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今にも走り出しそうな光明院を豪炎寺は静かに見つめる。
前半は四之宮以外の選手を動かし回るほどのスピードで雷門から点を奪っていく帝国。
同学年や先輩たちにわざとであろう、顔面にサッカーボールを当てる帝国のサッカー部員。
雷門サッカー部員の痛みに呻く声がグランドに響き渡る。
光明院の瞳には嫌なほど昔のチームメイトが浮かんだ。昔、鬼道率いるチームと練習試合をした時、チームメイトは意味もなく、走らせられ、GKにわざと当てるようにシュートを決めてGKはボロボロだった。
光明院つづるは人一倍、人の痛みや人の悔しさを共感的に感じ、人に、家族に、友人に、寄り添うことのできる少女だ。
そんな少女がどれ程、己の不甲斐なさに嘆き、己の弱さに嘆いたことか。
前半終了の笛がなる。
光明院は、自分の行動に薄紫色の瞳を見開かせる。今にも雷門のサッカー部の方へ走り出しそうだった足、胸元にあるリボンを乱雑に握りしめる右手。光明院はリボンから右手を離し、右手と左手を見つめた。その両手は、不安、恐れ、怒りで小刻みに震えていた。
その両手から薄紫色の瞳を離して、地面に座り込む雷門サッカー部の部員たちを見据える。
座り込んで息を切らす、同学年。
口々に疑問を投げる、先輩。
「このまま終わってたまるか!!!」
その場で響いた声はその場の誰よりも力強良くて、その声に光明院の薄紫色の瞳に光が宿る。