「はてさて、此度はどのようなご用件でしょうか」
セシルは私たちに紅茶をコポコポと入れてくれながら早速本題を聞き出してくる。
私は少し戸惑いながら、ずっと腕に抱えていた事件簿を机の上に置いた。
セシルは目を見開く。
「よくそんなものを見つけましたな」
セシルは感心したように言った。
「この事件簿は、ずっとセシルが記録してくれてるわね?」
「左様でございます」
「そこでお願いがあるの」
セシルは私たち二人に紅茶を差し出し、笑みを深める。
「何なりとどうぞ」
その返答に少しほっとし、私は口を開いた。
「約五年前、少女連続殺人事件があったでしょう?この事件簿に記されていたわ。その事件について、詳しく教えて欲しいの」
そう、私がちょうど呪いを掛けられた年に、複数人の少女が数日に渡って殺害されるという事件が起きている。その年の事件はそれしかなかった。だから、私の呪いと何か関係があるのではと思い、こうしてセシルの元を訪ねてきた訳である。
セシルは少し考えるような顔をしてから、真剣な面立ちになり、事件について教えてくれた。
曰く、その殺害された少女たちの共通点は、金髪碧眼を持つ、十歳前後の子供であることらしい。
が、それ以外はセシルもわからないそうな。少女たちを攫った人物も正体不明。未解決事件と言う訳だ。
私たちはセシルの部屋を後にし、私の自室に戻った。
私は窓の外をぼんやりと眺めながら、ぐるぐると考える。
殺害された少女は全員金髪碧眼。そして、年齢は十歳前後。
私と同じ見た目だし、年齢も当時の私と同じ。何か関係があるのだろうか。
考えても考えても、何もわからない。
思わずため息を零す私に、彼は口を開いた。
「セレスティア、そんなに考えててもしょうがないし、外の空気を吸いに行かないか」
彼の言葉に、私は目を見開く。
それはつまり……。
「お忍び、ですか?」
私がそう問うと、彼は少し微笑んで頷いた。
「わあ……」
私たちは王城を抜け出し、街中に来ていた。
あとで怒られるだろうけど、たまにはこういうのも悪くない。
私は比較的身軽なドレスを身にまとい、中級貴族のような格好をしている。
これなら動きやすいし、姫だとバレることもないだろう。
城の外に出るのは久しぶりなので、思わず幼い子供のようにはしゃいでしまった。
「アレクシス様、あそこに本屋さんがありますよ!行きましょうっ」
彼はほんの少しの笑みを浮かべる。
私はそんな彼の手を引きながら、本屋さんに入った。
コメント
3件
少女連続殺人事件、か。うむむ。やっぱり関係あるんだろうな……。このあとの展開を待つしかないか。しかし…、うむむ…