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「――へぇ。ってことはつまり、その間宮って奴が勝手に勘違いした結果が、アレだったってわけ、ですか……」
「……あぁ」
行為の後、シャワーを浴びてさっぱりした理人は、ベッドのヘッドボードに背を預け、煙草をくゆらせていた。今日あった出来事を一通り話し終えると、ふぅと長く、白い煙を吐き出す。
ようやく冷静に話を聞く気になった瀬名は、腕を組んで考え込むように眉を寄せた。
「全く、はた迷惑な奴ですね」
「本当に……お陰でえらいことになって、えらい目にあったぜ」
隣でシレっとのたまう加害者を睨みつけてやると、瀬名は涼しい顔で肩をすくめてみせる。
「ハハッ、そんなに睨まないでくださいよ。怖いなぁ」
「……誰のせいだと思ってやがる」
「僕のせい、ですかね? あー、でも。すっごく気持ちよかったんでしょう? ただでさえ敏感な理人さんがイキっぱなしだったし。一突きするたびに身体がビクビク跳ねて、何回も可愛く鳴いちゃって……」
「ばっ……! クソッ、黙れ……っ!」
瀬名の厚顔無恥な言葉に、あの時の痴態が鮮明に蘇り、理人の顔がカッと熱くなる。確かにイかされた回数は数え切れないが、それを本人に指摘されるのは死ぬほど恥ずかしい。
慌てて煙草を灰皿に押し付けると、布団に潜り込んで瀬名に背を向けた。 瀬名はそんな理人の様子を愉しげに眺めると、背後から覆い被さるようにして抱き締めてきた。
「……理人さん、もしかして拗ねてるんですか?」
「んな訳ねぇだろ。離せよ」
「嫌です。理人さん、可愛すぎる……」
くすくすと笑いながら、瀬名が理人の頭を慈しむように撫でる。理人は小さく舌打ちをすると、不機嫌そうな声を布団の隙間から漏らした。
「は、離せ馬鹿! 俺はもう寝るっ」
「え? もう寝ちゃうんですか? 酷いなぁ。もう少しお話しましょうよ」
「うるさい、邪魔すんな! 寝るったら寝るんだよ」
「……邪魔? ……酷いなぁ」
瀬名の声のトーンがわずかに変わった。そう思う間もなく、理人の乳首が服の上から器用に摘ままれ、弄ばれる。
「んっ……ちょっ、やめ……っ」
「おや。もうこんなに固くなってますけど? 寝るんじゃなかったんですか?」
「お、お前が……んんっ、変なことするからだろ……っ」
「変なことって、なんですか?」
瀬名は意地の悪い笑みを浮かべ、理人の胸に手を這わせた。同時に、無防備な首筋にチクリと軽く歯を立てる。
「んんっ……! やめろ……っ」
「ほら、やっぱり感じてる。やめて、本当にいいんですか?」
「……っ、く……」
指先で先端をカリカリと弾かれ、熱い舌先が耳穴を犯す。理性とは裏腹に、開発され尽くした身体は容易に快楽の火を灯してしまう。
「ふふっ。身体は本当に正直ですね……」
瀬名は理人を抱き寄せ、その身体を仰向けに反転させた。胸元に唇を寄せ、吸い付くようにして赤い痕を残していく。鎖骨から胸へと徐々に唇を下ろし、やがてぷっくりと立ち上がった突起を、熱い口内に閉じ込めた。
「あっ……ぁあっ……」
ねっとりと絡みつく舌の感触。甘い痺れが全身を駆け抜ける。
「やっ……あぁっ……っ、くそ……っ、お前……いい加減にしやがれ! 馬鹿っ!」
理人は残った理性を振り絞って瀬名を突っぱね、潤んだ瞳のまま相手を睨みつけた。
「あのなぁ……俺は本気で怒ってるんだぞ! 人の話は聞かねぇし、毎回毎回、強引に流れを持っていきやがって」
「……」
「いいか。しばらく、……今後二週間は、こういうことは一切禁止だ!」
「……はい?」
瀬名がポカンとした表情を浮かべる。理人は構わず、瀬名の身体を押し返して再び背を向けた。
「……二週間も、理人さん我慢できるんですか?」
「うるせぇな! ダメつったらダメだ。守れなかったら、お前との関係も終わりだからな」
「……」
瀬名は不服そうな顔で理人を見つめていたが、彼が本気で怒っていると察したらしい。盛大な溜息を吐いて、渋々と了承した。
「……まあ、今回は僕の早とちりだったのも事実ですし。分かりました、我慢します。……でも、キスくらいはいいでしょう?」
「は? そんなの、だ――……っ」
「ダメ、ですか……?」
拒絶しようとした理人の言葉は、瀬名の「捨てられた子犬」のような潤んだ視線によって封じられた。
(うっ……)
卑怯だ。自分がその目に弱いことを知っていて、わざとやっている。
「あー……もう、分かったよ! その代わり、キスだけだからな!」
「はい!」
瀬名は一瞬で満面の笑顔に切り替わると、理人の頬にちゅっと軽いキスを落とした。
(たく……嬉しそうな顔しやがって。ほんっと、調子狂う……)
理人は心の中で悪態をつきながらも、自分を包み込む瀬名の腕に、その心地よい重みに、そっと身を委ねた。