それから、面を買い、楽しみきった二人は上機嫌で歩いていた。
周りを歩く人たちも楽しそうだ。
だがしかし、その楽しみはふいに断ち切られる。
「勘ちゃん、あれ…!」
青ざめたはなが指差した先には、5つほどの子が居た。
「なにあれ!ひどいや…」
その子は、他の子らにいじめられていた。
うち、一人の子は殴る。一人は蹴る。
中央にいる縞模様の着物の子が泥のついた手で頭を覆う。
泣きじゃくりながら逃げようとする。
周りにいたいじめっ子はその姿を嘲笑っていた。
罵声を浴びせる。
いじめられている子がやめてと叫ぶ。
だが、周りは止めようとせずその姿を眺める。
信じられない…と震えながらはなが言う。
「やめろ!」勘助が我に返って子らを止める。
子らがその声にがこちらを見る。
子供だと思うと年上でも、思い切り悪態ついた。
それでも、勘助を睨み付けながらまだ踏みつけることをやめない。
「こいつが気持ち悪ぃんだい」
こんなのに同情かよ、と嫌な笑い方をする。
「酷いじゃないの!何て事するの、馬鹿なの?」
その態度にはなは憤って叫んだ。
はなの妹は小さな頃虐められていた。
その頃の記憶がよみがえったのか、泣きそうになっている。
「今すぐ退いてーっ」
その声に驚いたのかいじめっ子がビクッとして後ずさる。
「ちぇっ、なんだい」
と、頭のような藍色の着物の子が、ありきたりな捨て台詞を吐く。
一人の子がはなを睨み付けながら、走っていった。
周りにいた他の数人もそれについていく。
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