【悪夢に魘されて】寝る前作品
※夢主)奏×圭一 今回のカプ
※苦手な方はスルーしてください
※寝る前の作品なので誤字があるかも
真っ暗な世界で、ただ1人ポツリと立っている夢を見た
何もなく、何も感じない夢。意識のはっきりとある不思議な感覚はあり、
一瞬、夢と現実かくべつするのに少し時間がかかったが
それが夢と気づくのはいがいに簡単なことであった
だって、目の前に父と母が立っていて、俺を見つめているのだから
そして2人は口々にこう云っていた
“お前なんか、邪魔よ。この恥晒し”
“御前はこの家の恥だ、忌子のぶんざいで”
それからも何度も何度も罵倒され続けた、忌子、恥晒し、出来損ない…他にも沢山
それでも言い返すことが出来なかった
正直、そんな言葉は何とも思わなかった。どれも云われ慣れた言葉…
くだらないと、目を覚そうとした次の時だった、母の云った言葉に俺は息が詰まった
“アンタなんか、産まなければよかった…アンタなんて、必要ないのよ”
その言葉が終わった瞬間、夢が覚めた
ふと顔に手を当てると、雫のようなものが手について、
ようやく自分が泣いていることに気づいた
隣においてある時計を見る、時間は朝の4時44分…縁起が悪い時間に起きてしまった
反対側を見ると、兄がスヤスヤと寝息をたてている
僕はそんな兄に近づいて、跨るようにして上に乗った
そしてそっと首元に両手を置き、絞めるような形にした
力を加えれば、きっと、兄は一生動かなくかるのかもしれないという考えが浮かぶ
僕は少し、首元の手に力を入れた
少しずつ少しずう、ぐぅっと力を入れていくと、だんだんと兄から呻きが聞こえ始める
「っ…、ぅっ、んーっ……」
小さな声が静かな部屋に響き、兄の体が少しピクリと動く
『(何で俺、こんなことしてるのかな、?)』
ただ自分は、兄に問いかけたいだけなんだとも思う
そしてそれから数分、力を入れては加えてを繰り返していると、兄が目を覚ました
「かな、で?…何、してる、の、?」
苦しそうな声で尋ね、細い目を開けて俺を見つめた
『あー、起きたんだ…ならよかった』
そして俺は、こう問いをかけた
『兄さん…俺のこと、どう思う?必要?、それとも、邪魔?』
訳が分からなさそうに兄が俺を見つめる、それはそうだ
こんな質問、一度だってしたことないのだから
『俺のこと好きなら、家族として愛してくれているなら答えてよ…』
そして感情のままに首を絞める
「っ、!、奏ッ、苦しいよっ、離してッ…」
顔を顰めながら俺にいうが、俺はもう、正気とはいえなかった
『俺のこと必要って云ってよ、俺はこのままでいいって、生き”て”いてもいい”って”っ…』
その時、俺は泣いていた
息が詰まりそうになり、訳が分からない
俺は本当に生きてていいのかがわからない、自分が存在してていいのかって、
必要とされているのかって、ここにいてもいいのかって
不安が重なり、俺を押し潰そうとしてくる
『1人じゃないとか、そんなのじゃなくていいから、お願いッ、』
「っ……!……」
『俺は、失敗作じゃないよね?生まれてよかったよね?生きてていいよね?、消えなくても、いいよね……?』
『怖いよ、ずっと怖いよ。父さんと母さんが、僕なんかいらないって云うんだ、夢で、俺は必要ないって、産まなければとか、ずっと云うんだ…ッ』
「奏……」
兄の首から手を離し、俺はそのまま号泣した
『恥晒しでもなんでもいいよッ…ただ、存在を否定しないで、側に置いてよッ…大切にしなくていいからさ、必要としてよッ…』
自分でも、何を云っているのかわからない
涙が溢れて仕方がないんだ、ひたすらに苦しいんだ。
言葉にするのも苦しくて辛い、声が出なくなりそうだ
そんな時、
「…奏、大丈夫だよ、落ち着いて…」
起き上がった兄が、そっと僕を抱きしめた
背を摩りながら優しく声をかけてくれた
「奏は生きていていいんだよ、今は辛いと思うけど大丈夫。奏は僕の大切な弟なんだから、そんこと云わないで…僕は…僕達は、何があっても、奏の味方、ずっと側に居るから、生まれてきてくれて、ありがとう…」
そんな兄の言葉に、僕はまた涙が出た
そんな兄の声も、どこか震えてなきそうだった…
暖かくて優しい言葉が、僕を包み込んで落ち着かせてくれるんだ
兄の優しいところが、本当に“ ママ ”にそっくりだと感じた
何かも分からない気持ちが、すっ…と消えるような、抑えられるような感覚とともに
僕らはまた眠りに落ちた
『側にいるって云ったじゃんか…』
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