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『貴方ノ為ならどんな罪モ犯ス』〜桃の花は赤く散る〜


第4輪 始まるノは狂キノ拷モン


ユーハンが居なくなり2日が経った。


『……。』

私は庭に出てバラの前に座り込む。

それを遠くで見ていた執事がいた。


『主様…元気ないっすね。』

『あぁ。ユーハンが依頼で居なくて落ち込んでるんだな。』


『トゥルージュ家……。』

(……確か、この前ぶつかってきた男の人が居たな。……。)

『……あっ!!』

私は立ち上がる。

『あの時の!!でもなんでその人がいきなり?グロバナー家の傘下の貴族がどうして……。』

この時私は疑問が頭に残る。

(ユーハンが居ない…そしてトゥルージュ家の失踪。何か関係があるの?にしては偶然過ぎ?いや…まさか、ね。)

『急に元気出たな。』

『どうしたんすかね…。情緒不安定っすよ。』


一方その頃――。


『いつまで俺たちをこのままにしておくんだ!』

『おやおや、2日も餌を与えていないのによく吠えますね。』

『お父様、お母様…家に帰りたい…。』

『大丈夫よ、必ず家に返してあげるわ。ねぇ貴方。私達はどうなっても構わないわ。この子達だけでも……。』

『…素敵な親子愛ですね。私の家族は全員無情にも…皆殺しされたのに。分かりました。では…子供たちから先に楽にさせましょうか?』

『『!?』』

『ま、待って!お願い、やめて…!』

うじゃうじゃ……

『いやぁ!あんな虫に刺されて死ぬなんてやだぁ!』

『助けて!お母様!お父様!』

『ほら…貴方のせいで大事なお子様が毒に刺されますよ……?』

『っ…頼む、やめてくれ。お願いだ……。』

『……嫌です。』

私はニコッと微笑む。

『己の身にあった人に…次からは牙を向けて下さい……ね。』

ジョキンッ

私は吊るされていた紐を切る。

『いやァァァァァ!!』

『うわァァァァァ!!』

グシャッグシャッ

『あ、あぁ……っ。』

『痛い!やだぁぁ!!』

『助けて!!お母様!!お父様ぁぁ!!』

『あはっ。あはははっ!!見てください!これが貴方のしたことの対価です!気分はどうですか?』

『アン…リン…そんな…っ。』

2人は毒虫に埋もれ、動かなくなっていた。

『どうですか…?これが絶望ですよ。死にたくなるほどの……。』

『ど、して……。』

『?』

『どうしてここまでされなきゃいけないの…?』

『……。』

『子供達は関係ないじゃない!!殺すなら私たち親を殺せば良かったのに!』

『……。』

『そもそも少しぶつかったくらいで倒れ込むあなたの主に問題があるんじゃないの?』

『…!』

頭の中で何かに罅が入る。

ビキッ

『悪魔執事は貴族のただの駒の分際で貴族に物を言うこと自体ありえないのよ!』

『…。』

ビキビキッ

『悪魔執事の主なんて死ねばいいのよ……!!』

バリンっ!!

私の中で……何かが砕けた。

ジャキンッ

『え?きゃぁぁぁぁぁぁ!!』

ドプンッ!

『熱い!いやぁ!身体が融ける…っ!!助けて、助けてぇぇぇぇ!!』

『そんな、サラマリ!うぁぁぁぁぁ!!!』

小屋には断末魔が響く。

妻は酸に溶かされて残ったのは骨だけだ。

『……さぁ。最後は貴方ですね。』

『……。』

『おや、気絶してますね。じゃあまた後日ですね。まぁもとより貴方は今殺すつもりはありませんから。』

(貴方は主役が全員揃ってから…殺してあげますからね。)

『では私はまた出かけます。主座に危害を加えた者は沢山居ますから。』

バタンっ。


惨劇まで残り4日――。


『うぅん……?はっ!こ、ここは?』

『ごきげんよう。ハルリア・マリー様。』

『貴方は、悪魔執事……?』

『えぇ。そうですよ。貴方の他にも沢山顔見知りの貴族はいるでしょう?』

『え……?』

辺りを見回すと知ってる顔が多かった。

『ハルリア家、ミァーシャ家、ビリジアー家

、ウィーシュ家、リューシュ家のご当主様とその後家族の皆様。最期の審判へ。ようこそ。』

『お前は……ワシにこんなことをして済むと思っているのか!早く下ろせ!』

『皆様の罪状を述べます。』

『おい!聞いているのか!』

『まず貴方はパーティの時に私の主様にわざとワインをかけました。大変冷たかったでしょう……可哀想な主様です。』

『っ、それくらいでなんでこんなことされなきゃいけないのよ!』

『あなた方が手を出したのは私の主様ですよ?私でさえ触れることも烏滸がましいのに…貴方達が気安く触れていい相手じゃないんですよ。分を弁えましょうね?』

『次に貴方は私の主様に恥をかかせました。あんな大勢の場で主様が弾いたことの無い楽器を弾かせるなんて…。』

『あ、悪魔執事の主なんだそれくらい弾いて貰わなきゃ困る!』

『でもあなたは知っていて渡したんでしょう?貴族だから断れないのを分かってて……。貴方みたいな人が主様を侮辱していい訳ありません。』

『次に貴方は――。』


『これが貴方方の罪です。私の主様に対する侮辱ですよ。』

『この、悪魔執事如きが…!俺たちは名高い貴族なんだ、一斉に居なくなったら不自然なんだよ!この事をフィンレイ様が知ったらどうなるか……!』

『……私は元サルディス家の少佐です。隠蔽するのは得意なんですよ。』

『お前……っ!』

『では、当主の皆様。残りの4日間の命を大切にしてくださいね♪主様にしたことちゃんと悔やんで貰います。』

ジャキンッ

私はそれぞれの貴族の当主意外の家族の紐を切った。

『きゃぁぁぁぁぁぁ!!』

『うわぁぁぁ!』

『やめ、助け、いやぁ!!』

断末魔が響き渡る。

ある者は串刺しに、ある者は火炙りに

ある者は人食い魚に喰われ…。


『役者は揃いますよ。後少しで。さぁ、あるじ様。早く私の元に来てください。貴方の手で…この者たちを殺すんです。』


愛していますよ。主様――私の愛。受け取ってくれますよね?


次回


第5輪 全てノ空ハクが揃ウ

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