝室で待ってるから」
言い終えると耳まで真っ赤にした涼太が寝室へ消えて行った。
俺はその場に座り込む。
突然の誘いで頭が混乱してた。
ヤバい!
久しぶりのパニック!!!
俺、優しく出来るのか?
そんな自信、全然ないんだけど…。
今のは涼太が悪い!
可愛かったから、どうなっても知らん!笑
…………とりあえず、シャワー行こう。
俺は立ち上がり浴室へ向かった。
俺が寝室に行くまで、あと――分。
end…♡
あとがきに今回の分も含めて色々書いたので、良ければ閲覧ください!
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コメント
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遅れちゃいましたが、読み終わりました🥰 本当最期までドラマを見てるようで💙と同じくドキドキさせてもらいました💓 🖤の失恋は切ないけど、最期まで❤️を愛してくれてありがとうと伝えたい!わら そして、💙❤️今度こそ幸せになってね😭✨ 最後のお誘いまで可愛かったです❤️ 素敵なお話をありがとうございましたm(__)m
読み終わりました…。目黒の視点が本当に切なくて、胸がぎゅっとなりました。ずっと涼太くんを想ってきたのに、最後は「幸せになってください」って笑顔で送り出すところ、強くて泣けます。でも最後の「すき」の一言で、まだ引きずってる感じが伝わってきて余計に辛い…。そして最後の涼太くんからの誘い、急に甘くなってびっくりしました!翔太さんのパニックっぷりが可愛くてほっこり🥀 素敵な後日談をありがとうございます。あとがきも読ませていただきますね!